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揺らぎの時
【パッセル】なぜここに! 微※
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自分が復興に携わった村や町への再訪、そして新しい被災地。
今回の災害は、山火事の後に魔物が出てきて村を襲ったというものだ。
冬を迎え、例年より乾燥していた事が原因だろう。
火の元は魔物か、人か…分かりかねる。
「こういう自然災害も、あるのだな…」
いつも俺の復興作業を手伝ってくれる仲間たちがすぐに動いてくれて、人的被害は最小限に抑えられたらしいが…。
「山の自然を取り戻さねば、魔物がまたすぐに湧いてしまうな」
森が無ければ、魔物も住む場所が無い。
そうなると、魔物は人里へ降りてきて人間を襲い、作物や家畜を喰おうとする…
魔物と野生生物との違いは、戦闘力と魔力だ。
攻撃パターンや属性を掴んでいないと、戦うには厳しい。
「パッセル様、山は元に戻るのでしょうか…」
「…完全に元に戻るには、年月がかかるでしょう。
定期的な魔物狩りが暫くは必要かもしれません…
山の復旧と同時に、村人たちに魔物と戦う方法を教えなければなりませんね。
罠の作り方も…お願いできますか?」
「分かりました、それは私どもで」
「お願いします」
いつも俺の復興作業を手伝ってくれる仲間たちの中には、昔魔物を狩って生計を立てている方も何人かいる。
いわゆる「狩人」と呼ばれる職業の人たちだ。
彼らは魔物の特性や習性を良く知っている。
俺も彼ら無しでは魔物を倒すチュートリアルを成し得なかっただろう。
「では、私は山の方へ。
家畜小屋の再建は…」
「はい、私たちにお任せください!」
「それから、村が魔物に襲われにくくする為に村を壕で囲み柵を立てようと思います。
村の方々の協力が得られるよう、彼らを説得して貰えますか?」
「分かりました!」
先程の狩人と同様、仲間たちはそれぞれ得意分野があり、それを活かして復興や復旧に貢献してくれる。
そろそろ組織名を考えて、NPO法人化を目指す頃合いかもしれない…
と言っても、この世界にNPOという概念は無いんだけどな。
「さて、それでは私は山の方へ行ってきます。
村の方は頼みました」
「「はい」」
ともかく、山火事の後は植林だ。
草木の種がどのくらい残っているかなぁ。
***
鎮火されたとは言え、山肌はまだ熱を保っていた。
周辺の地域に干ばつが起こらない様、細心の注意を払って、風の魔法で雨雲を少しだけ集める。
局地的に緩やかな雨を降らせ、土地を冷やす…
冬だから冷えるのは早いだろう。
だが、冬だからこそ種を芽生えさせるのも大変だ。
それが出来たら、地面に手を当てて祈る。
燃えた木々の残した命が芽吹き、また森が再生しますように…
「…芽吹き、育て、木よ、草よ…苔よ、シダよ、あらゆる森の植物たちよ」
俺はこういう時、一般的な詠唱はしない。
学園で呪文を習ったが、それより自分のイメージを言葉にして語りかける方が早いのだ。
「どうか、森の姿に…魔物の棲み処となり、水を蓄え…地中深く根を伸ばし、枝を根と同じ程に茂らせてくれ」
今回の山火事の範囲は、今まで魔法をかけた土地よりずっとずっと広い。
植生も複雑で、イメージが難しい…
「元の豊かな森を目指して、どうか…」
すると、土の中から一つ、芽が出る。
燃えた木の根元からも、小さいけれど枝葉が覗く…
「よし…!再、生!!」
するとぴょこ、ぴょこ、と草木の新芽が出始める。
その芽吹きは勢いを増し…
「…っ、……くっ……」
俺の魔力も当然、相当量が持っていかれる。
「ふ…ぅ、うっ…」
今日は芽吹きまでで…と思ったら、新芽はにょき、にょき、と伸びていく。
こうなったら、後は面白いぐらいにぴょこぴょこニョキニョキと木々が復活していき、下草が生え、黒焦げになった木々を倒す勢いで…
「…っ、あ…!?……くっ!」
おかしい、魔法が止まらない…!
このままでは、くっ…、
どうしたら…!
「う…っ、んん…っ」
と、その時。
「ここに居たのか、パッセル!」
「!?」
見知った男の声が、俺の魔力を止めた。
俺は声のした方を見た、そいつがいた。
「なぜ、ここにっ、…っ…!?」
「…調子が悪そうだな、ちょっと失礼」
「わ!?」
そいつは俺の事を抱き上げた。
当然のように、横抱き…所謂「お姫様抱っこ」という形で!!
「降ろせ!っていうか、何でここに!!」
「愛しい君の残り香を追ってきたのさ」
「お、ま、犬……ぁっ……」
犬じゃあるまいし、と思ったら、そいつはにやりと笑ってこう言った。
「ああ、犬ではなく…狼だ」
「はぁ……?」
「可愛い兎を取って喰らう、不埒な狼さ」
「は、あ、んむっ…!?!?」
そいつはそう言うと、いきなりキスをかましてきた。
しかも、いきなりディープなやつを!!
「…!…っ、!!、…~~!!」
肺の中の空気が無くなるぐらい、舌をきつく吸い上げられ、空気が入らないぐらい、粘膜が密着して。
「…っ!…は、馬鹿、この…」
「ごめん、次は優しくする…ね?」
「うるさい、二度目があると、おもっ…」
今度は優しく、唇を触れあわせて。
それから…
「あっ…ん…っ、やめ、んっ…」
「ふ…」
静かな山の中に、ぴちゅ、ぷちゅ、くちゅ、と、耳を塞ぎたくなるような、いやらしい…
キスの音が、響くようで…
「…んっ、や、め…んっ…!」
「やめないよ。」
「ば、か…おうじっ…」
「ああ、君を手に入れる為なら、馬鹿にでもなるさ」
寒い、冬の山で…
押し倒されて、泥だらけになりながら。
自分の体温が上がっていくのを、感じる。
たかがキスした程度の事で、俺は…
「……ぁ…っ…んっ…」
とろける、という感覚を、味わっていた。
======
今日からちょっと18:00と0:00の2回更新しようと思います。
エロが…エロが遠いんじゃよ…
今回の災害は、山火事の後に魔物が出てきて村を襲ったというものだ。
冬を迎え、例年より乾燥していた事が原因だろう。
火の元は魔物か、人か…分かりかねる。
「こういう自然災害も、あるのだな…」
いつも俺の復興作業を手伝ってくれる仲間たちがすぐに動いてくれて、人的被害は最小限に抑えられたらしいが…。
「山の自然を取り戻さねば、魔物がまたすぐに湧いてしまうな」
森が無ければ、魔物も住む場所が無い。
そうなると、魔物は人里へ降りてきて人間を襲い、作物や家畜を喰おうとする…
魔物と野生生物との違いは、戦闘力と魔力だ。
攻撃パターンや属性を掴んでいないと、戦うには厳しい。
「パッセル様、山は元に戻るのでしょうか…」
「…完全に元に戻るには、年月がかかるでしょう。
定期的な魔物狩りが暫くは必要かもしれません…
山の復旧と同時に、村人たちに魔物と戦う方法を教えなければなりませんね。
罠の作り方も…お願いできますか?」
「分かりました、それは私どもで」
「お願いします」
いつも俺の復興作業を手伝ってくれる仲間たちの中には、昔魔物を狩って生計を立てている方も何人かいる。
いわゆる「狩人」と呼ばれる職業の人たちだ。
彼らは魔物の特性や習性を良く知っている。
俺も彼ら無しでは魔物を倒すチュートリアルを成し得なかっただろう。
「では、私は山の方へ。
家畜小屋の再建は…」
「はい、私たちにお任せください!」
「それから、村が魔物に襲われにくくする為に村を壕で囲み柵を立てようと思います。
村の方々の協力が得られるよう、彼らを説得して貰えますか?」
「分かりました!」
先程の狩人と同様、仲間たちはそれぞれ得意分野があり、それを活かして復興や復旧に貢献してくれる。
そろそろ組織名を考えて、NPO法人化を目指す頃合いかもしれない…
と言っても、この世界にNPOという概念は無いんだけどな。
「さて、それでは私は山の方へ行ってきます。
村の方は頼みました」
「「はい」」
ともかく、山火事の後は植林だ。
草木の種がどのくらい残っているかなぁ。
***
鎮火されたとは言え、山肌はまだ熱を保っていた。
周辺の地域に干ばつが起こらない様、細心の注意を払って、風の魔法で雨雲を少しだけ集める。
局地的に緩やかな雨を降らせ、土地を冷やす…
冬だから冷えるのは早いだろう。
だが、冬だからこそ種を芽生えさせるのも大変だ。
それが出来たら、地面に手を当てて祈る。
燃えた木々の残した命が芽吹き、また森が再生しますように…
「…芽吹き、育て、木よ、草よ…苔よ、シダよ、あらゆる森の植物たちよ」
俺はこういう時、一般的な詠唱はしない。
学園で呪文を習ったが、それより自分のイメージを言葉にして語りかける方が早いのだ。
「どうか、森の姿に…魔物の棲み処となり、水を蓄え…地中深く根を伸ばし、枝を根と同じ程に茂らせてくれ」
今回の山火事の範囲は、今まで魔法をかけた土地よりずっとずっと広い。
植生も複雑で、イメージが難しい…
「元の豊かな森を目指して、どうか…」
すると、土の中から一つ、芽が出る。
燃えた木の根元からも、小さいけれど枝葉が覗く…
「よし…!再、生!!」
するとぴょこ、ぴょこ、と草木の新芽が出始める。
その芽吹きは勢いを増し…
「…っ、……くっ……」
俺の魔力も当然、相当量が持っていかれる。
「ふ…ぅ、うっ…」
今日は芽吹きまでで…と思ったら、新芽はにょき、にょき、と伸びていく。
こうなったら、後は面白いぐらいにぴょこぴょこニョキニョキと木々が復活していき、下草が生え、黒焦げになった木々を倒す勢いで…
「…っ、あ…!?……くっ!」
おかしい、魔法が止まらない…!
このままでは、くっ…、
どうしたら…!
「う…っ、んん…っ」
と、その時。
「ここに居たのか、パッセル!」
「!?」
見知った男の声が、俺の魔力を止めた。
俺は声のした方を見た、そいつがいた。
「なぜ、ここにっ、…っ…!?」
「…調子が悪そうだな、ちょっと失礼」
「わ!?」
そいつは俺の事を抱き上げた。
当然のように、横抱き…所謂「お姫様抱っこ」という形で!!
「降ろせ!っていうか、何でここに!!」
「愛しい君の残り香を追ってきたのさ」
「お、ま、犬……ぁっ……」
犬じゃあるまいし、と思ったら、そいつはにやりと笑ってこう言った。
「ああ、犬ではなく…狼だ」
「はぁ……?」
「可愛い兎を取って喰らう、不埒な狼さ」
「は、あ、んむっ…!?!?」
そいつはそう言うと、いきなりキスをかましてきた。
しかも、いきなりディープなやつを!!
「…!…っ、!!、…~~!!」
肺の中の空気が無くなるぐらい、舌をきつく吸い上げられ、空気が入らないぐらい、粘膜が密着して。
「…っ!…は、馬鹿、この…」
「ごめん、次は優しくする…ね?」
「うるさい、二度目があると、おもっ…」
今度は優しく、唇を触れあわせて。
それから…
「あっ…ん…っ、やめ、んっ…」
「ふ…」
静かな山の中に、ぴちゅ、ぷちゅ、くちゅ、と、耳を塞ぎたくなるような、いやらしい…
キスの音が、響くようで…
「…んっ、や、め…んっ…!」
「やめないよ。」
「ば、か…おうじっ…」
「ああ、君を手に入れる為なら、馬鹿にでもなるさ」
寒い、冬の山で…
押し倒されて、泥だらけになりながら。
自分の体温が上がっていくのを、感じる。
たかがキスした程度の事で、俺は…
「……ぁ…っ…んっ…」
とろける、という感覚を、味わっていた。
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今日からちょっと18:00と0:00の2回更新しようと思います。
エロが…エロが遠いんじゃよ…
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