話が違う2人

紫蘇

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合わさる世界

クレイドの卒業

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「今日、我々はこの学園を卒業し……」

ついにこの日がやってきた。
クレイドの卒業だ。
卒業生主席として、クレイドは壇上で答辞を読んでいた。
送辞の方はエバ王子だ。
3学期最後の試験で、ついにフェリスを抜いてトップに立った……

「空気が読めなくてすまん」
「いや、逆に読んでる気がします」
「うう~…、クレイドぉ……」

フェリスはクレイドの晴れ姿を見て泣いていた。
クレイドは明日、西の辺境へダンジョン志願者と共に旅立つのだ……
どうか無事であって欲しい、無理はしないで欲しいと願うけれど心配は消えない。

その点についてはパッセルも同じらしく、卒業生を送り出すには少々厳しい顔で言った。

「郵便事業も進んではいますが、今のところ早さまで訴求できてはいません。
 一刻も早く迅速な連絡方法を開発せねばなりませんね」

どうやら、冬休みにギル王子と東の辺境伯の3人で話した事が進んでいるらしい。
だがそれも結局、フェリスの願いを叶えられるものでは無く……。

「ぐすっ…風に乗って飛んでいけたら良いのに」
「ふむ、風ですか……なるほど」

風の力で走る車なら作れそうな気もする。
ウィンドサーフィンのように、スケートボードに帆を付けて……
西のカヌス領までは、街道の整備もされているし……

「やってみる価値はありそうです」

パッセルは何かを思いついたようだ。


***


クレイドがフェリスをエスコートして卒業記念パーティーへ行った後、パッセルは第一寮裏で一枚の絵を描いていた。

「これは何だい、パッセル?」
「風の力を利用して進む乗り物です。
 大きな荷物は運べませんが、手紙ぐらいなら運べるのではないかと」
「ふむ……板に車輪をつけて、その上に帆を張るのか」
「ええ、こういう形だったら多分、操作もしやすい……」

久々の「前世の知恵」だ。
目標は近衛騎士団が乗る馬……

「まあ、最初はメジロと並走する事を目標にしていこうかと」
「なるほど……。
 なあ誰か!この絵を元に、新しい乗り物を作ってみたい者はいるか?」

リュノ王子がそう呼びかけると、勉強会のメンバーたちがわらわらと集まってきた。

「車軸は金属が良いでしょうね」
「車輪の方も、ただ木を丸くしただけでは……」
「だったら獣の皮を巻いてみるのは?」
「止まる時にどうすれば良いか考えないと」
「まずは小さな模型を作ってみましょうよ」

さすが「第一寮裏の勉強会」。
全員が発起人であるフェリスとクレイドの味方だ。

取り敢えず模型を作ってそこから詰めていこうという話がすぐにまとまり、数人が材料の調達へと走った。

その間に、パッセルはリュノ王子に「もう少しましな絵になるように」と頼み、細かい説明をしつつ設計図を作っていく……

「試乗のコースも整えないとな」
「そうですね、安全の為には試験走行を繰り返す必要がありますから」
「魔物に出くわした時の対処方法とか」
「馬より早く走れれば

二人きりで真剣に話を詰める。
フェリスやクレイドの為だと思えば、多少無理をしてでも……

「……いっそ、空を飛ぶか」
「何?」
「空を飛ぶ魔物は、今のところ国内では発見されていません。
 魔物との遭遇を避ける為には、宙に浮けば解決します。
 ですが、走る事と飛ぶ事を同じ乗り物でやるのは難しい……であれば、同時に空を飛ぶ乗り物も開発を進めていく方が、後々の為になるのではないかと」
「危険が伴いそうな乗り物だな」
「ええ、気軽に乗れるものでは無いかと…」

そう言ってパッセルは、空を見上げ……

まるで当たり前の様に、敬礼をした。


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