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最後の学園生活
最後の春休み
しおりを挟む「さ、行きますよフェリス殿!」
「うん、行こう!」
卒業式から数日遅れて行われた終了式の後、パッセルは愛馬に鞍をかけ、荷物を積んだ。
フェリスもまた大きな荷物を箱馬車に積み込み、御者台へ座った。
今から2人で、西の辺境へ行くのだ。
風で走る乗り物の開発は勉強会の面々に託した。
馬車にはこの数日間で作りためたポーションと、途中の村や町で配布する魔法工法・魔法農法の教本も積み込まれた。
「王都の西門で護衛を待たせている。
そこまで何も無いとは思うが、気を付けてな」
「ええ、エバ殿下も…オヴィス、後は頼んだよ」
「おまかせください!」
「私共も微力ながら、精一杯務めて参りますわ」
「ウルサ殿、どうかアラウダ殿をお守りください」
エバ王子とオヴィス、アラウダとウルサは王都へ残ることになった。
だが、ただの留守番ではない。
1年後の戴冠に向けた準備があるのだ。
こっちはこっちで相当の負担がある。
しかし……。
「私のジンクスがどこまで通用するかは分かりませんが、精一杯務めて参りますよ」
留守番組には強力なお守りがある。
逆に言えば、フェリスとパッセルには何か良からぬ事が降りかかる可能性もあるという事で……。
「大丈夫だフェリス殿、パッセル。
俺が南へ行く分、危険は分散される」
「それも……困りますね」
「ええ、ギル殿下も、どうか気を付けて」
「ああ、全員で生きて戻る。任せろ」
ギル王子は一旦王宮へ戻った後、近衛の一団と共に南の王領へ向かう。
西・東と魔物災害があったので、南でも「石持ち」つまりダンジョン産魔物がいないか、調査に行くのだ。
南の方面からは特に報告は上がっていないが、万が一という事もある。
だからダンジョン経験者である彼が、
……
…………、あれ?
「そう言えば、リュノ殿下は?」
「西門で合流するとの事です」
「あっ、じゃあ、僕らも早く王宮へ行かないと!」
「……?」
オヴィスは謎の匂わせを残し、4人を急かす。
フェリスとパッセルはその様を見て、思う。
「オヴィスも仕上がって来たな」
……と。
***
フェリスとパッセルが西門に到着すると、今回護衛に選ばれたシルウェストリスの騎士たちと幌馬車が一台待っていた。
「これはまた、立派な幌馬車ですね」
「ええ、西の辺境へ運ぶ追加物資です」
「へぇ……すごい、こんなにも沢山……!」
「あんな婚約契約書を送ってきたと思えば、今度はこれほどの物資……親心とは複雑ですな」
「ふふっ、父上ったら、素直じゃないんだから」
二人は納得した様子を見せ、彼らと共に西門を出た。
「そう言えばリュノ殿下は?」
「野暮用があり後から追いつくとの事です」
「そうですか……では、遠慮なく速度を上げて参りましょう!!」
そう言うとパッセルは愛馬の腹をポンと蹴り、速度を上げさせた。
それを合図に、全員が少しだけ速度を上げ……
「まったく、パッセルも素直じゃないんだから!!」
「向こうはメジロより速い馬に乗って来るのですから、このぐらい追いつけて当然です!!」
「ええ、まったく!!
この程度追いつけない者に、パッセル殿を任せるわけにはいきません!!」
「んも~、君たちまでそういう事言う!!」
「「 ははは! 」」
彼らは馬や馬車のたてる音に負けない大声で笑いながら、西門からどんどん離れていった……。
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