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収まるべきところへ
衣装合わせ
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疲れが取れる飴が拝借してきた籠に一杯になってきた頃、ようやく仕事が一段落したらしいダリル様が庭にやってきた。
「お疲れ様ですダリル様。
はい、疲れが取れる飴」
「何をしているかと思えば…」
その飴で大変な目に合ったんじゃないのか、と言わんばかりの顔で俺を見るダリル様。
確かに飴が色んな事の発端だったけど、それは管理が甘かったからだ。
こうして王宮の中から出さなければ大丈夫…多分。
「まあ、効果が固定されているならまだましか」
「ダリル様と陛下にお渡しするので、よしなに」
「分かった」
俺は飴の入った籠を持って立ち上がる。
「そういえば、魔法の飴の量産化って、あれからどうなりました?」
「それが、工場用地の候補が中々決まらなくてな」
「決め手に欠ける感じですか?じゃあ…」
「式と披露宴と初夜と秘儀と蜜月が終わってからな!」
俺が行って見て来ましょうか…の言葉を先んじて封じるダリル様。
まあ、量産化はまだ秘密だし、急かす人もいないか…
「では、先に父上の所へこの飴を預けてから衣装合わせに行くとするか」
「はい」
「どんな衣装があるのか、楽しみだな」
「ふふ、そうですね!」
…なんて、笑顔で答えてみたものの…。
男が結婚式で着る服なんて、楽しみにするほどバリエーションなんか無くない?
***
という事で、衣装合わせの部屋へ来てみると、何故か親父が待っていた。
「えっ、何してんの親父」
「結婚式でお前をエスコートするのは俺だから、一緒に衣装合わせするんだってさ」
「ああ~…なるほど」
きっとメルバ父さんの差し金だな。
親父が衣装を選ぶと、常に少しダサくなるから…。
親父って魔法と剣に特化してる分、生活全般のあれこれがちょっと下手なんだよな。
料理とか、裁縫とか、服選びとか…
昭和の男みたい。
俺は結婚式の服飾担当さんにご挨拶した。
「本日はよろしくお願い致します」
「こちらこそでございます、ロンバード様。
それでは式でお召しになるご衣裳ですが…」
「あ、もう決まってる感じで……えっ?」
「こちら、魔術師であるロンバード様に合わせまして、ローブを意匠に取り入れた…」
「いや、ローブって言うか、これ…」
……ドレスですよね?
完全にドレスですよね?
「ええ、そしてこちらギゼル様のご衣裳も…」
「……ドレスですよね?」
「…ドレスだな」
ちょ、ちょっと待って、何でドレスなん?
何で親父もドレスなん?
「ええ、メルバ様たってのご希望で、ギゼル様と結婚式をされなかったので折角だから…と」
「はっ!?だからって、俺まで何でドレス」
「いやその前に40手前のおっさんがドレス着る事の方が問題だろ!!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ俺と親父。
何が悲しくて一世一代のイベントで女装しなきゃなんないんだ!
「そもそも、俺が白着てどうすんだ!」
「いえ、ギゼル様のご衣裳はローブが紺色で」
「親父…疑問に思う点がズレてるぞ」
「そ、そうだ、ドレス!なんでこんなスリットが」
「親父、疑問点はそこでもないぞ」
まずは女装だというところが問題だろ!
今までそんな素振り一つもなかったじゃないか!!
急すぎるんですけど!?
「ロンバード、残念だが王室の結婚式では嫁ぐ法がドレスを着るのが習わしだ」
「習わし!?」
「そうだ、男性でも代々ご正室はドレスを着るものと決まっている」
「…何でですか?」
「ドレスを作る技術を継承していく為だな」
「すっごい反対しづらい理由!」
そ、それなら仕方が無い。
ドレスは色々技術が必要…って、俺の衣装でする必要ある?
「そこ百歩譲っても、何も親父の衣装まで…」
「あっ、ああ、そうだ、俺は何の関係も」
「経験は一つでも多い方が良かろう?」
「ぐ、ぐぬぬ…!」
そんなこんなで、俺と親父は仕方なくドレスを着る事に…
「お二人ともお似合いですよ~」
「ここもう少し詰めましょうか」
「ギゼル様のスリットももう少し上まで開けて」
「むしろそこは閉じてくれ!!」
「いえ、美しいおみ足を存分に引き立てるようメルバ様から言いつかってございますゆえ」
いやいや、無理無理。
「で、何でダリル様はいつもよりちょっと豪華なだけの服で」
「無駄な税金を使っていると文句が出ないようにする為だな」
「それもまた反対しづらい理由だなぁ」
「結婚式の衣装というのは、意外と自由が利かんものだからな。
さて、次は披露宴の衣装だが…」
そういってダリル様が視線を移した先には…
何体もの、ドレスを来た、マネキンが…!
「ちょ、これ、なんぼほど作ったの…?」
「まだ作っていない。
意匠を決めてから布地を選んで、それから作る」
「っていうか、これもドレスじゃないですか!」
「仕方ないだろう、新人が多いのだ。
彼らの人数分、技術継承の機会を増やさねば」
「ここでその話効いてくるの!?」
まさか衣装係にも内通者がいたなんて…
バレンの奴、とんでもない事してくれたな!?
「お疲れ様ですダリル様。
はい、疲れが取れる飴」
「何をしているかと思えば…」
その飴で大変な目に合ったんじゃないのか、と言わんばかりの顔で俺を見るダリル様。
確かに飴が色んな事の発端だったけど、それは管理が甘かったからだ。
こうして王宮の中から出さなければ大丈夫…多分。
「まあ、効果が固定されているならまだましか」
「ダリル様と陛下にお渡しするので、よしなに」
「分かった」
俺は飴の入った籠を持って立ち上がる。
「そういえば、魔法の飴の量産化って、あれからどうなりました?」
「それが、工場用地の候補が中々決まらなくてな」
「決め手に欠ける感じですか?じゃあ…」
「式と披露宴と初夜と秘儀と蜜月が終わってからな!」
俺が行って見て来ましょうか…の言葉を先んじて封じるダリル様。
まあ、量産化はまだ秘密だし、急かす人もいないか…
「では、先に父上の所へこの飴を預けてから衣装合わせに行くとするか」
「はい」
「どんな衣装があるのか、楽しみだな」
「ふふ、そうですね!」
…なんて、笑顔で答えてみたものの…。
男が結婚式で着る服なんて、楽しみにするほどバリエーションなんか無くない?
***
という事で、衣装合わせの部屋へ来てみると、何故か親父が待っていた。
「えっ、何してんの親父」
「結婚式でお前をエスコートするのは俺だから、一緒に衣装合わせするんだってさ」
「ああ~…なるほど」
きっとメルバ父さんの差し金だな。
親父が衣装を選ぶと、常に少しダサくなるから…。
親父って魔法と剣に特化してる分、生活全般のあれこれがちょっと下手なんだよな。
料理とか、裁縫とか、服選びとか…
昭和の男みたい。
俺は結婚式の服飾担当さんにご挨拶した。
「本日はよろしくお願い致します」
「こちらこそでございます、ロンバード様。
それでは式でお召しになるご衣裳ですが…」
「あ、もう決まってる感じで……えっ?」
「こちら、魔術師であるロンバード様に合わせまして、ローブを意匠に取り入れた…」
「いや、ローブって言うか、これ…」
……ドレスですよね?
完全にドレスですよね?
「ええ、そしてこちらギゼル様のご衣裳も…」
「……ドレスですよね?」
「…ドレスだな」
ちょ、ちょっと待って、何でドレスなん?
何で親父もドレスなん?
「ええ、メルバ様たってのご希望で、ギゼル様と結婚式をされなかったので折角だから…と」
「はっ!?だからって、俺まで何でドレス」
「いやその前に40手前のおっさんがドレス着る事の方が問題だろ!!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ俺と親父。
何が悲しくて一世一代のイベントで女装しなきゃなんないんだ!
「そもそも、俺が白着てどうすんだ!」
「いえ、ギゼル様のご衣裳はローブが紺色で」
「親父…疑問に思う点がズレてるぞ」
「そ、そうだ、ドレス!なんでこんなスリットが」
「親父、疑問点はそこでもないぞ」
まずは女装だというところが問題だろ!
今までそんな素振り一つもなかったじゃないか!!
急すぎるんですけど!?
「ロンバード、残念だが王室の結婚式では嫁ぐ法がドレスを着るのが習わしだ」
「習わし!?」
「そうだ、男性でも代々ご正室はドレスを着るものと決まっている」
「…何でですか?」
「ドレスを作る技術を継承していく為だな」
「すっごい反対しづらい理由!」
そ、それなら仕方が無い。
ドレスは色々技術が必要…って、俺の衣装でする必要ある?
「そこ百歩譲っても、何も親父の衣装まで…」
「あっ、ああ、そうだ、俺は何の関係も」
「経験は一つでも多い方が良かろう?」
「ぐ、ぐぬぬ…!」
そんなこんなで、俺と親父は仕方なくドレスを着る事に…
「お二人ともお似合いですよ~」
「ここもう少し詰めましょうか」
「ギゼル様のスリットももう少し上まで開けて」
「むしろそこは閉じてくれ!!」
「いえ、美しいおみ足を存分に引き立てるようメルバ様から言いつかってございますゆえ」
いやいや、無理無理。
「で、何でダリル様はいつもよりちょっと豪華なだけの服で」
「無駄な税金を使っていると文句が出ないようにする為だな」
「それもまた反対しづらい理由だなぁ」
「結婚式の衣装というのは、意外と自由が利かんものだからな。
さて、次は披露宴の衣装だが…」
そういってダリル様が視線を移した先には…
何体もの、ドレスを来た、マネキンが…!
「ちょ、これ、なんぼほど作ったの…?」
「まだ作っていない。
意匠を決めてから布地を選んで、それから作る」
「っていうか、これもドレスじゃないですか!」
「仕方ないだろう、新人が多いのだ。
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