【完結】ざまぁは待ってちゃ始まらない!

紫蘇

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収まるべきところへ

卒業の祝宴

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「準備出来たか、ロンバード」
「ええ、何とか…」
「では行くか」

寮での茶話会の後、急いで着替えて卒業パーティーがある講堂へ向かう。
俺の衣装は燕尾服をベースに、上着の袖がラッパ状に広がり、そこからシャツの袖にあしらったフリルが見え隠れする特別製だ。
もちろん襟や胸元もフリフリしている。
結婚式の衣装合わせの時に採寸したサイズで、ダリル様が注文してくれていたらしい。

ダリル様は俺にやたらとフリフリした物を着せたがるんだけど、俺に似合ってるのかは謎だ。

「ロンバード、手を」
「はい」

卒業生やそれを祝いに来た卒業生が見えて来たところで、俺はダリル様のエスコートを受ける。
ダリル様は今日もオーラが半端ない。
俺もそれを邪魔しないように、できるだけ堂々と歩く。

明日には籍を入れ、一週間後には盛大に式典をする。
国中に俺とダリル様の結婚が発表され、そこら中でお祭りが開かれる。
そのお祭りを、みんなが楽しみにしている。

「結婚式まで何も事件が起きませんように…」
「大丈夫だ、バレンも捕まえたし、組織の構成員は全員再教育中だ。
 メレゲーン殿が集めた精鋭が「世の為人の為とは何か」を朝から晩まで刷り込んでいる」
「それは…何だか凄そう」

何でも魔法ですれば安い!の精神は、経営には使えないって事を嫌と言う程分からせられるんだろうな…
何たって歴史学の教授だし、魔法偏重主義の出来方とその弊害を実例をこれでもかと混ぜ込んでゴリゴリ刷り込んでくれそう。


「もう、お前と俺の結婚を阻む者は無い。
 これからは二人で…いや、皆でこの国を発展させていこう」
「…はい」

二人で会場の中へ入る。
他の卒業生たちの間をすり抜けながら歩く。
壇上では公開プロポーズが行われており、もう数名がミリエッタさん相手に撃沈している模様…

「ただの男には興味がございませんわ」

だって。
じゃあ女なら良いのかよ、という言葉には

「そういう下劣な脳味噌の方とは男でも女でも付き合えませんわ」

とバッサリ。
やっぱ弁が立つ…さすが弁護士。
これはセジュールでも厳しそうだな…と思っていると、もうすでに項垂れているセジュールが…。

「早いな、もう撃沈したのか」
「……『そのお歳で早すぎますわ!』って言われてしまいました…」
「ああ、それでセジュールより年上で婚約者のいない連中がミリエッタに挑んでいると」
「これ何ていうイベント?」

ミリエッタさんが相手を振る度に歓声が上がる。

「さあ、他に挑む者はいないか!?」

知らないうちにレドモンド君が司会者みたいになってるんだけど…何これ?

「ところで、ミリエッタ嬢はどのような相手なら将来をお考えになるのかな?」
「申し訳ありませんが、私もうカリーナ様直々にお声がけ頂いて就職先が決まっておりますの。
 今更結婚して家に入れと言うのなら、カリーナ様を説得して頂かなければ困りますわ!」
「と言うことは…
 王妃様に物申せる男でなければ無理だ!」
「その通りですわ!」

壇上で始まる謎の茶番…
ますますのナニコレ感。
どうしちゃったの2人とも?

「そういうスフィーリア公はどうですの?」
「ふむ、そうだな…。
 単独でアデアの雪山で風狼の一団に遭遇しても、難なく切り抜けられる者…ヨーク殿!」
「ふぇっ!?」

な、何故に急にヨークさん…?

突然の事にざわつく会場。
キョロキョロとヨークさんの姿を探す俺。

そんな中、レドモンド君は壇上から華麗に飛び降り、会場内を進み…
そして、ヨークさんを見つけ、手を取り、跪き、そして言う。

「愛している、ヨーク。
 私と結婚してくれないか?」

公開プロポーズだ!!
さらに静かになる会場。
息を呑む皆様…そして、小さな同意の声。

「…うん」

レドモンド君は微笑んで立ち上がり、そして…

ちゅっ。

一気に盛り上がる会場。
抱き合う二人。

「君と出会ってからまだ日は浅い、けれども君以外に考えつかない」
「お、れも…レドモンドさんが、好き」

ニコニコと拍手をするミリエッタさん。
彼女に続けと、大きな拍手と驚きの声。
そして空気を読んだ楽団の指揮者が、おもいっきりタクトを振り上げ…

ファンファーレ!!

さらに大きな拍手と祝福の声が会場を包む。
決して小柄でも細身でもないヨークさんを軽々とお姫様抱っこするレドモンド君。
そうして、颯爽とそのまま会場を後に…

「かっこよ…」
「ただの気障きざ男だ…と言えればいいんだろうが、あれがスフィーリア公の普通だからな」
「うーん、さすがスパダリ」

その時、俺はふと思った。
もしこの世界が悪役令嬢ものの小説の中だったら、ここで断罪シーンを迎えるんだろうな…って。
悪役令嬢がいないから、身分格差大きめのプロポーズが行われただけで済んだけど…

「あの、もしかして卒業を祝う会って、こんな風に求婚する人が出るのが定番なんですか?」
「ああ…そうだな。
 俺の卒業した年にも一組あったと思う」
「へえ~、いつからの伝統なんだろう?」
「多分、父上が母上に求婚したのが始まり…じゃないか?
 父上は当時、誰とも婚約していなかったからな」
「ええっ!」

こんなサプライズイベントまで、リブリー陛下が発祥なの!?
さすが王家初の恋愛結婚をしただけの事はある…

「もしかしたら、ギゼルの卒業式の時にメルバもやったんじゃないか?
 婚約者相手に結婚を申し込むのも変だろうが…こういうのが、好きそうだろう、あいつ」
「あ~、やりそう…
 っていうか、陛下とメルバ父さんで話が盛り上がった結果だったりして」
「だろう?
 そうすると、母上の方がギゼル殿より一年早く卒業したはずだから…」
「2年連続そういう事があると、そうなるか…」

あの世代、改革ついでに色んな事してんなぁ。
やっぱリブリー陛下って転生者なのかな…

う~ん。

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