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先祖返りの君と普通の僕
鉄壁
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ロッカールームから出て、グラウンドを後にする。
ラグビー部のみんなはまだ帰り支度の途中だが、横田さんが「帰りのバスに荷物を積み込むのを手伝って欲しい」というので早々に出てきた。
「こんなにいっぱい荷物があるんだね」
「そうなんですよ~、行きと違って水分が無いから軽いんですけど、嵩は変わらないので」
先生に台車を押してもらい、自分は肩に大きなバッグを下げ、横田さんは逸る気持ちを抑えながら外へ出た。
その時…
「高原先生」
来た!樫原君だ!
「樫原君、何でここに?」
「俺、先生に言いたいことがあって」
横田さんは心の中で叫んだ。
〈うおお!なんと生で告白現場を見られるとは!?いやそう調整したけどもまさか!?大勝利!!〉
横田さんは先生から台車を預かり、高原先生が樫原君のところへ行けるように計らう。
〈行け樫原!!決めろ!決めちまえ!!〉
横田さんは心の中で、一心不乱の大エールだ。
「あの、あのさ、先生は水族館…興味ある?」
「へ?」
「あ、あの…行ったことないなら、一緒に、行きませんか」
「ああ…うん、行けたら…」
こんな時にも、行けたら行く…と、高原先生はそう言いそうな雰囲気で、
だから樫原君は言った。
「絶対、連れて行くから。
行けたら行くなんて言わないで」
「…うん」
「連れて行って、って言って欲しい」
「…そうだね…」
真剣な空気が流れる。
横田さんがふと後ろを見ると、空気を読まない連中が出てこないように見張っている小田君が目に入った。
〈おおお、イケメン男子がバックアップしとる…やば、妄想が〉
高原先生は答えた。
「じゃあ、連れて行ってもらおう、かな」
先生は少し困ったような、照れたような顔で答えた。
樫原君は、ほっとしたような笑顔で、先生にそっと近づいて、ぎゅっと抱きしめた。
先生は樫原君の背に腕を回して、受け入れた。
そして2人は…
どちらからともなくキスをし、
それは少しだけ長く続き…
樫原君の髪の毛がふわり、と揺れ、
2人は離れた。
2人の恋はこうして最高のハッピーエンドを
迎えたのです。
…と、誰もが思った、その時。
最高のシチュエーションに、高原先生はとんでもない爆弾を投下した。
「…これで、僕の事は、いい思い出にできるね?」
ここまで来て、なお鉄壁。
高原先生は樫原君の気持ちを受け入れない。
なんでそんなに頑ななのか…
水族館楽しみにしてるね、と言ってこの場から立ち去る高原先生を呆然と見送る3人。
教師と生徒だから、ということでは説明がつかない一言に、横田さんは大いに混乱した。
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「…うん」
「連れて行って、って言って欲しい」
「…そうだね…」
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そして2人は…
どちらからともなくキスをし、
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