2 / 13
逆に言えば。お金さえあれば、自分の好きなことが出来るんだ。
しおりを挟む
実緒はふと思いつき、布団に潜ったまま自分のスマートフォンで検索を始めた。昔、そう、親世代が若かった頃ならともかく、この現代に実緒のように、親から反対されて大学に入学出来ないなんて話はないだろうと思ったからだ。
「え、嘘……」
しかし、検索して実緒は驚いた。たくさんでこそないが昔だけではなく、ここ数年でも実緒のように親の許可が得られず、更に未成年だからと受験すら出来なかった者もいたのだ。
(って、前までは受験するだけでも、親の許可がいたんだ……あ、そうか)
そこまで考えて実緒は、少し前に成人の年齢が変わったことを思い出し、今度はその場合でも親の同意は必要なのかと検索した。確か飲酒喫煙は出来ないが選挙の投票や、家などの契約は親の同意がなくても出来るようになった筈だ。
そう思って調べてみたら、昔は受験の段階で親の同意が必須だったが、今は受験までは十八歳なら親の同意がなくても出来るということだった。ただ合格し、入学金や学費が絡むと話は別である。事前に奨学金の手続きをしていれば別だが、基本は親の同意を得た上での入学手続きとなるのだ。
(そうだよね。入学後は、お金の問題があるから……私が、学費とか払えれば……そうじゃなければ、奨学金制度の手配をしていれば、通えたかも……いや、でもバイトも駄目なんだから奨学金も反対されたかな。あの感じだと、そもそも大学進学させたくないみたいだから)
無意識に、両親に甘えていた自分に気づいてまた涙が溢れてくる。それをタオルハンカチで拭いながら、実緒はふとあることに気づいた。
(……逆に言えば。お金さえあれば、自分の好きなことが出来るんだ)
親から欲しいものは買うと言われていて、実緒は高校生の間、バイトをすることを許して貰えなかった。その為、服や文具は親が買ってくれていたけれど、逆に自分でお金を稼いで自由に使うという発想自体がなかったことに今更ながらに気づく。
(親のいう通りに働いたら、そりゃあ、お給料は貰えるんだろうけど)
だが今のままでは実緒が働いても、その給料の一部は親に渡すことになる。そこでまた、実緒はある疑問を抱いた。
(お母さん、簡単に十万入れろと言ってたけど……そもそも、お給料っていくらなんだろう?)
高卒、しかも父が話を持ってくるなら役所関係の施設の受付や事務だろう。そう思い、検索結果を見て実緒は驚き思わず声を上げていた。
「えっ……手取り十三万……?」
多少、前後はするだろうがこれだと実緒の手元に残るのは三万円くらいだ。
実家にいたら、家賃や光熱費はいらないだろうという考え方で、その本来ならかかる必要経費が親のいう『十万』なのだろう。
そして高校を卒業したら、スマートフォン代などは自分で払うことになると思う。いや、それが悪いとは言わないし貯金するのなら格安プランなどに変えてもいいが、それにしても貯金出来る額は微々たるものだ。
(それこそ、家に入れろって言われた十万が貯金出来れば……んっ?)
そこで、実緒は『バイト代貯金』という検索結果から、リゾート地での住み込みバイトというのを見つけた。
住み込み。そう、住み込みである。しかも家賃・光熱費込みで月一万などなのと、そもそもの手取りが先程の検索結果より数万高かったのである。
(えっ? これ、真っ当なバイト? 闇バイトとかじゃない?)
ついつい失礼なことを思ってしまったが、気になって実緒は今度はリゾート地でのバイト体験談を検索することにした。
「え、嘘……」
しかし、検索して実緒は驚いた。たくさんでこそないが昔だけではなく、ここ数年でも実緒のように親の許可が得られず、更に未成年だからと受験すら出来なかった者もいたのだ。
(って、前までは受験するだけでも、親の許可がいたんだ……あ、そうか)
そこまで考えて実緒は、少し前に成人の年齢が変わったことを思い出し、今度はその場合でも親の同意は必要なのかと検索した。確か飲酒喫煙は出来ないが選挙の投票や、家などの契約は親の同意がなくても出来るようになった筈だ。
そう思って調べてみたら、昔は受験の段階で親の同意が必須だったが、今は受験までは十八歳なら親の同意がなくても出来るということだった。ただ合格し、入学金や学費が絡むと話は別である。事前に奨学金の手続きをしていれば別だが、基本は親の同意を得た上での入学手続きとなるのだ。
(そうだよね。入学後は、お金の問題があるから……私が、学費とか払えれば……そうじゃなければ、奨学金制度の手配をしていれば、通えたかも……いや、でもバイトも駄目なんだから奨学金も反対されたかな。あの感じだと、そもそも大学進学させたくないみたいだから)
無意識に、両親に甘えていた自分に気づいてまた涙が溢れてくる。それをタオルハンカチで拭いながら、実緒はふとあることに気づいた。
(……逆に言えば。お金さえあれば、自分の好きなことが出来るんだ)
親から欲しいものは買うと言われていて、実緒は高校生の間、バイトをすることを許して貰えなかった。その為、服や文具は親が買ってくれていたけれど、逆に自分でお金を稼いで自由に使うという発想自体がなかったことに今更ながらに気づく。
(親のいう通りに働いたら、そりゃあ、お給料は貰えるんだろうけど)
だが今のままでは実緒が働いても、その給料の一部は親に渡すことになる。そこでまた、実緒はある疑問を抱いた。
(お母さん、簡単に十万入れろと言ってたけど……そもそも、お給料っていくらなんだろう?)
高卒、しかも父が話を持ってくるなら役所関係の施設の受付や事務だろう。そう思い、検索結果を見て実緒は驚き思わず声を上げていた。
「えっ……手取り十三万……?」
多少、前後はするだろうがこれだと実緒の手元に残るのは三万円くらいだ。
実家にいたら、家賃や光熱費はいらないだろうという考え方で、その本来ならかかる必要経費が親のいう『十万』なのだろう。
そして高校を卒業したら、スマートフォン代などは自分で払うことになると思う。いや、それが悪いとは言わないし貯金するのなら格安プランなどに変えてもいいが、それにしても貯金出来る額は微々たるものだ。
(それこそ、家に入れろって言われた十万が貯金出来れば……んっ?)
そこで、実緒は『バイト代貯金』という検索結果から、リゾート地での住み込みバイトというのを見つけた。
住み込み。そう、住み込みである。しかも家賃・光熱費込みで月一万などなのと、そもそもの手取りが先程の検索結果より数万高かったのである。
(えっ? これ、真っ当なバイト? 闇バイトとかじゃない?)
ついつい失礼なことを思ってしまったが、気になって実緒は今度はリゾート地でのバイト体験談を検索することにした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる