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今までと違うのは
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「グルナが……アタシの甥っ子が、攫われたですってぇ!?」
ニゲル国の王子が、グルナを拉致して家臣共々消え失せたのは、当然だが騒ぎになった。
それを聞きつけて駆け付けたのは、ルーベルである。怒りのあまり、王子達がいた時は気をつけていたオネェ言葉全開だった。
「って、エリ!? 大丈夫!?」
「……い」
「え」
目の前で、グルナが消え去るのを見ていた恵理は、店の床に座り込んだままだった。そんな彼女に気づいてルーベルが少し怒りを静めて駆け寄るが、そんなルーベルの前で、ボソリと恵理が呟き――次いで、ポロポロと涙を流しつつもキッと顔を上げた。
「グルナを、守れなくてごめんなさい……でも、絶対に連れ戻してきますから」
「エリ……」
「……あ、でも、店どうしよう……でも! 何とかして、取り戻してっ」
「……ええ、ええ! 後のことは、アタシも一緒に考えるわっ」
アレンを亡くした後、あるいはロッコに来たばかりの頃の自分なら、泣いてばかりで動けなかったかもしれない。
けれど、今の恵理は違う。喪失感により、泣きながらルーベルに謝りながらも――固い決意を口にした彼女を、ルーベルはそう言って抱きしめてくれた。いや、むしろ恵理の激情をしっかり抱き留めてくれた。
「あと、謝らなくて良いから! 悪いのは、グルナを拉致した王子……いや! もうあんな奴、モノクル野郎で良いわ! あのモノクル野郎よっ」
「ルビィさん……」
「そうと決まれば、レアンや若旦那達と作戦会議よ!」
「……ええ!」
守れなかったことに罪悪感はあるが確かにルーベルの言う通り、一番悪いのは確かに王子だ。何しろ、グルナは彼からの申し出をキッパリ断っていたのだから。
(でも……)
グルナは、平民だ。だからこそグルナが断っても王子は問答無用で拉致したし、せっかく今回、ニゲル国との交流が出来たアスファル帝国が、料理人一人の為に波風を立てるとは考えにくい。あと単純に距離があるので、仮にヴェロニカの抗議が成功してもやりとりや結果が出るのに時間はかかるだろう。
(……だったら、私が取り戻しに行く)
今までは、グルナはずっとこのロッコにいて、気持ちを伝えなくても――いや、むしろ気持ちを伝えなければ気まずくならず、仲良くやっていけると思っていた。
しかし、今。
王子に攫われ、グルナと離れ離れになってしまった今となっては。
(気持ちを、伝えておけば良かったとか……思ったけど。家族みたいに異世界にいる訳でも、アレンみたいに死に別れた訳でもない。だったらまずは取り戻して、それから気持ちを伝えるわ!)
そう恵理が心に決めると、流れ落ちていた涙が止まった。
「店長!」
「女神っ」
「師匠っ」
「……エリ、様」
「皆……頼みがあるの。ただ、お客様もいるから……詳しくは夜、閉店後に」
やがて、遅ればせながら駆け付けたレアン達に、恵理はそう言った。
ニゲル国の王子が、グルナを拉致して家臣共々消え失せたのは、当然だが騒ぎになった。
それを聞きつけて駆け付けたのは、ルーベルである。怒りのあまり、王子達がいた時は気をつけていたオネェ言葉全開だった。
「って、エリ!? 大丈夫!?」
「……い」
「え」
目の前で、グルナが消え去るのを見ていた恵理は、店の床に座り込んだままだった。そんな彼女に気づいてルーベルが少し怒りを静めて駆け寄るが、そんなルーベルの前で、ボソリと恵理が呟き――次いで、ポロポロと涙を流しつつもキッと顔を上げた。
「グルナを、守れなくてごめんなさい……でも、絶対に連れ戻してきますから」
「エリ……」
「……あ、でも、店どうしよう……でも! 何とかして、取り戻してっ」
「……ええ、ええ! 後のことは、アタシも一緒に考えるわっ」
アレンを亡くした後、あるいはロッコに来たばかりの頃の自分なら、泣いてばかりで動けなかったかもしれない。
けれど、今の恵理は違う。喪失感により、泣きながらルーベルに謝りながらも――固い決意を口にした彼女を、ルーベルはそう言って抱きしめてくれた。いや、むしろ恵理の激情をしっかり抱き留めてくれた。
「あと、謝らなくて良いから! 悪いのは、グルナを拉致した王子……いや! もうあんな奴、モノクル野郎で良いわ! あのモノクル野郎よっ」
「ルビィさん……」
「そうと決まれば、レアンや若旦那達と作戦会議よ!」
「……ええ!」
守れなかったことに罪悪感はあるが確かにルーベルの言う通り、一番悪いのは確かに王子だ。何しろ、グルナは彼からの申し出をキッパリ断っていたのだから。
(でも……)
グルナは、平民だ。だからこそグルナが断っても王子は問答無用で拉致したし、せっかく今回、ニゲル国との交流が出来たアスファル帝国が、料理人一人の為に波風を立てるとは考えにくい。あと単純に距離があるので、仮にヴェロニカの抗議が成功してもやりとりや結果が出るのに時間はかかるだろう。
(……だったら、私が取り戻しに行く)
今までは、グルナはずっとこのロッコにいて、気持ちを伝えなくても――いや、むしろ気持ちを伝えなければ気まずくならず、仲良くやっていけると思っていた。
しかし、今。
王子に攫われ、グルナと離れ離れになってしまった今となっては。
(気持ちを、伝えておけば良かったとか……思ったけど。家族みたいに異世界にいる訳でも、アレンみたいに死に別れた訳でもない。だったらまずは取り戻して、それから気持ちを伝えるわ!)
そう恵理が心に決めると、流れ落ちていた涙が止まった。
「店長!」
「女神っ」
「師匠っ」
「……エリ、様」
「皆……頼みがあるの。ただ、お客様もいるから……詳しくは夜、閉店後に」
やがて、遅ればせながら駆け付けたレアン達に、恵理はそう言った。
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