続・異世界温泉であったかどんぶりごはん

渡里あずま

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恵理の願いとティートの望み

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 ティートには、今までとても世話になっている。トマトや魚醤もだが、その後も恵理が思いついたものや望んだものを手に入れて、惜しみなく分け与えてくれた。お金のやり取りはあったが、その金額以上のものをティートは恵理にくれた。
 ……だが魔法は使えず、体術も護身術程度な彼を、ニゲルには連れて行けない。同様のグルナが、あっさり捕まってしまったのだ。グルナを助ける時、彼まで人質に取られては身動きが取れなくなる。
 だから、いくらティートが望んでもニゲル国には連れて行けない。恵理はそう、ティートに伝えるつもりだった。

(あ……)

 そこまで考えて、今更だが恵理は気がついた。
 ティートは今回も、恵理の考えや望みを読み取った。そしてそれ故に、足手まといだと罪悪感を持っていることまで理解して、恵理が言い出す前に身を退いたのだと。

「何でも言って下さいね。女神が欲しいものは、僕が頑張って揃えますから」

 以前、ティートはそう言ってくれた。恐縮する気持ちはあるが、ティートは有言実行してくれていて本当に嬉しいと思う。
 ……だが、しかし。

「迷惑じゃない。でも、待っていて欲しいと思うのは本当」
「店長!?」
「「「…………」」」

 恵理の言葉に、反論の声を上げたのはレアンだけだった。サムエルもルーベルも、そして魔法ではあるがやはり戦えるミリアムも、恵理と同じ考えだからだろう。彼らが驚いたのは、恵理が言い出す前にティートから言い出したことだけだ。

「咄嗟にとは言え、私が手も足も出なかった。同じことを、ティートにもされたら……そう思って、私からティートに頼むつもりだった」
「女神……?」
「ただ、ティートがボイラー……あ、ティートが気づいた、異世界でのお湯を沸かして家に循環するものの名前ね? それをグリエスクード辺境伯領で実現させるって聞いた時、少し考えが変わったの」

 過去形に戸惑うティートにそう言うと、私は真っ直ぐ彼の、眼鏡の向こうの青い瞳を見つめた。

「ティートには、これからもそうやって異世界の良いものを広めて欲しい。今回うまくいけば、温泉のない場所でも使えるから……お願い、出来るかな?」
「……解りました。ただ、そう言ってくれるなら、絶対にグルナさんを連れて無事に帰ってきて下さいね? そしてもう、手放しちゃ駄目ですよ?」
「えっ……えっと?」
「僕とは違う意味で……グルナさんも、女神には必要でしょう?」

 恵理の目をやはり真っ直ぐに見返して、そう言ってきたティートに、恵理はグルナへの気持ちが気づかれたのかと焦った。そんな恵理にふ、と笑うとティートは言葉を続けた。

「これからも、何でも言って下さいね。女神の望みは、僕が頑張って叶えますから」
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