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解放
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「……この咎人を庇うか、人間」
「えっと、はい……ごめんなさい」
「咎人を殺さねば、キメラの歪みは正されん」
「……歪みが無くなれば、殺さなくてもいいんですよね?」
そう言うと、遊星は死神の返事を待たずにキメラへと手を伸ばした。
「っ!?」
刹那、キメラの長く伸びた爪が遊星の手を引っかいて阻む。
痛みに顔を歪めながらも、遊星はキメラを刺激しない為にか、優しく笑ってみせてそっとその体に腕を回した。
そして驚き、腕の中でもがくのを何とか抑え込みながら口を開く。
「セイレーン……ラ……鸞鳥?」
次いで紡がれたのは、呪文ではなく幻獣の名前だった。
それを合図にしたように、使い魔が召還される時のような光がキメラを包む。
と、その中でキメラの輪郭がほどけていき――瞳の色を真紅から青に変えた人魚と、赤に色んな色の混じった羽根を持つ小鳥が光の中から現れた。
目の前で起こった出来事に呆然とする同級生に、遊星が声をかける。
「……彼女は、君に召還されたんだって」
「ボク、は……」
「君は? 余計なこと、考えないで……本音を、聞かせて?」
線の細い、少女めいた容姿の同級生が――遊星がかけた言葉に、何か言いかけたのを止めて口を開く。
そして、泣きそうな顔で自分を見つめるセイレーンを見て。
「……ボクで、いいのかな?」
その問いかけに、人魚は大きく頷くと泣き笑いの表情で同級生の少年へと抱きついた。
※
「合成を解くとは……まあ、今回だけは見逃そう」
そう言った死神の顔は、相変わらず解らなかったが――何となくではあるが、大天使であるガブリエルを気にしている気がした。見逃すという言い方をしてはいるが、入れ知恵をしたのがガブリエルなのでこの場を譲ったのかもしれない。
(理解は、魔法の基本だ。無詠唱も、単なる力技だと思っていたが……神からの底上げがあるにしても、幻獣の本質を理解して具現化し、歪みを正したんだ)
だが、そんなことをしたら――そこまでアルバが考えたところで、死神が姿を消したのを見送っていた遊星が倒れた。
大天使ガブリエルに次いで、間接的にだが幻獣二体(セイレーンに鸞鳥)も召還したのだ。あとは、精神的にも色々と限界だったんだろう。
「先生。彼を、保健室に……いえ、いつ目覚めるか解りませんから、寮に連れて行きます」
「ああ、解った」
「……アルバ、私も」
意識を失った遊星を横抱きにし、教師に声をかけるとアルセーナが声をかけてきた。禁忌を犯した同級生を気遣うくらいだから、目の前で倒れた遊星のことも心配したのかもしれない。
「結構です」
「っ!?」
けれど、アルバはそんなアルセーナを一蹴した。
「元はと言えば、あなたの不用意な一言からこうなったんです。謝罪をすればあなたの気は済むでしょうが、せめて明日以降……彼が、目を覚ましてからにして下さい」
「貴様、殿下に何てことを!?」
「皇女なら、尚のこと……今回は無事でしたが下手したら彼も、そしてあなた方も死んでいました。臣下なら追従するばかりではなく、過ちを正さなければ」
騎士団長の娘が声を荒げるが、続けた言葉にグッと口ごもる。
それを一瞥し、金髪を翻すと――遊星を横抱きにしたまま、しっかりした足取りでアルバは寮の部屋へと向かった。
「えっと、はい……ごめんなさい」
「咎人を殺さねば、キメラの歪みは正されん」
「……歪みが無くなれば、殺さなくてもいいんですよね?」
そう言うと、遊星は死神の返事を待たずにキメラへと手を伸ばした。
「っ!?」
刹那、キメラの長く伸びた爪が遊星の手を引っかいて阻む。
痛みに顔を歪めながらも、遊星はキメラを刺激しない為にか、優しく笑ってみせてそっとその体に腕を回した。
そして驚き、腕の中でもがくのを何とか抑え込みながら口を開く。
「セイレーン……ラ……鸞鳥?」
次いで紡がれたのは、呪文ではなく幻獣の名前だった。
それを合図にしたように、使い魔が召還される時のような光がキメラを包む。
と、その中でキメラの輪郭がほどけていき――瞳の色を真紅から青に変えた人魚と、赤に色んな色の混じった羽根を持つ小鳥が光の中から現れた。
目の前で起こった出来事に呆然とする同級生に、遊星が声をかける。
「……彼女は、君に召還されたんだって」
「ボク、は……」
「君は? 余計なこと、考えないで……本音を、聞かせて?」
線の細い、少女めいた容姿の同級生が――遊星がかけた言葉に、何か言いかけたのを止めて口を開く。
そして、泣きそうな顔で自分を見つめるセイレーンを見て。
「……ボクで、いいのかな?」
その問いかけに、人魚は大きく頷くと泣き笑いの表情で同級生の少年へと抱きついた。
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「合成を解くとは……まあ、今回だけは見逃そう」
そう言った死神の顔は、相変わらず解らなかったが――何となくではあるが、大天使であるガブリエルを気にしている気がした。見逃すという言い方をしてはいるが、入れ知恵をしたのがガブリエルなのでこの場を譲ったのかもしれない。
(理解は、魔法の基本だ。無詠唱も、単なる力技だと思っていたが……神からの底上げがあるにしても、幻獣の本質を理解して具現化し、歪みを正したんだ)
だが、そんなことをしたら――そこまでアルバが考えたところで、死神が姿を消したのを見送っていた遊星が倒れた。
大天使ガブリエルに次いで、間接的にだが幻獣二体(セイレーンに鸞鳥)も召還したのだ。あとは、精神的にも色々と限界だったんだろう。
「先生。彼を、保健室に……いえ、いつ目覚めるか解りませんから、寮に連れて行きます」
「ああ、解った」
「……アルバ、私も」
意識を失った遊星を横抱きにし、教師に声をかけるとアルセーナが声をかけてきた。禁忌を犯した同級生を気遣うくらいだから、目の前で倒れた遊星のことも心配したのかもしれない。
「結構です」
「っ!?」
けれど、アルバはそんなアルセーナを一蹴した。
「元はと言えば、あなたの不用意な一言からこうなったんです。謝罪をすればあなたの気は済むでしょうが、せめて明日以降……彼が、目を覚ましてからにして下さい」
「貴様、殿下に何てことを!?」
「皇女なら、尚のこと……今回は無事でしたが下手したら彼も、そしてあなた方も死んでいました。臣下なら追従するばかりではなく、過ちを正さなければ」
騎士団長の娘が声を荒げるが、続けた言葉にグッと口ごもる。
それを一瞥し、金髪を翻すと――遊星を横抱きにしたまま、しっかりした足取りでアルバは寮の部屋へと向かった。
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