灰かぶり君

渡里あずま

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答辞をする灰かぶり君

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カップリングなし。タイトル通り、出灰の卒業式(答辞)の話です。



 いよいよ、俺達もこの白月学園を卒業する。
 ……とは言え、真白と一茶と藤郎、そして緑野と空青・海青はそのまま大学部に進学することになっていて。外部に進学するのは俺と奏水、あとかーくんだけだ。だから、まあ、俺としては一区切りくらいの認識だったりする。

「な、泣いたりなんかしないんだからなっ」
「強がる真白、萌えっ!」

 とは言え、真白が早くも目を潤ませてるから言わないけど。それにしても一茶は、今日もスマホを構えて通常運行だな。
 まあ、卒業式では俺は答辞を任されてるから――少しは、しんみりを心がけないと。



 ……そう思っていた、俺だったが。式が進むにつれ、そうも言っていられなくなった。
 答辞とくれば当然、在校生からの送辞がある。今回は、生徒会長になっていた黒士が読んでくれたんだが――何と、途中で泣き出してしまったのだ。
 それを壇上に上がった朱春がフォローし、何とか最後まで読み終えたが。もらい泣きする生徒など出てきて正直、プレッシャーが半端ない。

(まあ、ウケ狙っても仕方ないし。ガラじゃないし……原稿通り、やるだけだ)

 そう思い、名前を呼ばれた俺は壇上に上がって――すう、と息を吸って答辞を読み始めた。

「とうとう、この白月学園高等部を卒業する日がやってきました。先生方、在校生の皆様、このような素晴らしい式典を催して頂き、ありがとうございました。我々は、更に高い目標を持って進学致します……『学問に王道無し』という言葉があるように(携帯小説では王道学園というジャンルがありますが)手軽に(まあ、皆様の場合はお金や家の力で解決出来る場合もあるでしょうが、建前としては)身につける方法などありません。一つ一つ積み重ねて得ていくものです」

 ついつい、声には出さないが本音が混じってしまう。本当、フィクションかってツッコミたくなるくらいの坊ちゃん達だからな。
 だけど、続ける言葉もまた俺の本心だ。

「これから進む道は、平坦ではないかもしれません。困難があるかもしれません。しかし、心の支えとなる級友を得た今、必ず乗り越えて行くことでしょう……とは言え、我々はまだまだ未熟です。先生方や先輩方には引き続きご指導を頂き、また本日お越しの来賓の皆様には、これからも温かく見守って頂きたく改めてお願い申し上げます」

 今まで俺を支えてくれた亡き両親や桃香さん、それからこの学校に来て出会った人達を思いながら――俺は、答辞を締め括って頭を下げた。
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