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スニロの話
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◇
僕らは研究員だ。巨大虫の生態を観察し、情報を収集し、幼虫から成虫へ育てる役目を担っている。虫の種類は様々で、そこら辺にいる類のものも居れば、森の奥深くを探しても見つからないような珍しいものまで様々だ。
しかし、僕ら研究員はただ情報を得て、彼らを育てるばかりではない。その過程で、彼らの欲求を解消する役目も背負っている。
我々が収容している虫たちは、通常の虫と違い、人間に似た性器が備わっている。サイズは体格に見合ったもので、欲求の捌け口になっている僕ら研究員は一苦労なのである。
────しかし、仕事だから仕方ないよな。
僕は息を漏らしながら廊下を歩む。綺麗に磨かれた床を、履き慣れた靴の踵で蹴る。手首につけた機器を見つめ、息を吐いた。これは巨大虫たちと接する研究員が全員身につけている機器である。僕らの心拍数などを把握し、危機が迫ったらすぐにアラームが鳴るシステムになっている。
────まぁ、危険な幼虫たちもそんなにいないけれど……。
機器を爪で弾き鳴らしながら、すれ違う人間に挨拶をする。ようやく見えてきた研究室のドアを開け、中へ入った。ノルが収容されているそこは、温室のような環境である。部屋の隅には人工的に植えられた木々が敷き詰められており、その隙間からノルが顔を出した。僕の姿を見るなりのそのそと近づく彼に頬を緩める。
「もう食事は摂ったかい?」
話しかけながら、ノルを撫でる。さらりとした心地と柔らかい感触にうっとりとしていると、彼が服の袖を口に含む。グイと脱がせるような仕草を見せたノルに苦笑いが漏れた。
「……したいの、かな?」
力強く引っ張られ、彼を押し返す。破れちゃうから待ってと制しても、ノルは一向に従う気配がなかった。
脱ぐ仕草を見せると、途端に彼は口を離した。くりくりとした黒目で僕を見つめる。
「ちょっと待ってね」
白衣を脱ぎ捨て、シャツのボタンを外す。その数秒の間も待てないのか、今度はスラックスの裾を引っ張った。バランスを崩し、転びかける。
「待って、ノル……」
中途半端に脱げた上半身の衣類を放置し、床に寝そべった。下半身へ手を伸ばしベルトを解く。ノルが器用にスラックスと下着を咥え、下ろした。上へ覆い被さってきたノルが、まるで人懐っこい猫のように擦り寄る。柔らかい肉に押し倒され、体全体を覆われた。
腹脚が蠢き、その振動が体を刺激する。擽ったさに肩を揺らした。
「あっ、ノル、まっ……」
ノルの胸脚が頬を掴んだ。そのまま口付けをされる。吸い付くように何度も舌を嬲られ、息が上がった。
不意に、下腹部に硬いものが当たる。それは徐々に大きさと熱を帯びた。
人間よりも遥かに大きく、彼らの体に見合った性器に少しだけげんなりする。
────これも、仕事だから。
そう割り切り、その先端から溢れ出る体液を腹で感じた。ドロドロとした液体は、後孔へ入りやすくするためにとめどなく溢れている。独特な匂いが鼻腔を掠めた。
「んっ、ん……ん゛、……っ」
丹念に口内を弄られ、脳の奥がぼんやりとしてきた。
彼ら巨大虫の体液には、人間を酩酊させる成分が含まれている。体液を体内に取り込むと、いわゆる媚薬と呼ばれるものと同じ効果を発揮するのだ。そのため、行為中は思考回路が鈍ってしまう。
「はぁ、あ……ぅ……のる……」
口を離したノルが、ジィと僕を見つめた。耳の近くに口を近づけ、ぬちぬちと音を立てて舐める。全身に鳥肌が立ち、喉の奥から声が漏れた。
「あっ、あっ、あぁ、……っ、はぁ……い、挿れるの、後ろからでも、いい?」
僕は彼を押し返し、うつ伏せになった。ノルはその間も愛おしげに頭部をすり寄せてくる。可愛いね、とひとりごち、しかし今から自分の身に降り注ぐ行為は可愛げのあるものではないのだ、と唇を噛み締めた。
僕らは研究員だ。巨大虫の生態を観察し、情報を収集し、幼虫から成虫へ育てる役目を担っている。虫の種類は様々で、そこら辺にいる類のものも居れば、森の奥深くを探しても見つからないような珍しいものまで様々だ。
しかし、僕ら研究員はただ情報を得て、彼らを育てるばかりではない。その過程で、彼らの欲求を解消する役目も背負っている。
我々が収容している虫たちは、通常の虫と違い、人間に似た性器が備わっている。サイズは体格に見合ったもので、欲求の捌け口になっている僕ら研究員は一苦労なのである。
────しかし、仕事だから仕方ないよな。
僕は息を漏らしながら廊下を歩む。綺麗に磨かれた床を、履き慣れた靴の踵で蹴る。手首につけた機器を見つめ、息を吐いた。これは巨大虫たちと接する研究員が全員身につけている機器である。僕らの心拍数などを把握し、危機が迫ったらすぐにアラームが鳴るシステムになっている。
────まぁ、危険な幼虫たちもそんなにいないけれど……。
機器を爪で弾き鳴らしながら、すれ違う人間に挨拶をする。ようやく見えてきた研究室のドアを開け、中へ入った。ノルが収容されているそこは、温室のような環境である。部屋の隅には人工的に植えられた木々が敷き詰められており、その隙間からノルが顔を出した。僕の姿を見るなりのそのそと近づく彼に頬を緩める。
「もう食事は摂ったかい?」
話しかけながら、ノルを撫でる。さらりとした心地と柔らかい感触にうっとりとしていると、彼が服の袖を口に含む。グイと脱がせるような仕草を見せたノルに苦笑いが漏れた。
「……したいの、かな?」
力強く引っ張られ、彼を押し返す。破れちゃうから待ってと制しても、ノルは一向に従う気配がなかった。
脱ぐ仕草を見せると、途端に彼は口を離した。くりくりとした黒目で僕を見つめる。
「ちょっと待ってね」
白衣を脱ぎ捨て、シャツのボタンを外す。その数秒の間も待てないのか、今度はスラックスの裾を引っ張った。バランスを崩し、転びかける。
「待って、ノル……」
中途半端に脱げた上半身の衣類を放置し、床に寝そべった。下半身へ手を伸ばしベルトを解く。ノルが器用にスラックスと下着を咥え、下ろした。上へ覆い被さってきたノルが、まるで人懐っこい猫のように擦り寄る。柔らかい肉に押し倒され、体全体を覆われた。
腹脚が蠢き、その振動が体を刺激する。擽ったさに肩を揺らした。
「あっ、ノル、まっ……」
ノルの胸脚が頬を掴んだ。そのまま口付けをされる。吸い付くように何度も舌を嬲られ、息が上がった。
不意に、下腹部に硬いものが当たる。それは徐々に大きさと熱を帯びた。
人間よりも遥かに大きく、彼らの体に見合った性器に少しだけげんなりする。
────これも、仕事だから。
そう割り切り、その先端から溢れ出る体液を腹で感じた。ドロドロとした液体は、後孔へ入りやすくするためにとめどなく溢れている。独特な匂いが鼻腔を掠めた。
「んっ、ん……ん゛、……っ」
丹念に口内を弄られ、脳の奥がぼんやりとしてきた。
彼ら巨大虫の体液には、人間を酩酊させる成分が含まれている。体液を体内に取り込むと、いわゆる媚薬と呼ばれるものと同じ効果を発揮するのだ。そのため、行為中は思考回路が鈍ってしまう。
「はぁ、あ……ぅ……のる……」
口を離したノルが、ジィと僕を見つめた。耳の近くに口を近づけ、ぬちぬちと音を立てて舐める。全身に鳥肌が立ち、喉の奥から声が漏れた。
「あっ、あっ、あぁ、……っ、はぁ……い、挿れるの、後ろからでも、いい?」
僕は彼を押し返し、うつ伏せになった。ノルはその間も愛おしげに頭部をすり寄せてくる。可愛いね、とひとりごち、しかし今から自分の身に降り注ぐ行為は可愛げのあるものではないのだ、と唇を噛み締めた。
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