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オマケ
*2月14日の秘密
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「それで? なぜ私に内緒で『あちら』に行こうとなさっていたのです?」
腕組みをし、問いつめるシーモスはいつになく表情が無い。泰樹はその前でしょんぼりとうなだれて、椅子にかけていた。
ここはシーモスの私室で、シーモスと泰樹の他には誰もいない。
「……」
「黙っていては解りませんでしょう? ……ああ、とうとう飽いてしまいましたか? ここでの暮らしに」
シーモスはどこか冷たく告げる。吊り上げた唇の端が、皮肉く笑っていた。
「……そんなんじゃ、ねえよ」
困り気味の眉をますます困らせて、泰樹はぎゅっと膝を掴んだ。
「それでは、何故です?」
すいと、シーモスの整った顔が近づいてきて、泰樹は視線をそらす。
「……やだ。言いたくねえ」
「はあ。今日は強情でございますね、タイキ様。『あちら』に何か未練でも?」
「未練……そりゃ、子供たちがどうしてる、とかそう言うのはちょっと気になるけどさ……あ、いや、今回はそう言うのじゃねえ……おあっ!」
不意に、シーモスは泰樹の膝の上に向き合う形で座り込んだ。ずいっと吐息がかかるほど顔を近づけられて、泰樹は息を飲む。
「では、一体何故? 何がご不満なのです?」
「不満なんかねえよ! メシは美味いし、イリスもアルダーも、その、アンタもいてくれるし、足りないことなんて、ねえ、けど……」
「……けど?」
シーモスの指先が泰樹の首元、奴隷の証を軽く弾いて、澄んだ金属音を立てる。
「……貴方は私のモノ。そんなタイキ様が、私に隠し事など、許されるとお思いですか?」
「……う、ううっ」
威嚇するように、シーモスは奴隷の証に歯を立てる。そのまま、首筋に舌が這わされた。
「……んっ」
びくり。泰樹の肌が期待に震えて、総毛立つ。
――ああ、ダメだ。このまま抱かれたら、何もかもをバラしてしまう。まだ、『アレ』を手に入れてないのに。
「……や、めろ……っ!」
どうにかなけなしの理性を動員して、シーモスの身体を引き離す。純粋な筋力の勝負ならこちらに分がある。
「……」
押し返されたシーモスはショックで憮然としているように、口をつぐんだ。
「……ま、まだ、言えない! まだ言えないけど……アンタが嫌いになったとか、ここに飽きたとか、そう言うことじゃないから!」
「……そんなに、『あちら』に戻りたい、と?」
眼鏡の奥で、シーモスの遊色の碧眼が揺れている。それが、ちらりと視界に映って、泰樹はうろたえた。
「うん。……あのな。欲しいモノが、あるんだよ。それ買いに行きたい」
「私に、内緒で?」
「うん。ホントは完璧に内緒にしたかったけどさ、アンタしか『あっち』に行く魔法使えないんだろ? だからイリスに相談したんだけど……」
イリスも、親しい者に嘘をつくことは得意では無い。多分シーモスに、色々と聞き出されたのだろう。だが、肝心の『アレ』の話は秘密にしてくれたらしい。その事に、心の中で感謝する。
「ああ、ええ。イリス様は多くはおっしゃいませんでした。ただ、『あちら』に行く方法は魔法の他に無いのかとおたずねになったのです」
「それで?」
「それで私は、イリス様が『あちら』にご興味があるのかと。ですが、イリス様は『僕じゃ無いよ』と、うっかりおっしゃった。後は簡単な推測でございますね」
「う……」
――ああ、なるほど。納得した。それで、シーモスは俺を問いつめた訳か。
「頼む。『あっち』に行かせてくれ。買い物すんだら、すぐ帰ってくるから!」
全てがバレた訳では無いのなら、いっその事シーモスに頼んでしまおう。『あちら』に行かせて貰えれば『アレ』が手に入る。と、泰樹は頼み込む。
「……はあ。何をご所望なのかは解りませんが、私が代わりに買ってきてはいけないモノなのですか?」
「うん。俺が買わないと、意味が無い、し」
お願いをする泰樹は、いつになく真剣な表情で。シーモスは小さくため息をついた。
「……はあ、解りました。タイキ様にも秘密にしたい買い物の一つや二つ、ございますでしょう。少しばかり、業腹でございますが、許可いたします。ですが……」
シーモスは改めて、泰樹の膝に乗る。自然と唇を重ねられて、泰樹は思わず目を閉じた。
「私に隠し事をするなら、罰を受けていただきましょうね?」
「……んっ」
舌先を強く吸われた。伸びきった舌を犬歯で甘噛みされて、軽いしびれが走る。
「……は、んんっ……罰?」
「今日はもう、眠れるなどとはお思いになりませぬように」
耳元に、注ぎ込むようにささやかれる。そのまま耳たぶを食まれて、泰樹はその刺激に背筋を震わせた。
「……ん、あ……シーモスぅ……は、ぁ……っ」
「ああ、これでは罰になりませんね……?」
口付けられると同時に、布越しに性器をもてあそばれている。トロリと蕩けだした泰樹の瞳が、物欲しげに細められた。
「あ、あ……アンタと……こう、するの好き、だから……飽きてなんか、いない、からぁ……っ」
「……本当、に? タイキ様は私を置いて、『あちら』に帰ったりは、なさらないと?」
シーモスはどこか不安げに、泰樹の眼を見つめる。
――ああ、こいつは。心配なのだ。俺がいつ自分を見限るのかと、いつ『あちら』に帰りたいと言い出すのかと。そんなこと、あり得ないのに。
そう思うと、目の前の魔人が愛しくて、かわいくてたまらない。
へにゃりと泰樹は微笑んで、シーモスの頭を撫でた。
「……?!」
「……心配させて、ゴメン、な。でも俺の欲しいモノ買ったら、ちゃんと帰ってくるから。だから……朝まで、シよ?」
シーモスの頬を包み込むように手を添えて、そっと顔を寄せ、泰樹は唇を重ねる。
何度もキスをしているのに、今日のキスは少し辛いような気がする。多分、シーモスの気分がささくれているせいだ。
「……本当に、本当に戻ってきて下さいますね?」
「うん。アンタを独りにしたり、しないから」
「お戻りになったら、何をお求めになったのか、私にも教えてくださいますか?」
「うん。だから、今日は『罰』、ちょうだい……」
「まったく、もう! そんなに喜んでしまわれては『罰』にならないではありませんか!」
ようやく、シーモスが苦笑する。泰樹はそれが嬉しくて、シーモスの胸元に顔を埋めた。
良い匂いがする。香水みたいな、花の匂いみたいな、キレイな香りだ。シーモスの背中に腕を回して細い身体を抱きしめると、そっと頭を抱えられた。
「寝台に、まいりましょう。タイキ様」
「ん……」
シーモスを抱きかかえたまま、ベッドに向かう。
「アンタがくれる物なら、どんなモノでも好きだよ。『罰』でもなんでも」
「殊勝なことをおっしゃっても、私、隠し事には怒っておりますからね……?」
ベッドの上で、シーモスは泰樹の腰にまたがったまま、上着の留め具を外していく。泰樹が自分も服を脱ごうとすると、シーモスがそれを制した。
「私が」
「え、あ……うん」
シーモスの手が、ゆっくりと泰樹の上着を脱がせていく。その手つきが妙に優しくて、くすぐったい。
「ん……っ」
露わになった肌に、シーモスの指先が触れた。脇腹から肋骨の辺りをなぞるようにくすぐられて、泰樹は身をよじった。
「ここも、感じやすくなりましたね?」
「んっ……だって、アンタがいつも触るから……っ」
「ふふ……そうですね。全て私のせいです」
くすり、とシーモスが笑う。その吐息が乳首に触れて、泰樹は思わずシーモスにしがみついた。
「あっ……!」
「タイキ様のお好きな所は、全て覚えております。ですから、どこをどうすればタイキ様が悦ばれるかも」
「や、め……っひぅう……ッ!!」
かり、と乳首に軽く歯を立てられる。それだけで泰樹の下腹部は熱を持って、下着の中で窮屈そうにしている性器の先端からは先走りが溢れ出した。
「ほら、こんなに濡れて……気持ちいいですか?」
「んっ……んんっ」
布越しにぬるつく先端を親指で擦られて、泰樹はシーモスの肩口に額を押し付ける。
「んっ……あぅっ……んんっ」
「おや、声を出してくださらないのですか? いけませんね」
「あ、あぁ……っ!」
「もっと、お聞かせください」
耳元に吹き込まれる甘いささやきに、泰樹は身震いした。シーモスの滑らかな声は、魔法だ。耳元に響くだけで全身が痺れて、何も考えられなくなる。
「ふぁ……あ……あぁ……!」
耳たぶを食まれて、舌を差し込まれた。そのまま耳の穴に舌を出し入れされて、脳に直接注ぎ込むような水音に思考が溶けていく。
「あぁ……ああ……っ!」
「ああ、また大きくなられましたよ? こうやって、舌を入れられるのは、お好きでしょう?」
シーモスのしなやかな指先が、下着の中に入ってくる。直接、ぬるつく先端をこすられて、泰樹は思わず声を上げた。
「あ、あ……好き……っ好きぃ……!」
「ふふふ、素直なタイキ様は大好きですよ?」
「あ、あぁ……っ」
ちゅるりと舌を引き抜いて、シーモスは泰樹の頬に口づけた。
「タイキ様、こちらを向いて下さいませ。ああ、そんなに蕩けたお顔をなさって……」
「あ、あ……うる、せ……っ」
シーモスの瞳を見つめながら、泰樹は小さく口を開く。シーモスは満足げに微笑んで、泰樹の唇に自分のそれを重ね合わせた。
「ん……んん……」
シーモスの柔らかい舌が、泰樹の口腔内を蹂躙する。泰樹は必死になってそれに答えようと、シーモスの首に腕を回してしがみ付いた。
「ん……ちゅ……んんん……!」
キスをしながら、シーモスの手が泰樹の身体をまさぐる。胸の突起をつまみ上げられて、泰樹は背筋をしならせた。
「あ……あ……!」
「お可愛らしい……もう、達してしまいそうなのでしょう?」
「あ、あ……うん……っ! イく……!」
「ええ、存分にお出し下さい」
「あ……あ……っ!」
ぎゅっと強く乳首をつねられた瞬間、泰樹はシーモスの手に精を放った。
「は……あ、あぁ……」
「ふふ、たくさん出ましたね。良い子良い子……」
シーモスは泰樹の頭を撫でると、サイドテーブルの引き出しから潤滑剤の小瓶を取り出す。
「さて、タイキ様。まだまた『罰』は続きますよ?」
「ん……」
シーモスは泰樹の頬に手を添えると、すっかり服を脱がせて自分も肌を見せる。シーモスは泰樹の身体を愛撫する。その手が下半身に伸びて、泰樹は思わず息を詰めた。
「ん……」
「期待して、らっしゃるのでしょう?」
「……ああ……はや、く……っ」
甘く、懇願する泰樹に、シーモスは艶やかに笑ってうなずいた。シーモスの手が、泰樹の後孔に触れる。潤滑剤の力を借りて、指先が中に潜り込んだ。
「あ、あ……っ」
「痛くありませんか?」
「ん……平気……っもっと……っ」
指先が、体内を探る。ゆっくりと時間をかけて解されて、泰樹はもどかしさに腰を揺らした。
「あっ……あ……っ」
「もう少し、我慢していてくださいね」
「う、うん……っ」
シーモスの言葉に、泰樹は素直に従う。そうしたら『ご褒美』が貰えると身にしみて解っているのだ。それでも、我慢しきれずに早く欲しいと訴えると、シーモスは困ったような笑みを浮かべた。
「まったく……タイキ様は本当に堪え性がないですね」
「んん……だって、よ……っ」
「わかっております。私も、タイキ様が欲しくて堪らないのですから」
「あっ……あ……!」
ぐいっと、両足を持ち上げられて、秘部が露わになる。羞恥心よりも期待の方が勝って、泰樹はシーモスの次の行動を待った。
「ん……んん……っ」
熱い塊が、後孔に押し当てられる。それだけで泰樹は軽く達してしまったが、シーモスは構わずに体重をかけて挿入してきた。
「あ、あ……あぁ……っ!!」
ずぷり、と一気に奥まで貫かれて、泰樹は喉を仰け反らせて喘いだ。
「あ……あ……すご……っおっき……っ」
「っ……あまり煽らないでくださいませ」
「やぁ……あ……っ」
シーモスが軽く息を詰める。泰樹は無意識のうちに中を締め付けて、シーモスの形を感じ取ろうとしていた。
「あぁ……あ……すごい……いっぱい、だぁ……」
「ふふ……そんなに嬉しそうにされては、『罰』になりませんね?」
「んっ……それは……っ」
苦笑と同時に、抽挿が始まる。最初は緩やかだった動きは次第に激しくなっていって、泰樹は揺さぶられながら何度も絶頂を迎えた。
「あ、あ……っ! イく……っそんなに、したらぁ……っ!」
「ああ、また達されましたね? ふふふ、タイキ様は本当に淫乱なお方です……」
「あ……あぁ……っ!」
「でも、そんな所も可愛らしいですよ?」
「あ、あーっ……」
シーモスの声に、思考回路が完全に溶けてしまう。泰樹はシーモスにしがみ付くと、自らも腰を振り始めた。
「あ、あ……! もっとぉ……!」
「ええ、もちろんですよ……っ」
「んん……んぅ……っ!!」
口づけを交わしたまま、泰樹はシーモスの雄を受け入れる。そのまま体内に放たれた白濁を感じると、泰樹は幸せそうな表情で意識を手離した。
「ただいま!」
『あちら』に行って半日ほど。泰樹は無事に戻ってきた。両手にいくつかの包みを抱えて、満足げな顔をしている。
シーモスが無言で近寄ってきて、ぎゅっと抱きしめられた。
「……お帰りなさいませ」
「うん。ただいま」
どんな言葉よりも雄弁に、シーモスの態度は喜んでいる。何事も無く泰樹が戻ってきたことが嬉しくてたまらないようだった。
「……あのな、これ。アンタに、プレゼント」
手にしていた包みの中で、一際大きく華やかなモノを、泰樹は差し出す。
「これは……?」
「それ、チョコレートって言ってさ。丁度今くらいの時期に、その、世話になってるヤツ、とか、こ、恋人とか……に贈るんだ」
顔色を真っ赤にして、泰樹はその言葉を口にする。
「……タイキ、様……?」
呆然とシーモスは、泰樹が差し出した包み紙を受け取った。
「ごめんな、内緒にしてて、さ。……だって、恥ずかしい、だろ! アンタにバレンタインのチョコ渡したいから、『あっち』に行きたい、とか、そんなのよぉー!」
「そのために……? 私のために……?」
ぎゅっとチョコレートの包みを胸に抱いて、シーモスは唇を噛んだ。
「うん。イリスとアルダーにも、な。でも、一番はシーモス、アンタだ。どうしても、アンタにチョコ、贈りたかった。アンタに食べて欲しかった」
はにかむように、泰樹は頬をかく。
「これさ、スゲー美味いんだ! 噛むと中からトロッとした甘いのが出てきたり、ナッツ入ってたり、色々種類があってさ!」
「あの、開けてみても、よろしいですか?」
「うん! 食ってみてくれよ」
シーモスは美しい包み紙を丁寧にはがして、チョコレートの箱を開けた。色とりどりの、小粒なチョコレートたち。眼で見るだけでも楽しい、美しい食べ物だ。
シーモスは、碧色の一粒を手に取った。ゆっくりと唇に運んで、口に含む。
眼を閉じて、シーモスはチョコレートを味わっているようだ。泰樹は固唾を飲んで見守った。
「……私、もう人の味覚はほとんど残っておりませんが……これはとても甘くて、濃厚で……ああ……解ります……これが、とても美味しいモノだということが……」
感極まったのか、まぶたを開けたシーモスの遊色の瞳から、ぽろと涙が一粒こぼれる。泰樹はそれを拭って、にっと笑った。
「チョコくらい甘ければ、アンタでも味がするかと思ったんだ。……その、気に入って貰えたか?」
「はい! 有り難う、ございます……こんなに嬉しい贈り物は……初めてでございます」
シーモスの整った顔に、素直な喜びが見て取れる。それが何よりも、泰樹にとって嬉しかった。
「タイキ様」
不意に、名前を呼ばれた。唇に、チョコレートを押しつけられた。訳もわからず、チョコレートを口に含むと、シーモスはキスしてくる。
「は、ん、ぅ……」
キスの熱で、チョコレートが甘く溶けていく。
シーモスの舌先が泰樹の舌の上を這い回って、くちゅりと唾液と共にそれを絡め取っていった。
「んっ……んぅ……っふ、んんっ」
「んっ……ふふっ……甘い、ですね」
「……いきなり、ビックリするだろ……っ」
口移しされたチョコレートの甘さに、泰樹の身体はとたんに火照ってくる。
シーモスは悪戯っぽく笑って、「まだありますからね」と言ってもう一粒を泰樹に渡した。
「あーもう! 俺ばっかじゃなくてさあ、アンタがもっと食えば良いじゃねえか」
泰樹はシーモスの唇に押しつけるようにして、チョコレートを食べさせる。
「はい、タイキ様のお心遣い、痛み入ります。このお返しに、何を差し上げましょう。私の愛情たっぷりの手作りお菓子を……いえ、先にこのチョコレートの感想をお伝え致しましょうね?」
「え?」
シーモスは泰樹の手を引いて、ベッドへと誘う。そのままベッドの上に押し倒された。
「さて、ではいただきますよ。タイキ様?」
「ん……え、あ……待ってっ」
「待ちません」
泰樹の唇に、シーモスの指が触れる。
「愛しております。永遠に」
シーモスの指が、泰樹の口をこじ開けるように動いた。
「ん……ぁ……う……っ」
シーモスは泰樹の口腔内の温かさを堪能しながら、チョコレートを押し込んだ。それを指先で転がす。
「……おいしいですか?」
「……おいひぃ……けど……なんか、やらひい……」
「ふふふ……タイキ様」
「うん……来て」
泰樹はシーモスの背に腕を回して、引き寄せる。シーモスは泰樹の頬に何度もキスをして、それから耳元でささやいた。
「このお菓子のように蕩けるまで、可愛がって差し上げますからね?」
「……うん……!」
泰樹はシーモスの首筋に唇を寄せた。
「……あ……あっ……あぁ……っ」
ぐずぐずに溶かし尽くされるような快楽の中で、泰樹は必死になってシーモスの名前を呼ぶ。
「シーモス……ああ、好きだ……好き……っ」
「私もですよ……ずっと、側にいてくださいね……?」
「う、ん。いる、いるから……だから……ああ……も、イきそ……っ」
チョコよりも甘くて濃厚な夜は、まだまだ続きそうだ。
腕組みをし、問いつめるシーモスはいつになく表情が無い。泰樹はその前でしょんぼりとうなだれて、椅子にかけていた。
ここはシーモスの私室で、シーモスと泰樹の他には誰もいない。
「……」
「黙っていては解りませんでしょう? ……ああ、とうとう飽いてしまいましたか? ここでの暮らしに」
シーモスはどこか冷たく告げる。吊り上げた唇の端が、皮肉く笑っていた。
「……そんなんじゃ、ねえよ」
困り気味の眉をますます困らせて、泰樹はぎゅっと膝を掴んだ。
「それでは、何故です?」
すいと、シーモスの整った顔が近づいてきて、泰樹は視線をそらす。
「……やだ。言いたくねえ」
「はあ。今日は強情でございますね、タイキ様。『あちら』に何か未練でも?」
「未練……そりゃ、子供たちがどうしてる、とかそう言うのはちょっと気になるけどさ……あ、いや、今回はそう言うのじゃねえ……おあっ!」
不意に、シーモスは泰樹の膝の上に向き合う形で座り込んだ。ずいっと吐息がかかるほど顔を近づけられて、泰樹は息を飲む。
「では、一体何故? 何がご不満なのです?」
「不満なんかねえよ! メシは美味いし、イリスもアルダーも、その、アンタもいてくれるし、足りないことなんて、ねえ、けど……」
「……けど?」
シーモスの指先が泰樹の首元、奴隷の証を軽く弾いて、澄んだ金属音を立てる。
「……貴方は私のモノ。そんなタイキ様が、私に隠し事など、許されるとお思いですか?」
「……う、ううっ」
威嚇するように、シーモスは奴隷の証に歯を立てる。そのまま、首筋に舌が這わされた。
「……んっ」
びくり。泰樹の肌が期待に震えて、総毛立つ。
――ああ、ダメだ。このまま抱かれたら、何もかもをバラしてしまう。まだ、『アレ』を手に入れてないのに。
「……や、めろ……っ!」
どうにかなけなしの理性を動員して、シーモスの身体を引き離す。純粋な筋力の勝負ならこちらに分がある。
「……」
押し返されたシーモスはショックで憮然としているように、口をつぐんだ。
「……ま、まだ、言えない! まだ言えないけど……アンタが嫌いになったとか、ここに飽きたとか、そう言うことじゃないから!」
「……そんなに、『あちら』に戻りたい、と?」
眼鏡の奥で、シーモスの遊色の碧眼が揺れている。それが、ちらりと視界に映って、泰樹はうろたえた。
「うん。……あのな。欲しいモノが、あるんだよ。それ買いに行きたい」
「私に、内緒で?」
「うん。ホントは完璧に内緒にしたかったけどさ、アンタしか『あっち』に行く魔法使えないんだろ? だからイリスに相談したんだけど……」
イリスも、親しい者に嘘をつくことは得意では無い。多分シーモスに、色々と聞き出されたのだろう。だが、肝心の『アレ』の話は秘密にしてくれたらしい。その事に、心の中で感謝する。
「ああ、ええ。イリス様は多くはおっしゃいませんでした。ただ、『あちら』に行く方法は魔法の他に無いのかとおたずねになったのです」
「それで?」
「それで私は、イリス様が『あちら』にご興味があるのかと。ですが、イリス様は『僕じゃ無いよ』と、うっかりおっしゃった。後は簡単な推測でございますね」
「う……」
――ああ、なるほど。納得した。それで、シーモスは俺を問いつめた訳か。
「頼む。『あっち』に行かせてくれ。買い物すんだら、すぐ帰ってくるから!」
全てがバレた訳では無いのなら、いっその事シーモスに頼んでしまおう。『あちら』に行かせて貰えれば『アレ』が手に入る。と、泰樹は頼み込む。
「……はあ。何をご所望なのかは解りませんが、私が代わりに買ってきてはいけないモノなのですか?」
「うん。俺が買わないと、意味が無い、し」
お願いをする泰樹は、いつになく真剣な表情で。シーモスは小さくため息をついた。
「……はあ、解りました。タイキ様にも秘密にしたい買い物の一つや二つ、ございますでしょう。少しばかり、業腹でございますが、許可いたします。ですが……」
シーモスは改めて、泰樹の膝に乗る。自然と唇を重ねられて、泰樹は思わず目を閉じた。
「私に隠し事をするなら、罰を受けていただきましょうね?」
「……んっ」
舌先を強く吸われた。伸びきった舌を犬歯で甘噛みされて、軽いしびれが走る。
「……は、んんっ……罰?」
「今日はもう、眠れるなどとはお思いになりませぬように」
耳元に、注ぎ込むようにささやかれる。そのまま耳たぶを食まれて、泰樹はその刺激に背筋を震わせた。
「……ん、あ……シーモスぅ……は、ぁ……っ」
「ああ、これでは罰になりませんね……?」
口付けられると同時に、布越しに性器をもてあそばれている。トロリと蕩けだした泰樹の瞳が、物欲しげに細められた。
「あ、あ……アンタと……こう、するの好き、だから……飽きてなんか、いない、からぁ……っ」
「……本当、に? タイキ様は私を置いて、『あちら』に帰ったりは、なさらないと?」
シーモスはどこか不安げに、泰樹の眼を見つめる。
――ああ、こいつは。心配なのだ。俺がいつ自分を見限るのかと、いつ『あちら』に帰りたいと言い出すのかと。そんなこと、あり得ないのに。
そう思うと、目の前の魔人が愛しくて、かわいくてたまらない。
へにゃりと泰樹は微笑んで、シーモスの頭を撫でた。
「……?!」
「……心配させて、ゴメン、な。でも俺の欲しいモノ買ったら、ちゃんと帰ってくるから。だから……朝まで、シよ?」
シーモスの頬を包み込むように手を添えて、そっと顔を寄せ、泰樹は唇を重ねる。
何度もキスをしているのに、今日のキスは少し辛いような気がする。多分、シーモスの気分がささくれているせいだ。
「……本当に、本当に戻ってきて下さいますね?」
「うん。アンタを独りにしたり、しないから」
「お戻りになったら、何をお求めになったのか、私にも教えてくださいますか?」
「うん。だから、今日は『罰』、ちょうだい……」
「まったく、もう! そんなに喜んでしまわれては『罰』にならないではありませんか!」
ようやく、シーモスが苦笑する。泰樹はそれが嬉しくて、シーモスの胸元に顔を埋めた。
良い匂いがする。香水みたいな、花の匂いみたいな、キレイな香りだ。シーモスの背中に腕を回して細い身体を抱きしめると、そっと頭を抱えられた。
「寝台に、まいりましょう。タイキ様」
「ん……」
シーモスを抱きかかえたまま、ベッドに向かう。
「アンタがくれる物なら、どんなモノでも好きだよ。『罰』でもなんでも」
「殊勝なことをおっしゃっても、私、隠し事には怒っておりますからね……?」
ベッドの上で、シーモスは泰樹の腰にまたがったまま、上着の留め具を外していく。泰樹が自分も服を脱ごうとすると、シーモスがそれを制した。
「私が」
「え、あ……うん」
シーモスの手が、ゆっくりと泰樹の上着を脱がせていく。その手つきが妙に優しくて、くすぐったい。
「ん……っ」
露わになった肌に、シーモスの指先が触れた。脇腹から肋骨の辺りをなぞるようにくすぐられて、泰樹は身をよじった。
「ここも、感じやすくなりましたね?」
「んっ……だって、アンタがいつも触るから……っ」
「ふふ……そうですね。全て私のせいです」
くすり、とシーモスが笑う。その吐息が乳首に触れて、泰樹は思わずシーモスにしがみついた。
「あっ……!」
「タイキ様のお好きな所は、全て覚えております。ですから、どこをどうすればタイキ様が悦ばれるかも」
「や、め……っひぅう……ッ!!」
かり、と乳首に軽く歯を立てられる。それだけで泰樹の下腹部は熱を持って、下着の中で窮屈そうにしている性器の先端からは先走りが溢れ出した。
「ほら、こんなに濡れて……気持ちいいですか?」
「んっ……んんっ」
布越しにぬるつく先端を親指で擦られて、泰樹はシーモスの肩口に額を押し付ける。
「んっ……あぅっ……んんっ」
「おや、声を出してくださらないのですか? いけませんね」
「あ、あぁ……っ!」
「もっと、お聞かせください」
耳元に吹き込まれる甘いささやきに、泰樹は身震いした。シーモスの滑らかな声は、魔法だ。耳元に響くだけで全身が痺れて、何も考えられなくなる。
「ふぁ……あ……あぁ……!」
耳たぶを食まれて、舌を差し込まれた。そのまま耳の穴に舌を出し入れされて、脳に直接注ぎ込むような水音に思考が溶けていく。
「あぁ……ああ……っ!」
「ああ、また大きくなられましたよ? こうやって、舌を入れられるのは、お好きでしょう?」
シーモスのしなやかな指先が、下着の中に入ってくる。直接、ぬるつく先端をこすられて、泰樹は思わず声を上げた。
「あ、あ……好き……っ好きぃ……!」
「ふふふ、素直なタイキ様は大好きですよ?」
「あ、あぁ……っ」
ちゅるりと舌を引き抜いて、シーモスは泰樹の頬に口づけた。
「タイキ様、こちらを向いて下さいませ。ああ、そんなに蕩けたお顔をなさって……」
「あ、あ……うる、せ……っ」
シーモスの瞳を見つめながら、泰樹は小さく口を開く。シーモスは満足げに微笑んで、泰樹の唇に自分のそれを重ね合わせた。
「ん……んん……」
シーモスの柔らかい舌が、泰樹の口腔内を蹂躙する。泰樹は必死になってそれに答えようと、シーモスの首に腕を回してしがみ付いた。
「ん……ちゅ……んんん……!」
キスをしながら、シーモスの手が泰樹の身体をまさぐる。胸の突起をつまみ上げられて、泰樹は背筋をしならせた。
「あ……あ……!」
「お可愛らしい……もう、達してしまいそうなのでしょう?」
「あ、あ……うん……っ! イく……!」
「ええ、存分にお出し下さい」
「あ……あ……っ!」
ぎゅっと強く乳首をつねられた瞬間、泰樹はシーモスの手に精を放った。
「は……あ、あぁ……」
「ふふ、たくさん出ましたね。良い子良い子……」
シーモスは泰樹の頭を撫でると、サイドテーブルの引き出しから潤滑剤の小瓶を取り出す。
「さて、タイキ様。まだまた『罰』は続きますよ?」
「ん……」
シーモスは泰樹の頬に手を添えると、すっかり服を脱がせて自分も肌を見せる。シーモスは泰樹の身体を愛撫する。その手が下半身に伸びて、泰樹は思わず息を詰めた。
「ん……」
「期待して、らっしゃるのでしょう?」
「……ああ……はや、く……っ」
甘く、懇願する泰樹に、シーモスは艶やかに笑ってうなずいた。シーモスの手が、泰樹の後孔に触れる。潤滑剤の力を借りて、指先が中に潜り込んだ。
「あ、あ……っ」
「痛くありませんか?」
「ん……平気……っもっと……っ」
指先が、体内を探る。ゆっくりと時間をかけて解されて、泰樹はもどかしさに腰を揺らした。
「あっ……あ……っ」
「もう少し、我慢していてくださいね」
「う、うん……っ」
シーモスの言葉に、泰樹は素直に従う。そうしたら『ご褒美』が貰えると身にしみて解っているのだ。それでも、我慢しきれずに早く欲しいと訴えると、シーモスは困ったような笑みを浮かべた。
「まったく……タイキ様は本当に堪え性がないですね」
「んん……だって、よ……っ」
「わかっております。私も、タイキ様が欲しくて堪らないのですから」
「あっ……あ……!」
ぐいっと、両足を持ち上げられて、秘部が露わになる。羞恥心よりも期待の方が勝って、泰樹はシーモスの次の行動を待った。
「ん……んん……っ」
熱い塊が、後孔に押し当てられる。それだけで泰樹は軽く達してしまったが、シーモスは構わずに体重をかけて挿入してきた。
「あ、あ……あぁ……っ!!」
ずぷり、と一気に奥まで貫かれて、泰樹は喉を仰け反らせて喘いだ。
「あ……あ……すご……っおっき……っ」
「っ……あまり煽らないでくださいませ」
「やぁ……あ……っ」
シーモスが軽く息を詰める。泰樹は無意識のうちに中を締め付けて、シーモスの形を感じ取ろうとしていた。
「あぁ……あ……すごい……いっぱい、だぁ……」
「ふふ……そんなに嬉しそうにされては、『罰』になりませんね?」
「んっ……それは……っ」
苦笑と同時に、抽挿が始まる。最初は緩やかだった動きは次第に激しくなっていって、泰樹は揺さぶられながら何度も絶頂を迎えた。
「あ、あ……っ! イく……っそんなに、したらぁ……っ!」
「ああ、また達されましたね? ふふふ、タイキ様は本当に淫乱なお方です……」
「あ……あぁ……っ!」
「でも、そんな所も可愛らしいですよ?」
「あ、あーっ……」
シーモスの声に、思考回路が完全に溶けてしまう。泰樹はシーモスにしがみ付くと、自らも腰を振り始めた。
「あ、あ……! もっとぉ……!」
「ええ、もちろんですよ……っ」
「んん……んぅ……っ!!」
口づけを交わしたまま、泰樹はシーモスの雄を受け入れる。そのまま体内に放たれた白濁を感じると、泰樹は幸せそうな表情で意識を手離した。
「ただいま!」
『あちら』に行って半日ほど。泰樹は無事に戻ってきた。両手にいくつかの包みを抱えて、満足げな顔をしている。
シーモスが無言で近寄ってきて、ぎゅっと抱きしめられた。
「……お帰りなさいませ」
「うん。ただいま」
どんな言葉よりも雄弁に、シーモスの態度は喜んでいる。何事も無く泰樹が戻ってきたことが嬉しくてたまらないようだった。
「……あのな、これ。アンタに、プレゼント」
手にしていた包みの中で、一際大きく華やかなモノを、泰樹は差し出す。
「これは……?」
「それ、チョコレートって言ってさ。丁度今くらいの時期に、その、世話になってるヤツ、とか、こ、恋人とか……に贈るんだ」
顔色を真っ赤にして、泰樹はその言葉を口にする。
「……タイキ、様……?」
呆然とシーモスは、泰樹が差し出した包み紙を受け取った。
「ごめんな、内緒にしてて、さ。……だって、恥ずかしい、だろ! アンタにバレンタインのチョコ渡したいから、『あっち』に行きたい、とか、そんなのよぉー!」
「そのために……? 私のために……?」
ぎゅっとチョコレートの包みを胸に抱いて、シーモスは唇を噛んだ。
「うん。イリスとアルダーにも、な。でも、一番はシーモス、アンタだ。どうしても、アンタにチョコ、贈りたかった。アンタに食べて欲しかった」
はにかむように、泰樹は頬をかく。
「これさ、スゲー美味いんだ! 噛むと中からトロッとした甘いのが出てきたり、ナッツ入ってたり、色々種類があってさ!」
「あの、開けてみても、よろしいですか?」
「うん! 食ってみてくれよ」
シーモスは美しい包み紙を丁寧にはがして、チョコレートの箱を開けた。色とりどりの、小粒なチョコレートたち。眼で見るだけでも楽しい、美しい食べ物だ。
シーモスは、碧色の一粒を手に取った。ゆっくりと唇に運んで、口に含む。
眼を閉じて、シーモスはチョコレートを味わっているようだ。泰樹は固唾を飲んで見守った。
「……私、もう人の味覚はほとんど残っておりませんが……これはとても甘くて、濃厚で……ああ……解ります……これが、とても美味しいモノだということが……」
感極まったのか、まぶたを開けたシーモスの遊色の瞳から、ぽろと涙が一粒こぼれる。泰樹はそれを拭って、にっと笑った。
「チョコくらい甘ければ、アンタでも味がするかと思ったんだ。……その、気に入って貰えたか?」
「はい! 有り難う、ございます……こんなに嬉しい贈り物は……初めてでございます」
シーモスの整った顔に、素直な喜びが見て取れる。それが何よりも、泰樹にとって嬉しかった。
「タイキ様」
不意に、名前を呼ばれた。唇に、チョコレートを押しつけられた。訳もわからず、チョコレートを口に含むと、シーモスはキスしてくる。
「は、ん、ぅ……」
キスの熱で、チョコレートが甘く溶けていく。
シーモスの舌先が泰樹の舌の上を這い回って、くちゅりと唾液と共にそれを絡め取っていった。
「んっ……んぅ……っふ、んんっ」
「んっ……ふふっ……甘い、ですね」
「……いきなり、ビックリするだろ……っ」
口移しされたチョコレートの甘さに、泰樹の身体はとたんに火照ってくる。
シーモスは悪戯っぽく笑って、「まだありますからね」と言ってもう一粒を泰樹に渡した。
「あーもう! 俺ばっかじゃなくてさあ、アンタがもっと食えば良いじゃねえか」
泰樹はシーモスの唇に押しつけるようにして、チョコレートを食べさせる。
「はい、タイキ様のお心遣い、痛み入ります。このお返しに、何を差し上げましょう。私の愛情たっぷりの手作りお菓子を……いえ、先にこのチョコレートの感想をお伝え致しましょうね?」
「え?」
シーモスは泰樹の手を引いて、ベッドへと誘う。そのままベッドの上に押し倒された。
「さて、ではいただきますよ。タイキ様?」
「ん……え、あ……待ってっ」
「待ちません」
泰樹の唇に、シーモスの指が触れる。
「愛しております。永遠に」
シーモスの指が、泰樹の口をこじ開けるように動いた。
「ん……ぁ……う……っ」
シーモスは泰樹の口腔内の温かさを堪能しながら、チョコレートを押し込んだ。それを指先で転がす。
「……おいしいですか?」
「……おいひぃ……けど……なんか、やらひい……」
「ふふふ……タイキ様」
「うん……来て」
泰樹はシーモスの背に腕を回して、引き寄せる。シーモスは泰樹の頬に何度もキスをして、それから耳元でささやいた。
「このお菓子のように蕩けるまで、可愛がって差し上げますからね?」
「……うん……!」
泰樹はシーモスの首筋に唇を寄せた。
「……あ……あっ……あぁ……っ」
ぐずぐずに溶かし尽くされるような快楽の中で、泰樹は必死になってシーモスの名前を呼ぶ。
「シーモス……ああ、好きだ……好き……っ」
「私もですよ……ずっと、側にいてくださいね……?」
「う、ん。いる、いるから……だから……ああ……も、イきそ……っ」
チョコよりも甘くて濃厚な夜は、まだまだ続きそうだ。
10
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