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あったかい
「ルナ様!モニカでございます!お着替えを持ってまいりました!入ってもよろしいでしょうか?」
「うん、いいよ!」
「ありがとうございます!」
失礼致します!という声と共に自分の部屋の扉が開かれる。
「こちら、ルナ様のお着替えと……あっ、そういえば隣国のキール・クランシュベル様お手紙を預かっていたんでした!」
「……キール・クランシュベル、様?」
「はい!お着替えと一緒に置いときますね。」
そうして青紫色の封蝋が押された手紙が机に置かれる。この封蝋の柄は何かしらの花だった。見覚えがある気がするけれど、これ、何だっけ。まあ、忘れたということはそんなに大切なものじゃなかったのかも。
……あ、こんなこと考えてたら"モニカ"がいなくなってる。あの執事さんみたいに「失礼いたします。」ってちゃんと言ってたなら返事しないで黙ってるなんて、悪いことしちゃったかな。
そういえば、えーっと、キール…クランシュベル、様……、からの手紙を忘れてた。開けようとすると封蝋がなかなか手強くて、少し力づくで開けたら封蝋の端がちょっと千切れてしまった。形もきれいだったのに、悲しいな。
どこか触り心地のいい封筒から便箋をそっと取る。それと同時に隙間からふわりと何かが落ちた。
「……しおり?」
僕の膝に着地したそれを拾いながらじっと見てみる。
……また花だ。しかも、封蝋の色と同じ青紫色の。
その花が押し花となってしおりになっている。
「きれいだなあ」
なぜか分からないけど、この花を見ると心がぽかぽかする。1本しかないのに、花畑にいるような、そんな感覚。
そういえば、なんでしおりが一緒に入ってるんだろう。そう思ってすっかり忘れていた手紙を手に取ってそっと開く。
『ルナ・ホワイトベリルくん
久しぶりだね。お礼が遅くなってしまってすまない。この前はクランシュベル城に遊びに来てくれてありがとう。
第二王子、第三王子もとても楽しそうにしていて僕も思わず嬉しくなってしまったよ。
そう、第三王子といえば、君に本を貸したそうだね。本を読むには栞が必要だろうと言って君のために不器用な第三王子が作っていたよ。
同封しておくから、もし良ければ使ってあげて欲しい。ちなみに、贈り物だから栞の返却は不要だそうだよ。
これも余談なのだけれど、その栞に使われている花はクランシュベル王国の国花なんだ。
花言葉は「幸せは必ず貴方の元へ行く」いい言葉だろう?ぜひ、大切にしてあげて欲しいな。
僕の職務も前より少しは落ち着いてきたから、またぜひクランシュベル城に来てくれると第二王子も第三王子も、もちろん僕も嬉しいな。
クランシュベル王国 第一王子 キール・クランシュベル』
……第三王子。なるほど、その人がしおりを僕にくれたんだ。確かに、本も借りた気がする。優しい人なんだな。また、心がぽかぽかする。この感覚は好きだ。このしおりなら、暗闇も照らしてくれる気がする。よく分からないけど、そんな気がした。
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