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6話 賭け
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もしかしたら。
屋上に行けば。
忠告をくれた女の子と会えるかもしれない。
俺は中庭を後にすると、そんな事を考えながら全力で階段へと走りこんでいた。
今はもうそれに賭けるしかこの危機を回避する方法はない。
茜と分かれてからそんなに時間も経っていないし、
屋上には鍵がかかっていて立ち入り禁止のため、
茜には屋上に行く理由はないのだ。
考えられる事で一番確率が高いのは。
忠告をくれた女の子が悪魔の気配を察知して、茜を連れ出してくれた可能性。
「命の鎖」を見破れる女の子ならば、悪魔と渡り合える力があるかもしれない。
そんな希望を胸に全力で屋上まで駆け出す。
「あっ……」
屋上へと続く扉まであと少しという所で、
足が縺れて転び、財布や生徒手帳を床に落としてしまう。
「くそ、こんな時に……」
床に落ちた物を拾っている間にも、
悪魔の足音はだんだんと上に上がってくる。
迫り来る恐怖で手が震える中、財布をポケットにしまう事は成功するが、
生徒手帳を取り落として、中が開いた状態になる。
これは今年の体育祭で撮った茜の写真……?
茜は激しい運動が禁止されているので、
この日も見学ではあったが、友達の浅倉さんのおかげで、
終始笑顔で過ごす事ができた。
2人は中学から同じ学校で、いつも仲良く一緒に時を過ごしてくれていたので、
俺は浅倉さんの存在が凄く頼もしく……。
「えっ!?」
そこで自分の記憶に違和感を覚えたため、
挟んであった写真を取り出してみると、
そこには茜と浅倉さんが仲良く微笑んでいる姿が写しだされていた。
「新崎さん……新崎さんは!?」
今日昼休憩での時も新崎さんは一緒にいて、
いつも3人仲良く学校生活を送っていた。
でも、この写真にも俺の「今の記憶」のどこにも、
『新崎 杏奈』と言う存在は出てこないのだ。
記憶の齟齬で頭が混乱している最中も、階下から足音が聞こえてくるため、
俺はすぐに生徒手帳を拾って、屋上へと続く扉のノブを捻った。
すると、そこには茜の姿と新崎さんの姿があった。
「やっぱり新崎さんが茜を保護してくれたんだな。
茜を守ってくれてありがとう」
そう言って俺は茜の元に駆け寄り、茜に「大丈夫か?」と声をかける。
「うん、私は大丈夫。新崎さんに色々教えてもらって今は落ち着いた。
新崎さん、ありがとね?」
「いえ、私は当初の目的通り行動してるだけですから」
ちなみに鏑木さん、私の事はいつ気が付いたんですか?」
今の新崎さんは言葉数も多く、堂々とした態度でこちらに探りを入れてくる。
もしかしたら、これが本来の彼女なのかもしれない。
「気が付いたのは今さっきだけど、違和感は飴を配る時だったね。
俺は飴を配る習慣的があって、みんなの分を箱から取り出すつもりが、
とっさに出したのが2個だった」
飴の箱をポケットから取り出して二人に見せる。
「最初はお世話になっている浅倉さんと新崎さんの分を
無意識に取ったのかと思ったけど、そうではなくて『仲の良い3人組』と言うのは
刷り込まれた認識で、実際は無意識の方が正しかったんだ」
そうまんまと俺達は新崎さんの術中にハマってしまっていたのだ。
「それが分かったのは、この生徒手帳に挟み込んであった今年の体育祭の写真。
ここに君が写っていないのを見て全てを思い出した。
茜は浅倉さんと仲の良い2人組で、新崎さんは身近には存在していなかった事に。
後、新崎さんが階段で忠告した時に光ったもの、銀の指輪もヒントになったね」
「鏑木先輩の言う通り。
私は2週間前にある目的のために学校に入り込んだんです」
新崎さんはそう言って、真剣で何かを決意したような表情を浮かべる。
「その話は新崎さんからさっき聞いたよ。
最初は混乱して取り乱したりしたけど、新崎さんの笑顔を思い出した。
記憶を刷り変えられたのは事実だけど、3人で笑い合った姿は偽りではなかった。
新崎さんは私達のため行動してくれたんだって」
「はい。茜ちゃん達は今でも凄く大事に思っていますし、
この学校の誰も傷ついて欲しくないと思っています。
なので、私は茜ちゃんを、この学校のみんなを守るために、
今から現れる男と戦わなければならないんです」
新崎さんがそう言うと、タイミングを計っていたように悪魔が姿を現した。
屋上に行けば。
忠告をくれた女の子と会えるかもしれない。
俺は中庭を後にすると、そんな事を考えながら全力で階段へと走りこんでいた。
今はもうそれに賭けるしかこの危機を回避する方法はない。
茜と分かれてからそんなに時間も経っていないし、
屋上には鍵がかかっていて立ち入り禁止のため、
茜には屋上に行く理由はないのだ。
考えられる事で一番確率が高いのは。
忠告をくれた女の子が悪魔の気配を察知して、茜を連れ出してくれた可能性。
「命の鎖」を見破れる女の子ならば、悪魔と渡り合える力があるかもしれない。
そんな希望を胸に全力で屋上まで駆け出す。
「あっ……」
屋上へと続く扉まであと少しという所で、
足が縺れて転び、財布や生徒手帳を床に落としてしまう。
「くそ、こんな時に……」
床に落ちた物を拾っている間にも、
悪魔の足音はだんだんと上に上がってくる。
迫り来る恐怖で手が震える中、財布をポケットにしまう事は成功するが、
生徒手帳を取り落として、中が開いた状態になる。
これは今年の体育祭で撮った茜の写真……?
茜は激しい運動が禁止されているので、
この日も見学ではあったが、友達の浅倉さんのおかげで、
終始笑顔で過ごす事ができた。
2人は中学から同じ学校で、いつも仲良く一緒に時を過ごしてくれていたので、
俺は浅倉さんの存在が凄く頼もしく……。
「えっ!?」
そこで自分の記憶に違和感を覚えたため、
挟んであった写真を取り出してみると、
そこには茜と浅倉さんが仲良く微笑んでいる姿が写しだされていた。
「新崎さん……新崎さんは!?」
今日昼休憩での時も新崎さんは一緒にいて、
いつも3人仲良く学校生活を送っていた。
でも、この写真にも俺の「今の記憶」のどこにも、
『新崎 杏奈』と言う存在は出てこないのだ。
記憶の齟齬で頭が混乱している最中も、階下から足音が聞こえてくるため、
俺はすぐに生徒手帳を拾って、屋上へと続く扉のノブを捻った。
すると、そこには茜の姿と新崎さんの姿があった。
「やっぱり新崎さんが茜を保護してくれたんだな。
茜を守ってくれてありがとう」
そう言って俺は茜の元に駆け寄り、茜に「大丈夫か?」と声をかける。
「うん、私は大丈夫。新崎さんに色々教えてもらって今は落ち着いた。
新崎さん、ありがとね?」
「いえ、私は当初の目的通り行動してるだけですから」
ちなみに鏑木さん、私の事はいつ気が付いたんですか?」
今の新崎さんは言葉数も多く、堂々とした態度でこちらに探りを入れてくる。
もしかしたら、これが本来の彼女なのかもしれない。
「気が付いたのは今さっきだけど、違和感は飴を配る時だったね。
俺は飴を配る習慣的があって、みんなの分を箱から取り出すつもりが、
とっさに出したのが2個だった」
飴の箱をポケットから取り出して二人に見せる。
「最初はお世話になっている浅倉さんと新崎さんの分を
無意識に取ったのかと思ったけど、そうではなくて『仲の良い3人組』と言うのは
刷り込まれた認識で、実際は無意識の方が正しかったんだ」
そうまんまと俺達は新崎さんの術中にハマってしまっていたのだ。
「それが分かったのは、この生徒手帳に挟み込んであった今年の体育祭の写真。
ここに君が写っていないのを見て全てを思い出した。
茜は浅倉さんと仲の良い2人組で、新崎さんは身近には存在していなかった事に。
後、新崎さんが階段で忠告した時に光ったもの、銀の指輪もヒントになったね」
「鏑木先輩の言う通り。
私は2週間前にある目的のために学校に入り込んだんです」
新崎さんはそう言って、真剣で何かを決意したような表情を浮かべる。
「その話は新崎さんからさっき聞いたよ。
最初は混乱して取り乱したりしたけど、新崎さんの笑顔を思い出した。
記憶を刷り変えられたのは事実だけど、3人で笑い合った姿は偽りではなかった。
新崎さんは私達のため行動してくれたんだって」
「はい。茜ちゃん達は今でも凄く大事に思っていますし、
この学校の誰も傷ついて欲しくないと思っています。
なので、私は茜ちゃんを、この学校のみんなを守るために、
今から現れる男と戦わなければならないんです」
新崎さんがそう言うと、タイミングを計っていたように悪魔が姿を現した。
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