平凡な魔法剣士の異世界攻略

怪しい男の罠

 翌日、ユウはリオをつけている男を見つける為にリオと協力して、男が現れるまで男に会いやすい街の外れを歩いていた。

 リオの容姿は整っていて、すらりとした綺麗な体型をしている。
すれ違う男性達は意識して見てしまうレベルの美しさだった。

「見つけた。あの男よ」とリオが震えながら小さく指差した。
ユウは警戒されないようにちらりと指差す方向を確認した。
サングラスにマスクを付けた怪しい男がレンガの影からこちらを見ている。

「あの怪しい奴か。僕、捕まえて話を聞いてくるよ」とユウはゆっくりと男に近付いた。
「気を付けてね」とリオは心配そうにユウを見送った。

 怪しい男はユウが近付いてくるのに気付いたのか逃げ出した。
ユウも全速力で追いかけた。
まるで疾風のような走りでユウはあっという間に怪しい男に追いついた。

「なんだよコイツ！速すぎる」と怪しい男はユウに押し倒された。
ユウは怪しい男が逃げないように剣を首に当てながら抑え込んだ。

「どうしてリオさんをつけているのか答えろ！彼女は怖がっている」とユウが言うと、怪しい男は口を開いた。

「ぐはははは。俺は奴隷商人のバーボンだ。あの女は最高の商品になるから誘拐する隙を狙っていただけさ。だが悪いな少年、俺はおとりだぜ？もう女は俺の仲間が誘拐してる筈さ」と嘲るように笑いながらバーボンはユウに言った。
ユウはまんまとバーボンの罠にはまっていた。

「しまった！」とユウは慌ててリオの方を振り返ったが、もうそこに姿は無かった。

「よそ見をするとは馬鹿な奴だな」とユウが振り返っている隙にバーボンはユウの腕を振り払い、腰に差してあるナイフでユウを右足を切りつけた。
ユウは右足に深い切り傷を負ってしまった。
バーボンは一目散に路地裏から逃げていく。
ユウは右足の痛みで、まともに追いかける事が出来ない。

「リオさんを助けなきゃ。必ず見つけ出して救ってみせる」とユウは右足を引きずりながら歩き出した。