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【リーンハルト:11歳】
第537話 なぜいるの
「フローリア、いい切り返しだったわよ」
ブリジットとアイザック兄上が、私たちの所へやって来た。
「ディアンヌとユベール兄上は?」
「他国の貴族に引き留められているわ」
私の問いにブリジットが教えてくれた。
ガルーダ伯爵家が王都に出店している抹茶とほうじ茶のアイスクリームやお菓子類を、自国でもさせて欲しいというような事業提案を持ちかけられていたらしい。
「助けなくていいの?」
私の疑問にアイザック兄上が口を開く。
「これくらい対応できないと、次期伯爵夫妻としては失格だからな」
「今のディアンヌなら大丈夫よ」
ブリジットもアイザック兄上に同意していた。
「私はエイダン殿下と話したいから、リアの側にいてもらえるかな?」
「いいわよ。任せておいて」
ブリジットの言葉にアイザック兄上もうなずいた。
「ありがとう。リア、油断はしないようにね」
「ハルトもね」
「リーンハルト、決着を急ぐと失敗しやすいから気をつけて」
私の言葉にリアとラファエルが返してくれ、私はみんなから離れた。
私はエイダン殿下を探して回るが、なかなか見つけることが出来なかった。
「リーンハルト君、誰を探しているのかね」
宰相閣下から声をかけられた。
「エイダン殿下を探しております」
「エイダン殿下なら、セシリア嬢がパーティーに出席していたのに気づいて、彼女を誘って庭に出られたよ」
宰相閣下はエイダン殿下たちが出ていった方向を教えてくれた。
「えっ、なぜセシリアがパーティーに?」
なんでセシリアが招待状を持っているのだ。
しかも正装だろう、我が家で準備していたら母上たちから私に連絡があってもいいはずだ。
「それは……セシリア嬢に後で聞いてくれたまえ」
宰相閣下は言葉を濁す。
さらに小声で「あとは頼むよ」と言い去っていった。
私は慌ててセシリアたちが行った庭に降りていく。
セシリア、私に何とかしてくれと言っていたのに、なんで動いているの?
それに宰相閣下の含みのある言葉も気になる。
「はっきり言うが、私は結婚しないし、利用もされたくない。これ以上付きまとうなら、あんたが探せないところへ行くまでだ」
声がする方へ行くと、セシリアは奇麗に着飾っているのに仁王立ち・・・・エイダン殿下と対峙していた。
「セシリア、なんで王城にいるの?エイダン殿下、いくら王城の庭とはいえ、お1人での行動は控えられた方がよろしいかと……」
セシリアには注意口調で、エイダン殿下には中に戻りましょうと暗にすすめた。
「ちょっと遅かったようだね」
エイダン殿下のおどけた口調だ。
「のんきに言いますが、この王城で囲まれたのはなぜでしょう?」
そう、なぜか我々3人は覆面の者たちに囲まれていた。
「うふふふ、ここ最近のストレスで暴れたかったんだ、ちょうどいい獲物がきたよ」
「セシリア、お願いだから魔法をぶっ放して王城を壊さないでね」
「私はそんなへまはしない!!」
「助っ人は?」
「不要だ!!」
セシリアが覆面たちに向かって走り出すと同時に、私はエイダン殿下と入れる防御壁を展開する。
「リーンハルト君、セシリア嬢一人と多勢だ。加勢するべきだ!」
エイダン殿下が私を責めるように言い、防御壁を解除するように求めてくる。
「私たちはセシリアの邪魔になります。彼女が私たちを気にせずに戦えるようにした方がいいのです」
ドレス姿のセシリアが、敵を素手で倒していく。
「・・・すごい」
エイダン殿下のつぶやきに、私は返事をせずに状況を注視する。
エイダン殿下を止めたが、セシリアが不利になるようなら加勢に行かなければならないからだ。
しかしあっさりとセシリアが全員を倒し、私に手を上げて合図したため、防御壁を解除した。
「セシリアお疲れ様。しかしドレス姿でもハンデはまったくなかったようだね」
「ふふん、たいした手ごたえのない連中だったよ」
セシリアが急に自分の髪にさしているかんざしに似たようなものを取り、少し離れた木に向かって投げた。
ドサッと私たちの周りに倒れている者たちと同じ格好をした者が、木から落ちてきた。
どうやら仲間がいたらしい。
私は慌てて木から落ちた者のところへ行き、防御魔法で手錠と足かせをかけてから、倒れている他の者にも同様にしていった。
「面白いね。縄の代わりなのだろうけれど、防御魔法でとはねぇー」
セシリアが倒れている者に近づいて観察していた。
異変に気付いた警護の者たちが、慌てて私たちに駆け寄ってくる。
「皆さま、お怪我はございませんか?」
「大丈夫。だれも怪我ひとつない。それよりも他国の方たちには気づかれないようにあとは頼むよ」
私が代表で話した。
「はい。ただこの者たちの手や足の魔法はなんなのでしょうか?」
怪訝な顔で警護の代表者が聞いてきた。
「私が防御魔法で縛っているだけだよ。あとで解除に行くからそれまでよろしく頼むね」
それからちょっと思いついたので、警護の人たちの協力のもと、魔法で作ったあるものを、倒れている人たちの口の中に入れていく。
「申し訳ありませんが、魔法で作ったものをなぜ口の中に入れたのでしょうか?」
「口の中に毒薬とか仕込んでいたらいけないから、防ぐためにね。害はないはずだと思うよ」
警護の代表者が手伝いながらの問いに、私も作業をしながら答えた。
あとは警護の人たちに任せて、私たち3人は場所を変えることになった。
ブリジットとアイザック兄上が、私たちの所へやって来た。
「ディアンヌとユベール兄上は?」
「他国の貴族に引き留められているわ」
私の問いにブリジットが教えてくれた。
ガルーダ伯爵家が王都に出店している抹茶とほうじ茶のアイスクリームやお菓子類を、自国でもさせて欲しいというような事業提案を持ちかけられていたらしい。
「助けなくていいの?」
私の疑問にアイザック兄上が口を開く。
「これくらい対応できないと、次期伯爵夫妻としては失格だからな」
「今のディアンヌなら大丈夫よ」
ブリジットもアイザック兄上に同意していた。
「私はエイダン殿下と話したいから、リアの側にいてもらえるかな?」
「いいわよ。任せておいて」
ブリジットの言葉にアイザック兄上もうなずいた。
「ありがとう。リア、油断はしないようにね」
「ハルトもね」
「リーンハルト、決着を急ぐと失敗しやすいから気をつけて」
私の言葉にリアとラファエルが返してくれ、私はみんなから離れた。
私はエイダン殿下を探して回るが、なかなか見つけることが出来なかった。
「リーンハルト君、誰を探しているのかね」
宰相閣下から声をかけられた。
「エイダン殿下を探しております」
「エイダン殿下なら、セシリア嬢がパーティーに出席していたのに気づいて、彼女を誘って庭に出られたよ」
宰相閣下はエイダン殿下たちが出ていった方向を教えてくれた。
「えっ、なぜセシリアがパーティーに?」
なんでセシリアが招待状を持っているのだ。
しかも正装だろう、我が家で準備していたら母上たちから私に連絡があってもいいはずだ。
「それは……セシリア嬢に後で聞いてくれたまえ」
宰相閣下は言葉を濁す。
さらに小声で「あとは頼むよ」と言い去っていった。
私は慌ててセシリアたちが行った庭に降りていく。
セシリア、私に何とかしてくれと言っていたのに、なんで動いているの?
それに宰相閣下の含みのある言葉も気になる。
「はっきり言うが、私は結婚しないし、利用もされたくない。これ以上付きまとうなら、あんたが探せないところへ行くまでだ」
声がする方へ行くと、セシリアは奇麗に着飾っているのに仁王立ち・・・・エイダン殿下と対峙していた。
「セシリア、なんで王城にいるの?エイダン殿下、いくら王城の庭とはいえ、お1人での行動は控えられた方がよろしいかと……」
セシリアには注意口調で、エイダン殿下には中に戻りましょうと暗にすすめた。
「ちょっと遅かったようだね」
エイダン殿下のおどけた口調だ。
「のんきに言いますが、この王城で囲まれたのはなぜでしょう?」
そう、なぜか我々3人は覆面の者たちに囲まれていた。
「うふふふ、ここ最近のストレスで暴れたかったんだ、ちょうどいい獲物がきたよ」
「セシリア、お願いだから魔法をぶっ放して王城を壊さないでね」
「私はそんなへまはしない!!」
「助っ人は?」
「不要だ!!」
セシリアが覆面たちに向かって走り出すと同時に、私はエイダン殿下と入れる防御壁を展開する。
「リーンハルト君、セシリア嬢一人と多勢だ。加勢するべきだ!」
エイダン殿下が私を責めるように言い、防御壁を解除するように求めてくる。
「私たちはセシリアの邪魔になります。彼女が私たちを気にせずに戦えるようにした方がいいのです」
ドレス姿のセシリアが、敵を素手で倒していく。
「・・・すごい」
エイダン殿下のつぶやきに、私は返事をせずに状況を注視する。
エイダン殿下を止めたが、セシリアが不利になるようなら加勢に行かなければならないからだ。
しかしあっさりとセシリアが全員を倒し、私に手を上げて合図したため、防御壁を解除した。
「セシリアお疲れ様。しかしドレス姿でもハンデはまったくなかったようだね」
「ふふん、たいした手ごたえのない連中だったよ」
セシリアが急に自分の髪にさしているかんざしに似たようなものを取り、少し離れた木に向かって投げた。
ドサッと私たちの周りに倒れている者たちと同じ格好をした者が、木から落ちてきた。
どうやら仲間がいたらしい。
私は慌てて木から落ちた者のところへ行き、防御魔法で手錠と足かせをかけてから、倒れている他の者にも同様にしていった。
「面白いね。縄の代わりなのだろうけれど、防御魔法でとはねぇー」
セシリアが倒れている者に近づいて観察していた。
異変に気付いた警護の者たちが、慌てて私たちに駆け寄ってくる。
「皆さま、お怪我はございませんか?」
「大丈夫。だれも怪我ひとつない。それよりも他国の方たちには気づかれないようにあとは頼むよ」
私が代表で話した。
「はい。ただこの者たちの手や足の魔法はなんなのでしょうか?」
怪訝な顔で警護の代表者が聞いてきた。
「私が防御魔法で縛っているだけだよ。あとで解除に行くからそれまでよろしく頼むね」
それからちょっと思いついたので、警護の人たちの協力のもと、魔法で作ったあるものを、倒れている人たちの口の中に入れていく。
「申し訳ありませんが、魔法で作ったものをなぜ口の中に入れたのでしょうか?」
「口の中に毒薬とか仕込んでいたらいけないから、防ぐためにね。害はないはずだと思うよ」
警護の代表者が手伝いながらの問いに、私も作業をしながら答えた。
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