異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

文字の大きさ
121 / 459
【リーンハルト:9歳】

第192話 困るよ

しおりを挟む
いつもお読みいただきありがとうございます。

次の投稿は1月13日午前の予定です。

よろしくお願いいたします。

.。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○


屋敷に戻り、ナタリアとラウールをマリアの工房に呼んだ。

ラジエルも私とマリアの見張りでいる。
私達2人が揃うと何をしでかすかわからないといわれてしまった。
ひどすぎる。

ラウールには一度ヘリオス村へ戻ってもらって、グーシュの皮と毛を取りに行って貰ったのだ。


冒険者ギルドの見解を伝え、グーシュの毛は1kg3銅貨で買い取ること、皮は査定してもらうことを伝えると了承してくれた。

サフィードたち村民からは元々ゼロの価値だったものだったし、我々を信用しているから言われた値段でいいといわれていたそうだ。

皮はなめしをする前と、なめし済の両方の皮を持ってきてくれていた。

グーシュの毛と皮の分離が難しかったのではないかと聞いたら、スライムがしてくれるそうだ。グーシュの毛がついた皮の上をスライムは毛を食べながら進み、体が大きくなったら、グーシュの毛を吐き出すらしい。

スライムが通った場所は毛が無くなり、皮だけになっているらしい。
なんて優秀なスライムなのだ。

持ってきてもらったなめし済の皮は柔らかくて肌触りがいい。
ただ、色が真っ白ではない白、少しグレーが混ざっている感じか。

「これ、柔らかくて肌触りがいいから手袋とかコート、靴にもよさそうだね」
「羊皮に似て柔らかいので長持ちしない可能性はありますが、人気になりそうです、あとは色が付けられるかですかね」

ラジエルが色付け、加工の専門家に任せるため手配と、冒険者ギルトに価格は確認してくれることになった。


「気になっていると思うけれど、これがグーシュの毛で出来た生地とぬいぐるみだ」とナタリアとラウールに見せる。

「まだ加工方法は教えられないがいずれ任せることになると思う。ただ、もう一か所グーシュがいる地域の村と共同事業になる、だからスライムを増やしてほしい」

ラウールによると村に戻った時にスライムは2匹になっていたので、今後も増えると思うこと。

ナタリアはぬいぐるみを色々な角度から見ていたので
「ナタリア、気になることがあった?」

「いえ、可愛いのですが、お土産品にするのなら、もっとコンパクトなもので欲しいなと思って、自分で作れないかなと見ていたのです」

詳しく聞くと市場に行くときの買い物バックにつけるものなら、立体よりも平面で軽いものの方がいいと言われた。

「確かに平面だと手間がかからなくなる分、安い価格になりますし、庶民には手ごろになりますね。平面でも少しだけ綿を入れて膨らませた方が見栄えはいいのではないでしょうか」とマリアも言う。

お土産品の種類は多い方がいい。
平面のマスコット人形はうちの子たち以外にも、花や植物、他の動物など作ってもいいかもしれない。


ナタリアとラウールは騎士舎に戻った。
私も工房を出ようとしたら、マリアに止められた。

「何かあったの」と聞くと、マイヤー達がこのフェルト生地をブーツの中敷きにできないか聞いてきたそうだ。

靴の中敷きはあるが厚みがあると歩きにくいし、薄くすると足の裏に響いて微妙ではある。
フェルト生地なら厚さを自分好みに変えるのは簡単だし、クッション素材としていいかもしれない。

ただフェルト生地だけだと安定しないので何か案はないかと言われた。

「靴底とフェルト生地の間に何か硬めのクッションをいれたらいいのではないの」
「硬めのクッションですか。ならグーシュの毛を高温と中温の間の温度でできないか試作してみます」

私達の会話を聞いていたラジエルが後ろで頭を抱えていた。

「ラジエル、まだ完成もしていないのに何で頭を抱えるのさ」
「いえ、聞いていただけで出来てしまうと思ったからです。この靴の中敷き商品はとんでもなく売れますよ。そうなるとぬいぐるみにする生地はなくなりますね」

それは困る。
あくまでもぬいぐるみがメインなのだ。

硬めのクッションは長持ちしたとしても、中敷き用ともに使い捨て商品になるからずっと需要が続く。
だからグーシュの毛が高騰する可能性があると指摘された。


こうなったらグーシュも飼うか。

ラウールに数頭捕獲して村で放牧してもらって、スライムが生きたバリカンとして機能するか実験してもらおう。
あと毛を刈ったグーシュの毛が再び生えてくるかも検証してもらおうか。

でもグーシュの餌がわからないぞ・・・・放牧は無理か。

「リーンハルト様、何をお考えで」私が黙ってしまったのでラジエルが聞いてきた。

「グーシュを飼おうかと思ったけれど、餌がわからないなと。もっとグーシュの特性を知らないと無理だと思っていたところ」
「グーシュの毛が、羊みたいに刈っても生え変わると思われたのですか」

「そう、皮も肉も羊にそっくりなのだから羊と同じと考えていいのではないの」
「確かにそうですね」

グーシュの生息地域が限定されているから、たぶん餌の関係だと思う。
カイル隊長たちに調べてもらうか。

「マリア、完成したら、すぐに教えてね。お祖父様に報告しないといけない」
「いえ、完成していなくても報告するべきです。あとご領主様にも手紙で報告なさってください」

また、大事になってきた。
はぁーとため息をついた。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。