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【リーンハルト:9歳】
第192話 困るよ
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いつもお読みいただきありがとうございます。
次の投稿は1月13日午前の予定です。
よろしくお願いいたします。
.。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○
屋敷に戻り、ナタリアとラウールをマリアの工房に呼んだ。
ラジエルも私とマリアの見張りでいる。
私達2人が揃うと何をしでかすかわからないといわれてしまった。
ひどすぎる。
ラウールには一度ヘリオス村へ戻ってもらって、グーシュの皮と毛を取りに行って貰ったのだ。
冒険者ギルドの見解を伝え、グーシュの毛は1kg3銅貨で買い取ること、皮は査定してもらうことを伝えると了承してくれた。
サフィードたち村民からは元々ゼロの価値だったものだったし、我々を信用しているから言われた値段でいいといわれていたそうだ。
皮はなめしをする前と、なめし済の両方の皮を持ってきてくれていた。
グーシュの毛と皮の分離が難しかったのではないかと聞いたら、スライムがしてくれるそうだ。グーシュの毛がついた皮の上をスライムは毛を食べながら進み、体が大きくなったら、グーシュの毛を吐き出すらしい。
スライムが通った場所は毛が無くなり、皮だけになっているらしい。
なんて優秀なスライムなのだ。
持ってきてもらったなめし済の皮は柔らかくて肌触りがいい。
ただ、色が真っ白ではない白、少しグレーが混ざっている感じか。
「これ、柔らかくて肌触りがいいから手袋とかコート、靴にもよさそうだね」
「羊皮に似て柔らかいので長持ちしない可能性はありますが、人気になりそうです、あとは色が付けられるかですかね」
ラジエルが色付け、加工の専門家に任せるため手配と、冒険者ギルトに価格は確認してくれることになった。
「気になっていると思うけれど、これがグーシュの毛で出来た生地とぬいぐるみだ」とナタリアとラウールに見せる。
「まだ加工方法は教えられないがいずれ任せることになると思う。ただ、もう一か所グーシュがいる地域の村と共同事業になる、だからスライムを増やしてほしい」
ラウールによると村に戻った時にスライムは2匹になっていたので、今後も増えると思うこと。
ナタリアはぬいぐるみを色々な角度から見ていたので
「ナタリア、気になることがあった?」
「いえ、可愛いのですが、お土産品にするのなら、もっとコンパクトなもので欲しいなと思って、自分で作れないかなと見ていたのです」
詳しく聞くと市場に行くときの買い物バックにつけるものなら、立体よりも平面で軽いものの方がいいと言われた。
「確かに平面だと手間がかからなくなる分、安い価格になりますし、庶民には手ごろになりますね。平面でも少しだけ綿を入れて膨らませた方が見栄えはいいのではないでしょうか」とマリアも言う。
お土産品の種類は多い方がいい。
平面のマスコット人形はうちの子たち以外にも、花や植物、他の動物など作ってもいいかもしれない。
ナタリアとラウールは騎士舎に戻った。
私も工房を出ようとしたら、マリアに止められた。
「何かあったの」と聞くと、マイヤー達がこのフェルト生地をブーツの中敷きにできないか聞いてきたそうだ。
靴の中敷きはあるが厚みがあると歩きにくいし、薄くすると足の裏に響いて微妙ではある。
フェルト生地なら厚さを自分好みに変えるのは簡単だし、クッション素材としていいかもしれない。
ただフェルト生地だけだと安定しないので何か案はないかと言われた。
「靴底とフェルト生地の間に何か硬めのクッションをいれたらいいのではないの」
「硬めのクッションですか。ならグーシュの毛を高温と中温の間の温度でできないか試作してみます」
私達の会話を聞いていたラジエルが後ろで頭を抱えていた。
「ラジエル、まだ完成もしていないのに何で頭を抱えるのさ」
「いえ、聞いていただけで出来てしまうと思ったからです。この靴の中敷き商品はとんでもなく売れますよ。そうなるとぬいぐるみにする生地はなくなりますね」
それは困る。
あくまでもぬいぐるみがメインなのだ。
硬めのクッションは長持ちしたとしても、中敷き用ともに使い捨て商品になるからずっと需要が続く。
だからグーシュの毛が高騰する可能性があると指摘された。
こうなったらグーシュも飼うか。
ラウールに数頭捕獲して村で放牧してもらって、スライムが生きたバリカンとして機能するか実験してもらおう。
あと毛を刈ったグーシュの毛が再び生えてくるかも検証してもらおうか。
でもグーシュの餌がわからないぞ・・・・放牧は無理か。
「リーンハルト様、何をお考えで」私が黙ってしまったのでラジエルが聞いてきた。
「グーシュを飼おうかと思ったけれど、餌がわからないなと。もっとグーシュの特性を知らないと無理だと思っていたところ」
「グーシュの毛が、羊みたいに刈っても生え変わると思われたのですか」
「そう、皮も肉も羊にそっくりなのだから羊と同じと考えていいのではないの」
「確かにそうですね」
グーシュの生息地域が限定されているから、たぶん餌の関係だと思う。
カイル隊長たちに調べてもらうか。
「マリア、完成したら、すぐに教えてね。お祖父様に報告しないといけない」
「いえ、完成していなくても報告するべきです。あとご領主様にも手紙で報告なさってください」
また、大事になってきた。
はぁーとため息をついた。
次の投稿は1月13日午前の予定です。
よろしくお願いいたします。
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屋敷に戻り、ナタリアとラウールをマリアの工房に呼んだ。
ラジエルも私とマリアの見張りでいる。
私達2人が揃うと何をしでかすかわからないといわれてしまった。
ひどすぎる。
ラウールには一度ヘリオス村へ戻ってもらって、グーシュの皮と毛を取りに行って貰ったのだ。
冒険者ギルドの見解を伝え、グーシュの毛は1kg3銅貨で買い取ること、皮は査定してもらうことを伝えると了承してくれた。
サフィードたち村民からは元々ゼロの価値だったものだったし、我々を信用しているから言われた値段でいいといわれていたそうだ。
皮はなめしをする前と、なめし済の両方の皮を持ってきてくれていた。
グーシュの毛と皮の分離が難しかったのではないかと聞いたら、スライムがしてくれるそうだ。グーシュの毛がついた皮の上をスライムは毛を食べながら進み、体が大きくなったら、グーシュの毛を吐き出すらしい。
スライムが通った場所は毛が無くなり、皮だけになっているらしい。
なんて優秀なスライムなのだ。
持ってきてもらったなめし済の皮は柔らかくて肌触りがいい。
ただ、色が真っ白ではない白、少しグレーが混ざっている感じか。
「これ、柔らかくて肌触りがいいから手袋とかコート、靴にもよさそうだね」
「羊皮に似て柔らかいので長持ちしない可能性はありますが、人気になりそうです、あとは色が付けられるかですかね」
ラジエルが色付け、加工の専門家に任せるため手配と、冒険者ギルトに価格は確認してくれることになった。
「気になっていると思うけれど、これがグーシュの毛で出来た生地とぬいぐるみだ」とナタリアとラウールに見せる。
「まだ加工方法は教えられないがいずれ任せることになると思う。ただ、もう一か所グーシュがいる地域の村と共同事業になる、だからスライムを増やしてほしい」
ラウールによると村に戻った時にスライムは2匹になっていたので、今後も増えると思うこと。
ナタリアはぬいぐるみを色々な角度から見ていたので
「ナタリア、気になることがあった?」
「いえ、可愛いのですが、お土産品にするのなら、もっとコンパクトなもので欲しいなと思って、自分で作れないかなと見ていたのです」
詳しく聞くと市場に行くときの買い物バックにつけるものなら、立体よりも平面で軽いものの方がいいと言われた。
「確かに平面だと手間がかからなくなる分、安い価格になりますし、庶民には手ごろになりますね。平面でも少しだけ綿を入れて膨らませた方が見栄えはいいのではないでしょうか」とマリアも言う。
お土産品の種類は多い方がいい。
平面のマスコット人形はうちの子たち以外にも、花や植物、他の動物など作ってもいいかもしれない。
ナタリアとラウールは騎士舎に戻った。
私も工房を出ようとしたら、マリアに止められた。
「何かあったの」と聞くと、マイヤー達がこのフェルト生地をブーツの中敷きにできないか聞いてきたそうだ。
靴の中敷きはあるが厚みがあると歩きにくいし、薄くすると足の裏に響いて微妙ではある。
フェルト生地なら厚さを自分好みに変えるのは簡単だし、クッション素材としていいかもしれない。
ただフェルト生地だけだと安定しないので何か案はないかと言われた。
「靴底とフェルト生地の間に何か硬めのクッションをいれたらいいのではないの」
「硬めのクッションですか。ならグーシュの毛を高温と中温の間の温度でできないか試作してみます」
私達の会話を聞いていたラジエルが後ろで頭を抱えていた。
「ラジエル、まだ完成もしていないのに何で頭を抱えるのさ」
「いえ、聞いていただけで出来てしまうと思ったからです。この靴の中敷き商品はとんでもなく売れますよ。そうなるとぬいぐるみにする生地はなくなりますね」
それは困る。
あくまでもぬいぐるみがメインなのだ。
硬めのクッションは長持ちしたとしても、中敷き用ともに使い捨て商品になるからずっと需要が続く。
だからグーシュの毛が高騰する可能性があると指摘された。
こうなったらグーシュも飼うか。
ラウールに数頭捕獲して村で放牧してもらって、スライムが生きたバリカンとして機能するか実験してもらおう。
あと毛を刈ったグーシュの毛が再び生えてくるかも検証してもらおうか。
でもグーシュの餌がわからないぞ・・・・放牧は無理か。
「リーンハルト様、何をお考えで」私が黙ってしまったのでラジエルが聞いてきた。
「グーシュを飼おうかと思ったけれど、餌がわからないなと。もっとグーシュの特性を知らないと無理だと思っていたところ」
「グーシュの毛が、羊みたいに刈っても生え変わると思われたのですか」
「そう、皮も肉も羊にそっくりなのだから羊と同じと考えていいのではないの」
「確かにそうですね」
グーシュの生息地域が限定されているから、たぶん餌の関係だと思う。
カイル隊長たちに調べてもらうか。
「マリア、完成したら、すぐに教えてね。お祖父様に報告しないといけない」
「いえ、完成していなくても報告するべきです。あとご領主様にも手紙で報告なさってください」
また、大事になってきた。
はぁーとため息をついた。
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