異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:10歳】

第332話 大変だったね

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いつもお読みいただきありがとうございます。

次の投稿は今日の午後の予定です。

よろしくお願いいたします。

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結果、グイドさんと息子さんは採用が決まった。

ただし仕事は別々でグイドさんはウエストランド家で再雇用、息子さんはウエストランド商会で雇用となった。

息子さんは行商人として領内の村々を回っていたらしく、我が家がかかわった村の活況ぶりを目のあたりにしていて我が家に興味があったそうだ。


エドガーと分担して村からの商品運搬やつなぎ役として新街の物産店と地産食堂の経営管理を担う。

物産店と地産食堂にかかわっていたフレッドが抜けて、私が村で見つけてきた新商品の担当になる。

カミーユは新街の物産店と地産食堂の経営管理と両方の店で働く従業員のスケジュール調整などをするようだ。

少しは一人当たりの仕事量が減ったから楽になったのではないだろうか。

ラジエルから良くみつけてきましたねといってくれるかなと期待したが採用しましたとの報告だけだった。



グイドさんはこれから作る工場とアイスクリームとどら焼きのお店、両方の従業員への料理指導と品質管理、材料の発注や管理になる。

ただ目先は2つのお菓子作りをマスターしてもらい、魔道具作りや店舗設計の協力をしてもらう予定。

だから今、調理場でお菓子作り担当が緊張しながらグイドさんに教えている。

元料理長だもんね、緊張するなという方が無理だろう。


「まさか、元料理長を引っ張ってくるとは、リーンハルト様考えられましたね」

「料理長、今回は我ならがいい案だったと思っているよ」

褒められて嬉しい。

父上たちもラジエルも褒めてくれないから。


工場で使用する魔道具の設計をマリアに頼むため工房に来て話す。

「リーンハルト様、どうやってナナリーをやる気にさせるのですか」

そうなのだ。

アイスクリームとどら焼きの工場と店で使用する魔道具制作をナナリーに頼まないといけないが、本人をやる気にさせないと魔道具が出来上がるスピードが違うのだ。

前回の大判焼きで学んだことだ。

「アイスクリームとどら焼きで釣る?」

「それしかないでしょうね」


ナナリーを屋敷に呼んでグイドさんが作ったアイスクリームとどら焼きを食べてもらった。

「これを領都とエミニーラでみんながいつでも食べられるように数店舗店を出したいんだ。だから協力してよ」

「いつでも食べられる?」

「そう、工場で大量生産したいのだよ」

飛びついてこない、どうしようか。


「アイスクリームは食材によっては季節限定もあるし、大量生産できなければ店舗は出さない」

「なぜ?」

「各店舗で作っていると時間がかかることとコストが高くなって、料金設定が高くなるから」

「うふふ、手伝うよ。すんなり頷くと食べ物で釣られると思われるのも癪だからね」

喋っちゃったら意味ないよ。

こういうところが憎めないよね。

「私たちでも手が届く値段で、いつでもこんな美味しいものが食べられるならやるよ」




ダミアンとロゼッタが王都から戻ってきた。

すごくゲッソリしている・・・・おかしい。

王城での報告会のあとは、お休みをあげていたから実家に帰ってリフレッシュしたのではなかったのか?

ダミアンとロゼッタに理由を聞くと、王城での報告会は1日では終わらずに3日したとのこと。

3日? 1日のはずなのに?


まず持参した展覧会の概要冊子とメモ帳の質問攻め。

穴パンチや冊子の表と裏を堅紙作っていることや、メモ帳にミシン目が付いていて破りやすくなっていること等々。

冊子の中身がすべて印刷されているのはどうしてか。

どこに頼んだのかとか。

冊子全体でのページの数字ではなく、露店の部1ページ、2ページとしているのはどうしてかとか、どうやって図付きの印刷ができたのかとか冊子とメモ帳に関する質問で1日が終わったみたい。


2日目は予選会含め説明し終わった後、自分たちが持参している概要冊子を見せてほしいと急にいわれて渡したそうだ。

訂正事項のページが冊子に入っていて、訂正ページに紙全体に大きな×を入れ余白に①と書いてあるのはどうしてかとか、予選会と展覧会の質問までいかなかったそうだ。

3日目に質問応答と反省点を話して終了したとのこと。


「大変だったね」

「そうですよ。まさか3日連続王城に行くとは思いませんでした」

質問が多いし、冊子やメモ帳の感想や利点などを討論しだすし話がすすまなかったみたいだ。


「私なんて4日連続です」

ロゼッタはリナルーナ王女殿下に呼ばれて女性の事務官たちがいる部屋に連れていかれて、制服について質問攻めにあい、そのあとは制服作成を担当している衣装部へ連れていかれて制服を脱がされ、制服縫い目や生地、裏地などを見られていたらしい。

止めなければ制服を解かれていたかもしれなかったという。

領都で他の制服も作製しているアイラさんの店を紹介してやっと解放されたそうだ。


「冊子の印刷についてはどう答えたの」

かわら版を作製している人に原案を渡して印刷したこと。

ページの数字については訂正が入るとページ数がおかしくなる可能性があるため、全体ではなく部門別でのページ数になっていること。

訂正前と訂正後の両方を冊子に入れてあるので、訂正前に×をつけることでボツだと解るようにしたこと、同ページが何回改定されか、ボツ①、ボツ②としてわかるようにしている。

変更点が何か後でも確認しやすくするためや、問い合わせ対応できるようにボツの紙も一緒に挟んでいると説明したそうだ。

しかし質問が多いな。


「クリス兄様が同席してくれていたのだよね」

脇道にそれそうになったら助けてくれたらしい。

ただ3日目は朝から機嫌が悪かったとか。

それで3日で解放されたと思います。


もっと拘束される可能性があったのか。

ホント行かなくてよかったよ。

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