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【リーンハルト:10歳】
第389話 クリス兄様の領地へ(2)
しおりを挟むフローリアはクリス兄様に好みの内装を尋ねている。
ウエストランドの屋敷の内装が落ち着くから似たような感じでと希望みたいだ。
それならお祖母様も内装を決めることを楽しめるだろう。
「ハルトも話したそうだね」
「クリス兄様、今回の騒ぎの収拾をどうしたらいいでしょうか?」
「ハルトのことだ。叔父上を中央から遠ざければいい、自分は怒っています、ぐらいの気持ちだったのだろう」
「そうなのです。なのになぜ大きな騒ぎになってしまったのでしょうか」
「タイミングが悪かったね」
「タイミング?」
「王家に不満をもっていた貴族が、ウエストランドが意思表示したのなら、自分たちもととなってしまったからね」
「王女と公女の婚姻の件ですね」
「おや、ハルトにしてはよく知っていたね」
「キャロライン様が教えてくれました」
中央のことには興味ないからね、クリス兄様は納得したようだ。
「どうしたらいいですか?」
「別に動かなくていいよ」
「いいのですか?」
「動けば、また王家は、いや中央貴族がリーンハルトを利用しようと動く。ノーストレイドにはフォローしたのだろう」
「はい、羊毛フェルト・・・・靴の中敷きの生産をお願いしました」
「ハルト、ここに兄弟3人が集まっていることで、これ以上の騒ぎは拡大しないだろう」
「ジェラ兄様どういうことですか?」
「兄弟仲は今まで通り。ノーストレイドの新規事業もすぐ広まるだろうからな」
クリス兄様とは仲違いしていないとわかるからとジェラ兄様はいいたいのだろうか?
「靴の中敷きは大事業だ。羊を育てているところは多いから国にも巡り巡って恩恵がある話だ」
クリス兄様の言い方だと、これ以上の王家批判はしないと判断されるということみたい。
「いい勉強になっただろう。かかわりたくないのは解るが、中央の情報収集はしていないとダメだよ」
どうやってと聞きたいが、父上に聞けばいいということだろうか。
翌日、最初は兄弟3人で移動していたが、途中でジェラ兄様と別れる。
ウエストランドからクリス兄様と一緒に来ている騎士がジェラ兄様の案内役になるようだ。
早く終わった方がもう一方のところに駆けつけることになっている。
クリス兄様と馬を進めること半日で目的地に着いたが、草も全く生えていない岩が所々に転がっているだけの不毛の土地だった。
「ここは災害があった地域ですか?」
見渡す限り草一本も生えていない土地だ。
「いや、違うよ。もともとこの地は作物も何も育たない土地として放置されている場所だ」
「長期間放置で草も生えない土地」
「そうだ。土を触ってごらん」
クリス兄様に言われて触ると暖かい。
太陽の光だけの暖かではないようだ。
「暖かい石があるかと思って、土魔法で探がしたが何もなかったよ」
ちょっと残念そうな声だ。
「私はこの土地を蘇らせるなんてさすがにできませんよ」
「違うよ。ハルトの温泉の加護で調べて欲しいのだよ」
そうか、もしかしたら温泉が湧くかもしれないってこと?
私が歩いたところで温泉マップが出るからな。
半日で歩きまわれるかな?
「この土地の範囲はどれくらいですか?」
「新街の1/3程の規模だ」
ここに泊まり決定だ。
夜になったので今日歩くのは止めて夕食にする。
「クリス兄様、もしこの地域で温泉が出ない場合がどうするのですか?」
「温室を作って季節外のものを栽培するかココットの雛の育成に使えないかと思っている」
暖かい土だから温室内の温度は魔道具を使わなくても一定に保てられる可能性はある。
土をよそから運んだらできる可能性はあるか。
クリス兄様の話だと王都にも近いから季節外の高級フルーツや野菜を栽培すれば採算が取れないかと思っているそうだ。
あとココットの雛の育成。
確かにこの土地なら壁を作ればいけるかもしれない。
我が家だけでの育成だとココットの養鶏拡大に時間がかかるとは思っていた。
アイスクリームやお菓子のことを考えたらいい案だ。
夕食後、石板を取り出し温泉マップを開くがマークの印はなくてがっかりした。
私の様子を見ていたクリス兄様は「仕方ないよ。ダメもとで見てもらったのだから気にするな」と言ってくれる。
温泉の地熱だと思ったのになぁー。
ウエストランドの屋敷の内装が落ち着くから似たような感じでと希望みたいだ。
それならお祖母様も内装を決めることを楽しめるだろう。
「ハルトも話したそうだね」
「クリス兄様、今回の騒ぎの収拾をどうしたらいいでしょうか?」
「ハルトのことだ。叔父上を中央から遠ざければいい、自分は怒っています、ぐらいの気持ちだったのだろう」
「そうなのです。なのになぜ大きな騒ぎになってしまったのでしょうか」
「タイミングが悪かったね」
「タイミング?」
「王家に不満をもっていた貴族が、ウエストランドが意思表示したのなら、自分たちもととなってしまったからね」
「王女と公女の婚姻の件ですね」
「おや、ハルトにしてはよく知っていたね」
「キャロライン様が教えてくれました」
中央のことには興味ないからね、クリス兄様は納得したようだ。
「どうしたらいいですか?」
「別に動かなくていいよ」
「いいのですか?」
「動けば、また王家は、いや中央貴族がリーンハルトを利用しようと動く。ノーストレイドにはフォローしたのだろう」
「はい、羊毛フェルト・・・・靴の中敷きの生産をお願いしました」
「ハルト、ここに兄弟3人が集まっていることで、これ以上の騒ぎは拡大しないだろう」
「ジェラ兄様どういうことですか?」
「兄弟仲は今まで通り。ノーストレイドの新規事業もすぐ広まるだろうからな」
クリス兄様とは仲違いしていないとわかるからとジェラ兄様はいいたいのだろうか?
「靴の中敷きは大事業だ。羊を育てているところは多いから国にも巡り巡って恩恵がある話だ」
クリス兄様の言い方だと、これ以上の王家批判はしないと判断されるということみたい。
「いい勉強になっただろう。かかわりたくないのは解るが、中央の情報収集はしていないとダメだよ」
どうやってと聞きたいが、父上に聞けばいいということだろうか。
翌日、最初は兄弟3人で移動していたが、途中でジェラ兄様と別れる。
ウエストランドからクリス兄様と一緒に来ている騎士がジェラ兄様の案内役になるようだ。
早く終わった方がもう一方のところに駆けつけることになっている。
クリス兄様と馬を進めること半日で目的地に着いたが、草も全く生えていない岩が所々に転がっているだけの不毛の土地だった。
「ここは災害があった地域ですか?」
見渡す限り草一本も生えていない土地だ。
「いや、違うよ。もともとこの地は作物も何も育たない土地として放置されている場所だ」
「長期間放置で草も生えない土地」
「そうだ。土を触ってごらん」
クリス兄様に言われて触ると暖かい。
太陽の光だけの暖かではないようだ。
「暖かい石があるかと思って、土魔法で探がしたが何もなかったよ」
ちょっと残念そうな声だ。
「私はこの土地を蘇らせるなんてさすがにできませんよ」
「違うよ。ハルトの温泉の加護で調べて欲しいのだよ」
そうか、もしかしたら温泉が湧くかもしれないってこと?
私が歩いたところで温泉マップが出るからな。
半日で歩きまわれるかな?
「この土地の範囲はどれくらいですか?」
「新街の1/3程の規模だ」
ここに泊まり決定だ。
夜になったので今日歩くのは止めて夕食にする。
「クリス兄様、もしこの地域で温泉が出ない場合がどうするのですか?」
「温室を作って季節外のものを栽培するかココットの雛の育成に使えないかと思っている」
暖かい土だから温室内の温度は魔道具を使わなくても一定に保てられる可能性はある。
土をよそから運んだらできる可能性はあるか。
クリス兄様の話だと王都にも近いから季節外の高級フルーツや野菜を栽培すれば採算が取れないかと思っているそうだ。
あとココットの雛の育成。
確かにこの土地なら壁を作ればいけるかもしれない。
我が家だけでの育成だとココットの養鶏拡大に時間がかかるとは思っていた。
アイスクリームやお菓子のことを考えたらいい案だ。
夕食後、石板を取り出し温泉マップを開くがマークの印はなくてがっかりした。
私の様子を見ていたクリス兄様は「仕方ないよ。ダメもとで見てもらったのだから気にするな」と言ってくれる。
温泉の地熱だと思ったのになぁー。
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