スキル素潜り ~はずれスキルで成りあがる

葉月ゆな

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第24話 スキル:糸鑑定

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翌日、セドとナディーヤが興奮して戻ってきた。

ナディーヤがマジックバッグから取り出し、両手でやっと抱えきれるくらいの白い物体を、家の食堂のテーブルに置いた。

近づいてみると糸のように見える。


「これは糸?」

「はい、はっきりとはいえなのですが、絹糸に近い糸だと思うのです」

「ダル、これ全部で17個あるぞ!!」

「中に幼虫とかいるのではないか?」


どうやらこれは、体長1.5~2メートルぐらいの芋虫集団と遭遇して、芋虫たちが逃げるためにセドとナディーヤに向かって吐いた糸らしい。

ヘレンさんに見てもらって、生地を作ってもらうのもいいだろう。


今度は私も自分の成果を2人に見せるため、布にくるんでいた2つの玉を見せる。

「はっ、なんだ、この大きさの真珠は?!」

「真珠でいいのですよね?」

「たぶん、大きさが見慣れている真珠とは違うから自信ないのだけれど・・・」

「ダル、これ、他にはないのか?」

「結構探したんだけれど、2個しか見つけられなかったんだ」

お互いの成果をたたえ合い、ダルとナディーヤは次も何か見つけると意欲的だ。


2日後、セドとナディーヤは西側の探索に出かけた。

こちらはメルとナナが住んでいた場所方面だ。

メルたちが言っていた小川が、ここからどれくらいの距離なのかを調べてもらうことになっているため、メルとナナも同行する。

リアムは小川までの距離が、わからないので留守番になった。


翌日、セドたちが戻ってきて、小川はここから北西にまっすぐに進めば4時間ほどで着くらしい。

「メルたちが道を作ってくれていたから早かった。ただ、逆に言えば小川からメルたちが使っている道を辿って、獣がやってくるかもしれないリスクはある」

ただ小川は長く奥の方まで続いているみたいで、獣にはまったく出会わなかったそうだ。


「メルたちはいつも半日で帰ってくるのに、我々だと片道4時間かぁー」

「それぐらい離れていた方がいいぞ。まだこの島の生態系がわかっていないからな」

「井戸ができればいいけれど、周囲は海だからどうだろう?」

「今は水が確保できるとわかっただけで、いいのではないか?」

「セド、そうだね。1つ1つクリアしていかないと、この人数では難しい」

「また、子爵領から戻って来てからだな」



翌日、私とセドは子爵領のヘレンさんの商会に寄ると、ダスティンが待っていた。

服の微調整をしてから、ヘレンさんも混ざってお茶をする。

「ダスティンはいつ王都へ戻るの?」

「服の納入が終わりましたら戻る予定です」

「悪いけれど、納入は子爵邸にお願いするよ」

「かしこまりました」


父上たちが来ると打ち合わせなどで、抜けられるかわからないからな。

「ヘレンさん、ちょっと見てもらいたいものがあるのだけれど」

「倉庫に行かなくてもよろしいのですか?」

「ここで大丈夫」

私はマジックバッグから、セドたちの戦利品の糸を1つテーブルに置いた。


「これは糸ですよね。これは加工後の糸ですか?」

私はセドたちが島を探検して遭遇した芋虫の糸だと伝える。


「ダニエル様、私も見させていただいてもよろしいですか?」

ダスティンが興味を示してきたので了承する。

ダスティンは最初、糸の塊の方向を変えながら見たあとは、糸を1本、引っ張ってじっくりと見ている。

「すごい、絹と似た成分なのに光沢度は、この糸のほうがはるかに高い!」

私たち3人はダスティンを一斉に見た。


「ダスティン、糸の状態や成分がわかるの?」

私の問いにダスティンがしまったという顔をした、目を一瞬閉じてから口を開く。

「私のスキルは、糸鑑定なのです」

自分が興味ある生地などを手に取り見ると、産地、糸の割合など見えてくるらしい。

ただ家としては、生地の詳細がわかるよりも、裁縫や接客、計算など家に役立つスキルではないため、がっかりされたそうだ。


「でも、よりいい生地揃えができるから、喜ばれそうなのにな」

「生地は経験を積めば、いい物か悪い物かは判断つきますから」

「しかし、産地や糸の割合を誤魔かす商人もいますから便利ですわよ」

ヘレンさんも家族が喜ばないのはおかしいと暗に言っていた。


「私は家を継ぐわけではないので、兄は私に独立してほしいのかもしれません」

「ダスティンさん、独立するおつもりはあるのですか?」

ヘレンさんがダスティンに話掛けた。


「独立しても贔屓先を引き継げませんし、店舗を構えても難しいと思います」

「この子爵領でお店を出しませんか?」

どうやら、領内にある紳士服専門店が後継ぎもおらず、店主も高齢になったため店をたたむ話が出ているそうだ。

その店をそっくり買って引き継いだらどうかとヘレンさんは提案したのだった。
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