私の日常-それぞれの-

林原なぎさ

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宮園から見たお話

頼み

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「那央…気になる事があるんだ。調べて欲しい。」


やけに真剣な表情の秀一に、柄では無いが俺も真面目な対応で向かい合う。


「…で、要件は?」








「あー…あの子かぁ。ありゃ妄想させて貰えるなぁ。」


車の中からとは言え、かなり大きな声を出すイトコの頭を叩いてやった。


「痛っ!何すんだよ。」


「ヤラシイ目で見てた事。秀一に伝えてもいいのか。」


いや、それは勘弁。


顔を引きつらせ、即座に返答するコイツも秀一を敵に回したくは無いようだ。


周囲を見渡すと、このイトコ以外にも他ふたりの見張り役がいる事が確認出来た。


コイツだけじゃなくて良かったぁ。


「確かにあの子みたいなタイプは狙われやすいかもねぇ。ハードなストーカーに。」


「まぁそーゆーコトだから報告宜しく。」


「はいよー。」


軽く手を振るイトコを車内に放置し歩きながら電話を掛ける。

3コール目で出たこの人は、俺からの連絡を待っていたのだろう。


「今日から彼女に見張りをつける。」


「そうみたいだね。」


「人が足りなければまた言ってくれれば良い。」


「ありがとう叔父さん。」


「あぁ。」


手短ではあったが、確認した叔父は一言だけ呟き、電話を切った。



さぁて。

一体どこのどいつが歩ちゃんに付き纏っているのやら。


秀一を始めとする警察官を束ねる宮園家うちからどエライ報復を受けるだろうそのストーカーを思い浮かべ、笑みが溢れた。



秀一から聞かされた話を簡潔に述べると、最愛の歩ちゃんに付き纏う男がいる。

その男の正体と、どんなコトを歩ちゃんにしているのかを調べると同時に、襲われる恐れのある彼女を護衛しろ、との事だ。


最近、不審な事が見受けられている歩ちゃんは秀一に相談する所か隠しているらしい。

そんな彼女の様子から問いただす事も憚れる、と秀一が悔しそうに言ってきた時はかなり衝撃だった。
 

大和に速攻で連絡したのは記憶に新しい。



しかし歩ちゃんの事になると人が変わった様になる秀一を思い出すと納得する。


その事からあくまでも歩ちゃんには内密に進めたい訳だ。


そこで、と警察庁長官の甥っ子である俺に宮園家うちの力を使うべく頼んで来たという事だ。


何でもソツなくこなし、当たり前の様な顔していた秀一が。

やっぱり歩ちゃんの事に関しては違う様で、付き合いの長い俺でも、あんな必死な姿は初めて見た。


ここは友人として一肌脱ぐしかない。



俺の友人だった事と西園寺の三男坊という肩書きの重要性は叔父も理解している。


目を閉じ、話を聞き終えた叔父はゆっくり目を開き、低い声で。


ストーカーは犯罪だ。

ひとりの女性の日常生活を脅かす、精神的、身体的苦痛は計り知れない。

警察庁長官として見過ごす事は出来ない。

那央のご友人で西園寺のご子息だ。

そのご子息の大切な女性ひとという事ならば喜んで力を貸そう。



予想通りの叔父の返答に笑みを返した。




男の素性は直ぐに判明した。

引っ越し業者に勤める一人暮らしの20代。

仕事は至って真面目で、おとなしいと評判の人物。

そして歩ちゃんとは全く関わり合いの無い奴だ。



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