私の日常

林原なぎさ

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過去のお話 -日常編-

1年

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先日の誕生日当日に秀一さんも私も仕事がお休みだった事からお祝いする流れになり、ふたりで夢の国である某有名テーマパークへ連れて行ってもらった。

去年の春に愛歌と湊音の3人で訪れて以来なので楽しみだ。


乗り物よりもやっぱり私は食べ物で、キャラクターをモチーフにしたデザート類を食べ歩いた。

秀一さんも何も言わず付き合ってくれたので本当に感謝だ。

パレードも見れて大満足。



そして、この日完全に私は浮かれいた。

周囲に目を配る事も忘れて、楽しんでいたのだ。





「歩。私に何か言うこと、ない?」


「姉さんに?」


誕生日祝いに貰った、目の前にある有名ロールケーキ専門店の6月限定ティラミスロールケーキ。

このお礼なら言った筈だが。


姉はスマホをいじったかと思えば、1枚の写メを私に見せて来た。


あ…。


「だぁれ?これ。彼氏がいたなんて聞いてないわよ。」


数ヶ月前にも似たような台詞を聞いたなぁ…と現実逃避したいが、姉が見逃してくれる訳が無い。


映っていたのは私と手を繋ぎ歩く、秀一さんの姿だった。

まさか姉さんも居たとは…。


しかしここで私が'セフレなの'と言えば間違いなく秀一さんは姉に簀巻きにされてしまう。



「…うん。恥ずかしくて、その…言いづらかったの。」


秀一さんには申し訳ないが嘘をついた。


「いつから付き合ってるの?」


「…1年くらい前?」


'お酒の失敗でえっちしちゃった。'

その言葉を決して口に出してはいけない。


「1年前?そんな前から…。」


姉は疑わしい様で、ぶつぶつ独り言を呟いている。


「わかったわ。もうバレちゃったんだし。彼氏、紹介してくれるわよね?」


「……う、ん。」


ここで拒否すると、何故かと追及される。

もし'セフレ'という事実を誤魔化せたとしても、紹介出来ないと言う訳にもいかない。



紹介出来ないような男なのね。海の藻屑で勘弁してあげるわ。


そりゃあもうで言ってのけ、間違いなく実行される。


まずい…。






「初めまして、姉のりんです。」


にっこり笑う姉に只ならぬ威圧感を感じるのは、気のせい、だと思いたい…。


「初めまして。西園寺秀一です。」


秀一さんは、こんな姉を前にしてもいつもと変わらず、至って普通だ。


「では、西園寺さん。失礼ですがお仕事は何を?」


「広告代理店です。」


「じゃあ西園寺って…そう。」


姉は黙り込み、腕を組みながら何かを考えている様だ。



当時の私は知らなかったのだ。

秀一さんの務めている会社が西園寺の経営する会社である事を。



そんな事より当時の私は、根掘り葉掘り聞き出す姉に'付き合っていない'という事実がどこでバレるかとハラハラしていた。

だから早く話を終わらせたくて。


「あの!本当にいい人なの。だから、その…姉さんが心配するようなコトは無いから。」


だからもう、これ以上は突っ込んでこないで。




姉は最初驚いた顔を見せたが、にっこり笑ってくれて。


「わかったわ。でも西園寺さんに泣かされたら、私の所に来なさいね。」


「あはは…。うん…。」


私の思いは届き、突っ込んでこない姉に心底ホッとしたのだ。





姉と別れた後、秀一さんは私を抱き締めて、とんでもなくしつこいキスをしてきた。

そのままベッドへ連れて行かれ。


「啼かせるコトはあっても泣かせるようなコトはしないから大丈夫だな。」



耳元で囁き、再びキスをされた。


これが姉と秀一さんの初対面。






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