74 / 76
『桶狭間の戦い編』 天文十八年(一五四九年)
第74話 桶狭間決戦!
しおりを挟む
どれだけの死人が出るのだろうか。陣幕の中で床几に座り降りしきる雨を恨めしそうな目で見る。
「しかし、本当に織田軍はここに来るのでしょうか? この大雨の中を」
どうにも落ち着かないらしく一宮出羽守が槍の握り心地を確認しながら五郎八郎にたずねた。だが五郎八郎は、床几に座り目を閉じたまま何も発しない。
「来るか来ないかではない。来るかもしれないというのならば奇襲を受けぬように備えるのが戦場での当然の心構えだ」
五郎八郎の隣で槍を持ちどっしりと床几に座った朝比奈備中守が出羽守をそう言ってたしなめた。出羽守はどうやら気分がうわずっていたと感じたようで、大きく息を吐いて床几に座り直した。
兵たちは先ほどから陣幕の外に先の尖った木を入口に向けて大量に突き立てている。
いわゆる『乱杭』と呼ばれる進入を妨害する柵の一種である。さらには逆茂木も敷設している。
****
――
『どうした? 先ほどの者、何かあったのか?』
『お館様! 間もなくここに織田の大軍が押し寄せてまいります。お館様はそれがしの鎧を着て勘助と共に井伊隊に合流し、真っ直ぐ鳴海城を目指してくだされ。本陣はそれがしが引き受けます』
『は? そんな事が許可できるわけあるまい。そなたに何かあったら、当家はどうなってしまうと思っているのだ』
『今や遠江衆にはそれがし亡くとも、朝比奈殿もおれば、井伊殿もおれば、婿である岡部殿もおります。誰を後継としても、それがしと同等の活躍をしてくれましょう。時は一刻を争います。さあ、早う!』
――
****
準備は万端、いつでも来い。そう言いたいところであるが、五郎八郎は如何せん武芸はさっぱりである。初回の小豆坂の時は孫二郎や二俣城の精鋭たちが四方を固めて身を挺して守ってくれた。だが、その精鋭も今回はいない。いるのは弟の因幡守と薮田藤吉のわずか二人だけ。
因幡守は父上に似てかなり武芸には自信があるようだが、それでも針山のように敵兵に槍を突きつけられたら、ひとたまりもないであろう。
それなりに武芸をこなせるようになったからと九郎が藤吉を置いていったのだが、その貧相な体躯からは頼もしさの欠片も感じない。矯正力に対抗するためにこういう者を傍に置くのが手かもしれないと言うから許可したのだが、先ほどから緊張して歯の根が合っていない様子。
こんな調子で大丈夫なのだろうか?
自分が立案し、お館様たちの反対を押し切ってまで自分から買って出た役回りとは言え、自然と膝が震える。
どうやらそれが庵原右近の目に入ったらしい。
「五郎八郎殿、もし備中殿や出羽殿が敵を撃ち漏らしたとしても、それがしがおりますゆえ、ご安心くだされ」
武芸自慢の右近は自慢の髭を触りながら五郎八郎に微笑みかけた。降りしきる雨で自慢の髭は濡れ、いつも以上に艶が出ている。「縁起でもないことを言うな」と備中守が不機嫌そうな顔で呟く。
血気に逸る右近を出羽守が鼻で笑った。
「知っておるか右近よ。そういうのを『匹夫の勇』というのだ。情報では敵は我らの倍以上。いかにそなたが武芸に自信があっても、それだけではどうにもならぬのだぞ」
出羽守の挑発に藤枝伊賀守がいかにもと言って同調する。どうやら大戦を前に右近たちは笑い合って、何とか五郎八郎の緊張をほぐそうと努めてくれているらしい。
陣幕の裏に隠した兵たちも緊張しているらしく、武器をかちかちと鳴らして、ぼそぼそと何かを言い合っている。そんな兵たちの緊張がうつってくるのか、変な息苦しさを感じ自然と吐息が漏れる。
雨はいっそう激しさを増してくる。
地面を叩く雨音の中に、かすかではあるが不自然に乱れる雨音が聴こえてきた気がする。
どうやら始まったらしい。
「「「うぉぉぉ!」」」
雨音に紛れて遠くの方でしている兵の雄叫びが紛れるているように感じる。
果たして孫二郎は上手く立ち回っているだろうか。
兵庫助はちゃんとやれているであろうか。
八郎二郎は上手く兵を操れているだろうか。
二俣の松井軍の動きにこの作戦の全てがかかっている。彼らが大きな損害を出さずに敵をうまく受け流せるかどうか、それに全てがかかっている。
「「「おぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
雄叫びが近づいて来る。
明らかに向かって来るのが早い。
備中守が抱えていた槍を手にすたと立ち上がった。
家人の朝比奈主計助も立ち上がり、備中守に向かって大きくうなづく。
主計助が陣幕から半身外に出て大きく息を吸い込んだ。
「敵襲だ!! 皆の者、迎撃態勢を取れ! 一兵たりとも陣幕に敵を近づけるな!」
主計助は激しい雨音にも負けない大声で兵たちに号令を発した。それに呼応するように、出羽守と伊賀守が「御免」と言って槍を持ち陣幕を飛び出して行った。
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
敵兵の雄叫びが陣幕にまで響いてくる。
雨足に変わりは無いのに、不思議とかき消えていくように感じる。
「掛かれ!」
敵の指揮官の掛け声が聴こえる。そのすぐ後で、ぐわっやら、うがあっやら、断末魔の叫びが轟く。何度聞いても慣れない不快な声である。
「慌てるな! 一人一人確実に仕留めて行け!」
出羽守の叫び声が轟く。
頻繁に伊賀守が「怯むな!」と叫んでいる。
どうやら形勢はかなり不利という感じを受ける。
「柵が崩れたぞ! 一気になだれ込め!」
先ほどとは違う敵の指揮官の声がする。もしかしたら出羽守たちは最初の指揮官を討ち取る事ができたのかもしれない。
「者ども! 敵は弱兵だ! 槍を構えろ! 掛かれ!」
備中守の号令一閃、兵たちの雄叫びが陣幕を振動させる。キンっという鉄が擦れるような不快な音が無数に鳴り響く。
「朝比奈隊に後れを取るな! もうひと踏ん張りだ! 掛かれ! 掛かれ!」
出羽守も負けじと大声を張り上げる。それに応えるように兵たちの雄叫びが熱気となって陣幕の外に気炎として吹き上がる。
「何をしておる! 兵には構うな! 狙うは礼部の首一つだ! 陣幕の奥に向かえ!」
新たな指揮官の声。恐らくはこの部隊の大将といったところだろう。
「行かせるか! 者どもここが踏ん張り所ぞ! 敵を一兵たりとも討ち漏らすな!」
主計助の怒声が響いてくる。主計助がそう言うという事は、敵は攻撃よりも突破を優先するようになったという事であろう。
五郎八郎はすくっと立ち上がると、お館様からお借りした左文字の刀を鞘から抜いた。
それを合図に右近が五郎八郎の前に立ち、その前に親衛隊を並べた。因幡守と藤吉も槍を構えて五郎八郎の斜め前に立った。各々槍は陣幕の出口に向けている。
「礼部はどこだ!!」
陣幕に最初の返り血が飛び散って滲む。カチンカチンという鉄のぶつかる音が陣幕のすぐ外で聞こえる。
親衛隊も緊張で槍が震えている。
前方の陣幕の一枚が引き倒され、陣幕の入口から外の凄惨な光景が目に入った。
まさに激闘。
死屍累々。
出羽守も備中守も返り血で真っ赤に染まりながら兵を鼓舞して応戦している。
伊賀守と主計助の姿が見えない。恐らくは討たれてしまったのだろう……
「いたぞ! 礼部がいたぞおお!」
そう叫んだ敵の雑兵は後ろから槍を突き立てられて絶命した。
だが槍を突き立てた兵も、敵にめった刺しにされて陣幕の入口で絶命。
その複数の敵兵を親衛隊が一瞬で全て突き殺した。
「礼部だ! 義元だ! あの首を取れば功一等だ!」
無数の敵兵が一斉に親衛隊に襲い掛かった。
右近が冷静に敵兵を突き刺していく。
お館様の鎧を身にまとった五郎八郎の元に敵の槍が迫る。届くのも時間の問題だろう。五郎八郎が左文字の刀を構える。
雑兵の一人が親衛隊と激闘している味方をすり抜けて五郎八郎に槍を突き立てる。槍が五郎八郎の腿の横をかすめる。鮮血が直垂に滲む。
「服部小平太! 一番や……り……」
五郎八郎に槍を突き立てた敵の雑兵は因幡守と藤吉に槍を突き刺され絶命。
その瞬間であった。
陣幕が一斉に降り、五郎八郎の後ろに隠れていた由比美作守とその精鋭たちが敵の雑兵に襲い掛かった。
親衛隊に五郎八郎は取り囲まれ、その前に美作守が仁王立ちになる。
「一人残らず討ち取ってしまえ! ここが天下の一里塚だ!」
五郎八郎の号令に兵たちは奮い立った。
最も奮い立ったのは傍で聞いていた庵原右近と由比美作守だっただろう。「天下をその手に掴み取れ!」と叫んで敵を次々に串刺しにしていく。
終着点と思っていた背後から新たな兵が現れた事で、敵兵は明らかに士気が挫けている。そのせいで徐々に押し返されてしまっており、一人また一人と降りしきる雨の水たまりに身を委ねてしまっている。
本陣と敵兵の間には少し距離ができ始めた。だが敵兵は全く諦める事をしない。備中守と出羽守の兵たちの間から次々と兵が漏れ出て来て、その都度、右近と美作守たちの兵が丁寧に処理していく。
一進一退といえる状況になってきた。
そんな時であった。本陣の外に新たな部隊が現れた。
掛かれの号令も何もない。一人の武者がいきなり十文字槍を右に左にと振るって敵兵を血祭にあげていく。その姿はまさに鬼神そのもの。
「『血鑓九郎』ここに見参! 我と思う者はかかって参れ!」
「しかし、本当に織田軍はここに来るのでしょうか? この大雨の中を」
どうにも落ち着かないらしく一宮出羽守が槍の握り心地を確認しながら五郎八郎にたずねた。だが五郎八郎は、床几に座り目を閉じたまま何も発しない。
「来るか来ないかではない。来るかもしれないというのならば奇襲を受けぬように備えるのが戦場での当然の心構えだ」
五郎八郎の隣で槍を持ちどっしりと床几に座った朝比奈備中守が出羽守をそう言ってたしなめた。出羽守はどうやら気分がうわずっていたと感じたようで、大きく息を吐いて床几に座り直した。
兵たちは先ほどから陣幕の外に先の尖った木を入口に向けて大量に突き立てている。
いわゆる『乱杭』と呼ばれる進入を妨害する柵の一種である。さらには逆茂木も敷設している。
****
――
『どうした? 先ほどの者、何かあったのか?』
『お館様! 間もなくここに織田の大軍が押し寄せてまいります。お館様はそれがしの鎧を着て勘助と共に井伊隊に合流し、真っ直ぐ鳴海城を目指してくだされ。本陣はそれがしが引き受けます』
『は? そんな事が許可できるわけあるまい。そなたに何かあったら、当家はどうなってしまうと思っているのだ』
『今や遠江衆にはそれがし亡くとも、朝比奈殿もおれば、井伊殿もおれば、婿である岡部殿もおります。誰を後継としても、それがしと同等の活躍をしてくれましょう。時は一刻を争います。さあ、早う!』
――
****
準備は万端、いつでも来い。そう言いたいところであるが、五郎八郎は如何せん武芸はさっぱりである。初回の小豆坂の時は孫二郎や二俣城の精鋭たちが四方を固めて身を挺して守ってくれた。だが、その精鋭も今回はいない。いるのは弟の因幡守と薮田藤吉のわずか二人だけ。
因幡守は父上に似てかなり武芸には自信があるようだが、それでも針山のように敵兵に槍を突きつけられたら、ひとたまりもないであろう。
それなりに武芸をこなせるようになったからと九郎が藤吉を置いていったのだが、その貧相な体躯からは頼もしさの欠片も感じない。矯正力に対抗するためにこういう者を傍に置くのが手かもしれないと言うから許可したのだが、先ほどから緊張して歯の根が合っていない様子。
こんな調子で大丈夫なのだろうか?
自分が立案し、お館様たちの反対を押し切ってまで自分から買って出た役回りとは言え、自然と膝が震える。
どうやらそれが庵原右近の目に入ったらしい。
「五郎八郎殿、もし備中殿や出羽殿が敵を撃ち漏らしたとしても、それがしがおりますゆえ、ご安心くだされ」
武芸自慢の右近は自慢の髭を触りながら五郎八郎に微笑みかけた。降りしきる雨で自慢の髭は濡れ、いつも以上に艶が出ている。「縁起でもないことを言うな」と備中守が不機嫌そうな顔で呟く。
血気に逸る右近を出羽守が鼻で笑った。
「知っておるか右近よ。そういうのを『匹夫の勇』というのだ。情報では敵は我らの倍以上。いかにそなたが武芸に自信があっても、それだけではどうにもならぬのだぞ」
出羽守の挑発に藤枝伊賀守がいかにもと言って同調する。どうやら大戦を前に右近たちは笑い合って、何とか五郎八郎の緊張をほぐそうと努めてくれているらしい。
陣幕の裏に隠した兵たちも緊張しているらしく、武器をかちかちと鳴らして、ぼそぼそと何かを言い合っている。そんな兵たちの緊張がうつってくるのか、変な息苦しさを感じ自然と吐息が漏れる。
雨はいっそう激しさを増してくる。
地面を叩く雨音の中に、かすかではあるが不自然に乱れる雨音が聴こえてきた気がする。
どうやら始まったらしい。
「「「うぉぉぉ!」」」
雨音に紛れて遠くの方でしている兵の雄叫びが紛れるているように感じる。
果たして孫二郎は上手く立ち回っているだろうか。
兵庫助はちゃんとやれているであろうか。
八郎二郎は上手く兵を操れているだろうか。
二俣の松井軍の動きにこの作戦の全てがかかっている。彼らが大きな損害を出さずに敵をうまく受け流せるかどうか、それに全てがかかっている。
「「「おぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
雄叫びが近づいて来る。
明らかに向かって来るのが早い。
備中守が抱えていた槍を手にすたと立ち上がった。
家人の朝比奈主計助も立ち上がり、備中守に向かって大きくうなづく。
主計助が陣幕から半身外に出て大きく息を吸い込んだ。
「敵襲だ!! 皆の者、迎撃態勢を取れ! 一兵たりとも陣幕に敵を近づけるな!」
主計助は激しい雨音にも負けない大声で兵たちに号令を発した。それに呼応するように、出羽守と伊賀守が「御免」と言って槍を持ち陣幕を飛び出して行った。
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
敵兵の雄叫びが陣幕にまで響いてくる。
雨足に変わりは無いのに、不思議とかき消えていくように感じる。
「掛かれ!」
敵の指揮官の掛け声が聴こえる。そのすぐ後で、ぐわっやら、うがあっやら、断末魔の叫びが轟く。何度聞いても慣れない不快な声である。
「慌てるな! 一人一人確実に仕留めて行け!」
出羽守の叫び声が轟く。
頻繁に伊賀守が「怯むな!」と叫んでいる。
どうやら形勢はかなり不利という感じを受ける。
「柵が崩れたぞ! 一気になだれ込め!」
先ほどとは違う敵の指揮官の声がする。もしかしたら出羽守たちは最初の指揮官を討ち取る事ができたのかもしれない。
「者ども! 敵は弱兵だ! 槍を構えろ! 掛かれ!」
備中守の号令一閃、兵たちの雄叫びが陣幕を振動させる。キンっという鉄が擦れるような不快な音が無数に鳴り響く。
「朝比奈隊に後れを取るな! もうひと踏ん張りだ! 掛かれ! 掛かれ!」
出羽守も負けじと大声を張り上げる。それに応えるように兵たちの雄叫びが熱気となって陣幕の外に気炎として吹き上がる。
「何をしておる! 兵には構うな! 狙うは礼部の首一つだ! 陣幕の奥に向かえ!」
新たな指揮官の声。恐らくはこの部隊の大将といったところだろう。
「行かせるか! 者どもここが踏ん張り所ぞ! 敵を一兵たりとも討ち漏らすな!」
主計助の怒声が響いてくる。主計助がそう言うという事は、敵は攻撃よりも突破を優先するようになったという事であろう。
五郎八郎はすくっと立ち上がると、お館様からお借りした左文字の刀を鞘から抜いた。
それを合図に右近が五郎八郎の前に立ち、その前に親衛隊を並べた。因幡守と藤吉も槍を構えて五郎八郎の斜め前に立った。各々槍は陣幕の出口に向けている。
「礼部はどこだ!!」
陣幕に最初の返り血が飛び散って滲む。カチンカチンという鉄のぶつかる音が陣幕のすぐ外で聞こえる。
親衛隊も緊張で槍が震えている。
前方の陣幕の一枚が引き倒され、陣幕の入口から外の凄惨な光景が目に入った。
まさに激闘。
死屍累々。
出羽守も備中守も返り血で真っ赤に染まりながら兵を鼓舞して応戦している。
伊賀守と主計助の姿が見えない。恐らくは討たれてしまったのだろう……
「いたぞ! 礼部がいたぞおお!」
そう叫んだ敵の雑兵は後ろから槍を突き立てられて絶命した。
だが槍を突き立てた兵も、敵にめった刺しにされて陣幕の入口で絶命。
その複数の敵兵を親衛隊が一瞬で全て突き殺した。
「礼部だ! 義元だ! あの首を取れば功一等だ!」
無数の敵兵が一斉に親衛隊に襲い掛かった。
右近が冷静に敵兵を突き刺していく。
お館様の鎧を身にまとった五郎八郎の元に敵の槍が迫る。届くのも時間の問題だろう。五郎八郎が左文字の刀を構える。
雑兵の一人が親衛隊と激闘している味方をすり抜けて五郎八郎に槍を突き立てる。槍が五郎八郎の腿の横をかすめる。鮮血が直垂に滲む。
「服部小平太! 一番や……り……」
五郎八郎に槍を突き立てた敵の雑兵は因幡守と藤吉に槍を突き刺され絶命。
その瞬間であった。
陣幕が一斉に降り、五郎八郎の後ろに隠れていた由比美作守とその精鋭たちが敵の雑兵に襲い掛かった。
親衛隊に五郎八郎は取り囲まれ、その前に美作守が仁王立ちになる。
「一人残らず討ち取ってしまえ! ここが天下の一里塚だ!」
五郎八郎の号令に兵たちは奮い立った。
最も奮い立ったのは傍で聞いていた庵原右近と由比美作守だっただろう。「天下をその手に掴み取れ!」と叫んで敵を次々に串刺しにしていく。
終着点と思っていた背後から新たな兵が現れた事で、敵兵は明らかに士気が挫けている。そのせいで徐々に押し返されてしまっており、一人また一人と降りしきる雨の水たまりに身を委ねてしまっている。
本陣と敵兵の間には少し距離ができ始めた。だが敵兵は全く諦める事をしない。備中守と出羽守の兵たちの間から次々と兵が漏れ出て来て、その都度、右近と美作守たちの兵が丁寧に処理していく。
一進一退といえる状況になってきた。
そんな時であった。本陣の外に新たな部隊が現れた。
掛かれの号令も何もない。一人の武者がいきなり十文字槍を右に左にと振るって敵兵を血祭にあげていく。その姿はまさに鬼神そのもの。
「『血鑓九郎』ここに見参! 我と思う者はかかって参れ!」
16
あなたにおすすめの小説
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
アブサードカード ~ある日世界がダンジョン化した件について~
仮実谷 望
ファンタジー
ある日、主人公の目の前にアブサードカードと呼ばれる謎のカードが出現した。それを拾うと世界が一変した。謎の異形、怪物と出会ってしまったため戦いの日々に巻き込まれる。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~
山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。
与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。
そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。
「──誰か、養ってくれない?」
この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活
シン
ファンタジー
世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。
大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。
GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。
ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。
そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。
探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。
そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。
たまに有り得ない方向に話が飛びます。
一話短めです。
お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜
双葉 鳴
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。
勇者としての役割、与えられた力。
クラスメイトに協力的なお姫様。
しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。
突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。
そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。
なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ!
──王城ごと。
王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された!
そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。
何故元の世界に帰ってきてしまったのか?
そして何故か使えない魔法。
どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。
それを他所に内心あわてている生徒が一人。
それこそが磯貝章だった。
「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」
目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。
幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。
もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。
そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。
当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。
日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。
「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」
──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。
序章まで一挙公開。
翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。
序章 異世界転移【9/2〜】
一章 異世界クラセリア【9/3〜】
二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】
三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】
四章 新生活は異世界で【9/10〜】
五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】
六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】
七章 探索! 並行世界【9/19〜】
95部で第一部完とさせて貰ってます。
※9/24日まで毎日投稿されます。
※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。
おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。
勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。
ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。
俺のレベルが常人では到達不可の領域にある件について ~全ユーザーレベル上限999の中俺だけレベル100億いった~
仮実谷 望
ファンタジー
ダンジョンが当たり前のようにある世界になって3年の月日が流れてずっとダンジョンに入りたいと願っていた青年が自宅にダンジョンが出現する。自宅の押し入れにダンジョンが出現する中、冷静に青年はダンジョンを攻略する。そして自分だけがレベル上限を突破してレベルが無尽蔵に上がり続けてしまう。そうしていづれは最強への探索者として覚醒する青年なのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる