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【第四章】箱館戦争
さらば歳三
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戦況の悪化に、フランス語通訳官アラミスもまた心を痛め、眠れない日々を過ごしていた。
四月二十八の未明、アラミスは五稜郭の自らにあてがわれた一室を出ると、そこにジュール・ブリュネが立っていた。以前のこともあり、アラミスの顔色が変わった。
「大丈夫、私なにもしません。今日は別れを告げにきました」
「別れとは?」
「戦況、最悪です。私たちの目から見れば、戦いの先は見えました。私たちも命運つきました。行き場所ありません。したがって私、戦って死ぬこときめました」
その時、ブリュネはアラミスの前で片膝をついた。
「何をなさるのです。日本の男の人はそのようなことはしません」
アラミスは困惑していう。
「私、日本人ではありません。西欧では例え夫人でも、すばらしい人の前では、こうして最大の礼をつくします。私、命失ってもあなたのこと忘れません」
その場を去ろうとするブリュネにアラミスが声をかけた。
「N'abandonnez pas le combat jusqu'ala fin 」
(最後まで戦うこと、そして生きることをあきらめないでください)
四月二十九日、政府軍は矢不来に総攻撃をしかけてきた。矢不来は海岸ぎりぎりまで台地がせりだしていて、防御には適してはいる。しかしここでも共和国軍の部隊は、精強な薩摩兵を相手に苦戦をしいられる。苦戦どころか、わずか二時間ほどの戦闘で早くも崩れはじめた。
ところがである。馬のいななく声と共に硝煙の中、姿を現した西洋風の軍服を着た男がいた。なんとそれは総裁である榎本その人であった。
「総裁! なぜここに!」
兵卒たちは驚き、そして叫んだ。
「ここを突破されたら俺たちは終わりだ。私だけ安全な場所にいられるか! わたしも諸君たち共に戦う。この地は我らの地だ! そして俺たち幕臣の最後の希望の地なんだ!」
榎本の出現に、逃げはじめた共和国軍の兵士も再び敵の方角に向きなおるも、ほどなく再び事態は一変する。甲鉄、春日をはじめとした政府艦隊が海からの砲撃を開始したのである。木古内では薩摩兵がややぬけがけ気味で、艦隊は間に合わなかった。しかし今度は息がぴたりと合った。
兵士たちは再び四散して逃げはじめた。
「この地は我らの地だ! 俺たち幕臣の最後の希望の地だ!」
戦線が絶望的な状況になっていく中にあっても、それでもなお、榎本は敵の方角を向いたまま絶叫を続けた。眼光は烈火のごとく、髪を振り乱し、軍服がぼろぼろになっても榎本は叫び続けた。だがその声はあまりに空しかった。
「総裁! 何をしておられる! ここにいては危険です」
ついに榎本を後方を下げようと姿を現したのは、大鳥圭介だった。
「やかましい! ここを失ったら俺たちはどうすればいい! 俺はここで死ぬ」
その時、榎本の視界が、かなりの至近距離で銃をかまえる数名の敵兵をとらえた。
「危ない!」
榎本の前にたちふさがる者がいた。ジュール・ブリュネだった。
ブリュネは右肩に銃弾を受けて倒れた。
「君は……どうして私を助けた」
「お前は……命を捨てるに値する。そして、俺にとり……カタキ」
そこまでいうとブリュネは気を失った。
矢不来はついに敵に奪われた。榎本は部下に守られながら、かろうじて五稜郭に帰還。ブリュネも戸板に乗せられて五稜郭に戻ってきた。幸いにしてブリュネは軽傷ですんだ。ここで榎本は一つの決断をする。
「なぜですか? なぜ私たち去らなければならないのです。私たち最後まで戦います。死ぬの怖くありません」
五稜郭の総裁室で、ブリュネは榎本につめよった。
「お気持ちはありがたい。しかし貴方たちが本当に死ねば、それは敵と我々の問題ではない。日本国とフランス国との問題になるのです。最悪の場合、我が国と貴国との戦争もありうる」
そう言われてみると、ブリュネも返す言葉がなかった。
「ムッシュ榎本、貴方とあえてよかった。やむをえません。私たち去ります。でも我々の魂は遠くフランスにあっても貴方たち共にあります」
「ありがとう!」
ブリュネと榎本は固く握手した。
「je ne t'oublierai jamais」(私も、あなたのこと決してわすれません)
とフランス語でいったのはアラミスだった。
「ありがとう、どうか私たちのために祈ってください」
とブリュネは目をうるませていった。
五月一日、ブリュネをはじめとしてフランス人士官たちは箱館を脱出した。横浜に到着すると公使ウトレーはブリュネたちを激しく罵り、そして拘禁。そのままフランス・マルセイユに強制送還された。
覚悟していたこととはいえ、苛酷な扱いにブリュネたちは前途を絶望せずにはいられなかった。ところがフランスに戻ると事態は一変する。ブリュネが軍を脱走する際、ナポレオン三世にあてた書簡が新聞に掲載され、フランスの世論は彼らを支持し称賛したのだった。
やがて裁判が行われたが、ブリュネたちの処罰は譴責という極めて軽いもので、原隊への復帰も許された。その後のブリュネは普仏戦争に参加するなどし順調に出世の階段を上り、ついには官房長官にまでなった。
また賊軍の一味だったにも関わらず、日本の明治天皇より外国人としては最高の勲二等瑞宝章を授与されている。その背景には、すでに明治政府の一員となっていた榎本の働きかけがあったといわれる。
五月に入ると、いよいよ戦況は悪化の一途をたどった。矢不来を失ったことにより、二股口を十数日にわたって死守していた土方歳三は、敵による挟撃をさけるため五稜郭への帰還を余儀なくされる。
すでに四月二十九日には、蝦夷共和国側の三隻の軍艦のうち千代田形が、座礁して海の藻屑と化していた。残るは回天と蟠龍のみである。
五月三日の深夜、五稜郭と同様に蝦夷共和国側の防衛の要である弁天台場の砲台が、釘を打ちこまれるなどして使用不能になるという事件がおきた。さらに弁天台場から七飯浜まで、海中に防材として張ってあった縄十数本も切断され、敵艦の箱館湾奥地への侵入が容易となる。犯人は新政府側の人間ではなかった。新政府側と密かに気脈を通じていた、味方であるはずの八王子千人同心出身の斎藤順三郎という者だった。
この男は父親の代から、箱館の隣村の七飯に入植していた。安定していた生活基盤は榎本たちの出現により破壊される。徳川の脱藩軍が最初に清水谷公考の箱館府と交戦した際には、半ば強制徴兵され徳川脱藩軍と戦うはめになり、足に傷まで負っていた。
このように榎本と旧幕臣たちの出現は、箱館市民の多くにとり、ありがたくないものだった。そのことからも、やはり榎本の蝦夷共和国構想は夢でしかなかったともいえるのである。
五月七日には蝦夷共和国側に残る二隻の軍艦が、新政府側の甲鉄、春日をはじめとする軍艦と箱館湾で交戦した。しかし甲鉄が放つ三百ポンド砲が、敵艦に確実にダメージを与えるのに比べ、回天と蟠龍の四十ポンド砲はどうあがいても敵艦にとどかなかった。まるでヘビー級のボクサーとライト級あたりのボクサーが殴り合っているかのようである。
この日の海戦で、回天は八十発以上の砲弾を浴びついには航行不能となった。以後、回天は浮き砲台としてしか使えない代物と化してしまう。
もはや蝦夷共和国側には蟠龍しか残されていなかった。この頃から新政府側の黒田了介は敵方をできるだけ早くに降伏させること。その後、新政府側から見た反乱軍首謀者の寛大な処置を計画し始めていたという。特に黒田は開戦早々から敵将榎本の器量を見抜き、みすみす死なせることは、日本国にとっての損失と考えていたという。
五月十日、蝦夷共和国側はいよいよ明日未明をもって敵が覚悟の総攻撃にでるという情報をつかんだ。
その夜、蝦夷共和国の幹部たちは豊川町の料亭・武蔵野楼に集い最後の宴を開いた。参加者は榎本に土方、荒井郁之助、中島三郎助、人見勝太郎、さらに新選組では相馬主計などそうそうたる面子がそろっていた。まさに訣別の宴だった。
翌未明、榎本は五稜郭から箱館市街の方角を見下ろしていた。こころなしか表情が悲しげではある。
「何を考えていた榎本」
背後で声がした。それは土方だった。土方は榎本と二人きりでいる時は、ときおり榎本と呼び捨てにした。
「いや……今日こそは、この箱館の町が私にとっての巨大な墓標になるのかと思うと、おかしいのやら悲しいのやら」
榎本はかすかに笑った。
「墓標か、それも面白いかもな」
土方もまた笑った。
「土方君、今だから君に聞きたい。君はなぜこの箱館まで来た?」
「なぜというと?」
「死に場所を求めているなら、会津という立派な死に場所があったろう。わざわざこんな最果ての地までこなくとも?」
土方はしばし考えた。
「会津で死のうとも考えた。だが俺がこの地まで来て戦い続けることで、百年後、二百年後の世の人間が、ちっとは新選組を見る目が変わるんじゃないかとも思ってな」
「なるほどな、まあ人は百年は生きられないしな。どんな人間にも終わりはくる。だが人は、人生うまくいっている時はそんなことは夢にも思わない。私もはじめてバタビアまで行って異国の地を踏んだ時は、こうして終わりの時を迎える日のことなんて想像もつかなかったな」
再び榎本は苦笑する。
「冥途の土産に聞いておこう。そのバタビアとやらはどういう国だ? 日本と何が違う」
榎本はしばらくの間沈黙した。
「日本と同じ島国でオランダの支配を受けている。この日本国には蝦夷から薩摩まで同じ日本国の言葉を話す、同じ日本人しか住んでいない。だがあの国には無数の言語も肌の色も生活習慣も違う人間が共に生きている。他に清国の人間もいれば、もちろんオランダ人だっている。
米は年に三回も収穫できる。徳川と同じ広さを持つ大名がバタビアにいたとしたら、その石高は約千二百万石ということになる。そしてこれは異国の都市ならどこでも同じだが、夜になるとガス灯というものが都市をてらし、まるで昼のように明るいんだ」
すると土方は突然、カラカラと笑いだした。
「想像もつかねえなオイ! 本当世界は広いんだな。そう考えると俺たち新選組なんてのは本当何だったんだろうな」
「まあ、もしかなえられることなら、私も今一度異国の地を……」
榎本が全ていい終わらないうちに、物見があわただしく姿をあらわした。
「申し上げます。箱館山の山頂からから銃声がしきりとのこと、敵はどうやら箱館山を占拠したもよう」
薩摩軍の一隊が箱館山の背後の海沿いの崖をよじ登り、山を制圧したというのである。筆者は幾度か箱館山を登ったことがあるが、あの山の背後の崖を軍勢が越えたことが信じられない。さすがは薩摩隼人である……。
五稜郭は未明から上を下への大混乱と化した。このままでは箱館の町が危ない。
「箱館山の麓には新選組がいる。だがあの程度の兵力では到底防ぐことはできない。俺が援軍として行く」
土方はすぐに身支度を整えて馬上の人となった。
「榎本さん、今度こそお別れかもな。あんたは何としても生きろ。俺の墓に墓標はいらない。あんたが生きること、それが俺たちの墓標になる。そしていつか必ず、この地の夜を昼のように明るくしろ」
土方は笑った。はたして、これが両者の今生の別れとなるのだった。
五稜郭を出立した土方であったが、ちょうど箱館山がいよいよその威容を眼前にさらす頃に、敵の伏兵の襲撃に遭遇する。わずかな供は次から次へとうちとられていく。
「ひるむな! 敵は小勢だ、恐れるに足らず!」
馬上叫んだ土方であったが、その時、銃弾が腹部に命中した。土方は激痛とともに落馬して倒れた……。
新政府軍側では、夜明けと共に艦隊も出撃してくる。そのうち朝陽と丁卯は、五稜郭方面へと向かう味方を援護するため、箱館湾の北側に沿って航行していた。しかし立ちふさがるものがいた。蟠龍だった。
蟠龍こそ健気だった。決して装備に優れているわけでもないこの小型艦が、今や蝦夷共和国の最後の砦として敵艦に相対しなければならなかった。一方の朝陽は、どうしても蟠龍が邪魔で陸軍部隊の援護どころではない。業を煮やし、蟠龍の砲弾の射程距離までせまってくる。艦隊同士の一騎打ちである。
両艦が互いの砲弾の射程距離で、なんとか相手より優位にたとうとあがいた。その光景を多くの箱館市民が目撃して、後々まで語り伝えることとなる。筆者も子供の頃学校で幾度か聞かされた。函館山で苦戦を続ける新選組の隊士たちにも見えた。もちろん薩摩兵も見た。そして五稜郭の榎本からも見えた。特に榎本は祈るような思いでこの光景に見いった。蟠龍を失えばもはや残された軍艦は存在しない。
榎本も祈ったが、蟠龍の艦長である松岡盤吉もまた覚悟して、敵艦を眼前にして思わず南無阿弥陀仏と念仏をとなえた。やがて鈍い衝撃音がした。蟠龍からの一撃は見事、敵艦の火薬庫に命中。朝陽は海の藻屑と化した。海上には人の屍、刀や石炭、さらには天保銭までもが散乱した。
榎本は側近とともに思わず歓喜の声をあげた。しかしすぐに心に一陣のすきま風が吹いた。
なにしろ松岡盤吉は、榎本にとり長崎海軍伝習所での同期生なのである。だれの印象にも、はっきり残らないほど目立たない実習生だった。
奇妙な男である。先の甲鉄艦奪取作戦で、蟠龍の艦長をつとめていたのも松岡だった。結局スクリューの故障のため航行不能になり、動けるころには作戦は失敗に終わっていた。やがて敵艦が蟠龍の存在を知り迫ってくる。部下たちが慌てる中にあっても、松岡だけは平然とヒゲをそり、シャツを着替え、まるで慌てるそぶりさえなかったという。
松岡のことはともかくとして、長崎海軍伝習所での日々を思うと、榎本の胸に去来するものがあった。よもやこんな日が来ようとは……。
一方、箱館山のふもとでは、わずかな数の新選組が山の上から猛攻をしかけてくる薩摩隼人に防戦一方となっていた。なにしろ当時の箱館山はまったくの禿げ山だったという。あの恐ろしい薩摩隼人をさえぎるものは存在しなかった。一本木関門、ここが最激戦地になったという。現在ではJR函館駅から徒歩三分ほどの場所である。
「退くな! 敵に背をむけるな!」
乱戦の中、新選組を率いる島田魁は絶叫するも、味方は崩壊寸前の様相を呈しはじめていた。その時である。大砲の音が響くと同時に、硝煙の煙の中、島田はそこに屹立する男の影を見た。
「土方さん来てくれたんですね」
それはまぎれもなく土方だった。
「ずいぶんと待たせたな。俺が来たからには薩摩の連中なんかには決して負けはしない!」
戦場に翻る「誠」の旗が、炎のように薩摩隼人に襲いかかった。戦況は土方の出現により一変した。やがて土方は島田の胸をつかむと、
「島田、後はお前が指揮をとれ。俺は他部所への応援にもゆかなくてはならない」
といって島田に背を向けた。
「土方さん、必ず、必ず戻ってきてください。きっとですよ」
だが島田が土方を見たのはこれが最後となった。
土方は馬でしばらく歩むと、人影のない林の中へとさしかかる。土方自身にも、自分がどこかいるのか、はっきりわからなくなっていた。やがて馬からおりると、腹部に巻いていた晒しをとった。一滴、二滴と血がこぼれ落ちる。大量出血のため意識が朦朧とし始めた土方は、近くの木にもたれかかるようにして、ゆっくりと腰から崩れ落ちた。すでに顔面は蒼白だった。
「どうした歳、もう終わりか?」
天の彼方からか近藤らしき声がした。
「何、まだ終わらねえよ。ちょっと眠るだけだ。俺はまだまだ変わり続ける。これからだ、いつか俺はナポレオンのように……。ただ……ちょっと疲れたかな……」
土方が目を覚ますことはなかった。土方歳三享年三十五歳。幕末最強の剣客集団新選組の最後の時だった。
その夜遅く、馬で戦場となった一本木関門周辺をおとずれる者があった。長州の山田市之允だった。すでに土方戦死の報は敵味方の陣営に伝わっていた。
「本当に奴は死んだのか?」
市之允は何かが腑に落ちず、戦場に現れた。突如として烈風がおこった。騎馬武者が数騎、次第、次第にその影が巨大なものと化して市之允に迫ってくる。その時、市之允は確かにあの「誠」の旗を見た。騎馬武者は市之允の背後で馬首を返した。
「土方よ、今は俺たちとおまえたち新選組、どちらに大義があったかなどを議論するつもりはない。ただ確かにいえることは、俺たちは共に同じ時代を生きて戦ったということだ。土方よ……俺もお前のような男が好きだった。可能なら敵として会いたくなかった」
市之允は唇をふるわせた。そして振り返った時、武者はすでに消えていた。
土方の死によって、榎本もそして蝦夷共和国もいよいよ命運尽きる時が迫っていた。そして榎本はついに決断を迫られるのだった。
四月二十八の未明、アラミスは五稜郭の自らにあてがわれた一室を出ると、そこにジュール・ブリュネが立っていた。以前のこともあり、アラミスの顔色が変わった。
「大丈夫、私なにもしません。今日は別れを告げにきました」
「別れとは?」
「戦況、最悪です。私たちの目から見れば、戦いの先は見えました。私たちも命運つきました。行き場所ありません。したがって私、戦って死ぬこときめました」
その時、ブリュネはアラミスの前で片膝をついた。
「何をなさるのです。日本の男の人はそのようなことはしません」
アラミスは困惑していう。
「私、日本人ではありません。西欧では例え夫人でも、すばらしい人の前では、こうして最大の礼をつくします。私、命失ってもあなたのこと忘れません」
その場を去ろうとするブリュネにアラミスが声をかけた。
「N'abandonnez pas le combat jusqu'ala fin 」
(最後まで戦うこと、そして生きることをあきらめないでください)
四月二十九日、政府軍は矢不来に総攻撃をしかけてきた。矢不来は海岸ぎりぎりまで台地がせりだしていて、防御には適してはいる。しかしここでも共和国軍の部隊は、精強な薩摩兵を相手に苦戦をしいられる。苦戦どころか、わずか二時間ほどの戦闘で早くも崩れはじめた。
ところがである。馬のいななく声と共に硝煙の中、姿を現した西洋風の軍服を着た男がいた。なんとそれは総裁である榎本その人であった。
「総裁! なぜここに!」
兵卒たちは驚き、そして叫んだ。
「ここを突破されたら俺たちは終わりだ。私だけ安全な場所にいられるか! わたしも諸君たち共に戦う。この地は我らの地だ! そして俺たち幕臣の最後の希望の地なんだ!」
榎本の出現に、逃げはじめた共和国軍の兵士も再び敵の方角に向きなおるも、ほどなく再び事態は一変する。甲鉄、春日をはじめとした政府艦隊が海からの砲撃を開始したのである。木古内では薩摩兵がややぬけがけ気味で、艦隊は間に合わなかった。しかし今度は息がぴたりと合った。
兵士たちは再び四散して逃げはじめた。
「この地は我らの地だ! 俺たち幕臣の最後の希望の地だ!」
戦線が絶望的な状況になっていく中にあっても、それでもなお、榎本は敵の方角を向いたまま絶叫を続けた。眼光は烈火のごとく、髪を振り乱し、軍服がぼろぼろになっても榎本は叫び続けた。だがその声はあまりに空しかった。
「総裁! 何をしておられる! ここにいては危険です」
ついに榎本を後方を下げようと姿を現したのは、大鳥圭介だった。
「やかましい! ここを失ったら俺たちはどうすればいい! 俺はここで死ぬ」
その時、榎本の視界が、かなりの至近距離で銃をかまえる数名の敵兵をとらえた。
「危ない!」
榎本の前にたちふさがる者がいた。ジュール・ブリュネだった。
ブリュネは右肩に銃弾を受けて倒れた。
「君は……どうして私を助けた」
「お前は……命を捨てるに値する。そして、俺にとり……カタキ」
そこまでいうとブリュネは気を失った。
矢不来はついに敵に奪われた。榎本は部下に守られながら、かろうじて五稜郭に帰還。ブリュネも戸板に乗せられて五稜郭に戻ってきた。幸いにしてブリュネは軽傷ですんだ。ここで榎本は一つの決断をする。
「なぜですか? なぜ私たち去らなければならないのです。私たち最後まで戦います。死ぬの怖くありません」
五稜郭の総裁室で、ブリュネは榎本につめよった。
「お気持ちはありがたい。しかし貴方たちが本当に死ねば、それは敵と我々の問題ではない。日本国とフランス国との問題になるのです。最悪の場合、我が国と貴国との戦争もありうる」
そう言われてみると、ブリュネも返す言葉がなかった。
「ムッシュ榎本、貴方とあえてよかった。やむをえません。私たち去ります。でも我々の魂は遠くフランスにあっても貴方たち共にあります」
「ありがとう!」
ブリュネと榎本は固く握手した。
「je ne t'oublierai jamais」(私も、あなたのこと決してわすれません)
とフランス語でいったのはアラミスだった。
「ありがとう、どうか私たちのために祈ってください」
とブリュネは目をうるませていった。
五月一日、ブリュネをはじめとしてフランス人士官たちは箱館を脱出した。横浜に到着すると公使ウトレーはブリュネたちを激しく罵り、そして拘禁。そのままフランス・マルセイユに強制送還された。
覚悟していたこととはいえ、苛酷な扱いにブリュネたちは前途を絶望せずにはいられなかった。ところがフランスに戻ると事態は一変する。ブリュネが軍を脱走する際、ナポレオン三世にあてた書簡が新聞に掲載され、フランスの世論は彼らを支持し称賛したのだった。
やがて裁判が行われたが、ブリュネたちの処罰は譴責という極めて軽いもので、原隊への復帰も許された。その後のブリュネは普仏戦争に参加するなどし順調に出世の階段を上り、ついには官房長官にまでなった。
また賊軍の一味だったにも関わらず、日本の明治天皇より外国人としては最高の勲二等瑞宝章を授与されている。その背景には、すでに明治政府の一員となっていた榎本の働きかけがあったといわれる。
五月に入ると、いよいよ戦況は悪化の一途をたどった。矢不来を失ったことにより、二股口を十数日にわたって死守していた土方歳三は、敵による挟撃をさけるため五稜郭への帰還を余儀なくされる。
すでに四月二十九日には、蝦夷共和国側の三隻の軍艦のうち千代田形が、座礁して海の藻屑と化していた。残るは回天と蟠龍のみである。
五月三日の深夜、五稜郭と同様に蝦夷共和国側の防衛の要である弁天台場の砲台が、釘を打ちこまれるなどして使用不能になるという事件がおきた。さらに弁天台場から七飯浜まで、海中に防材として張ってあった縄十数本も切断され、敵艦の箱館湾奥地への侵入が容易となる。犯人は新政府側の人間ではなかった。新政府側と密かに気脈を通じていた、味方であるはずの八王子千人同心出身の斎藤順三郎という者だった。
この男は父親の代から、箱館の隣村の七飯に入植していた。安定していた生活基盤は榎本たちの出現により破壊される。徳川の脱藩軍が最初に清水谷公考の箱館府と交戦した際には、半ば強制徴兵され徳川脱藩軍と戦うはめになり、足に傷まで負っていた。
このように榎本と旧幕臣たちの出現は、箱館市民の多くにとり、ありがたくないものだった。そのことからも、やはり榎本の蝦夷共和国構想は夢でしかなかったともいえるのである。
五月七日には蝦夷共和国側に残る二隻の軍艦が、新政府側の甲鉄、春日をはじめとする軍艦と箱館湾で交戦した。しかし甲鉄が放つ三百ポンド砲が、敵艦に確実にダメージを与えるのに比べ、回天と蟠龍の四十ポンド砲はどうあがいても敵艦にとどかなかった。まるでヘビー級のボクサーとライト級あたりのボクサーが殴り合っているかのようである。
この日の海戦で、回天は八十発以上の砲弾を浴びついには航行不能となった。以後、回天は浮き砲台としてしか使えない代物と化してしまう。
もはや蝦夷共和国側には蟠龍しか残されていなかった。この頃から新政府側の黒田了介は敵方をできるだけ早くに降伏させること。その後、新政府側から見た反乱軍首謀者の寛大な処置を計画し始めていたという。特に黒田は開戦早々から敵将榎本の器量を見抜き、みすみす死なせることは、日本国にとっての損失と考えていたという。
五月十日、蝦夷共和国側はいよいよ明日未明をもって敵が覚悟の総攻撃にでるという情報をつかんだ。
その夜、蝦夷共和国の幹部たちは豊川町の料亭・武蔵野楼に集い最後の宴を開いた。参加者は榎本に土方、荒井郁之助、中島三郎助、人見勝太郎、さらに新選組では相馬主計などそうそうたる面子がそろっていた。まさに訣別の宴だった。
翌未明、榎本は五稜郭から箱館市街の方角を見下ろしていた。こころなしか表情が悲しげではある。
「何を考えていた榎本」
背後で声がした。それは土方だった。土方は榎本と二人きりでいる時は、ときおり榎本と呼び捨てにした。
「いや……今日こそは、この箱館の町が私にとっての巨大な墓標になるのかと思うと、おかしいのやら悲しいのやら」
榎本はかすかに笑った。
「墓標か、それも面白いかもな」
土方もまた笑った。
「土方君、今だから君に聞きたい。君はなぜこの箱館まで来た?」
「なぜというと?」
「死に場所を求めているなら、会津という立派な死に場所があったろう。わざわざこんな最果ての地までこなくとも?」
土方はしばし考えた。
「会津で死のうとも考えた。だが俺がこの地まで来て戦い続けることで、百年後、二百年後の世の人間が、ちっとは新選組を見る目が変わるんじゃないかとも思ってな」
「なるほどな、まあ人は百年は生きられないしな。どんな人間にも終わりはくる。だが人は、人生うまくいっている時はそんなことは夢にも思わない。私もはじめてバタビアまで行って異国の地を踏んだ時は、こうして終わりの時を迎える日のことなんて想像もつかなかったな」
再び榎本は苦笑する。
「冥途の土産に聞いておこう。そのバタビアとやらはどういう国だ? 日本と何が違う」
榎本はしばらくの間沈黙した。
「日本と同じ島国でオランダの支配を受けている。この日本国には蝦夷から薩摩まで同じ日本国の言葉を話す、同じ日本人しか住んでいない。だがあの国には無数の言語も肌の色も生活習慣も違う人間が共に生きている。他に清国の人間もいれば、もちろんオランダ人だっている。
米は年に三回も収穫できる。徳川と同じ広さを持つ大名がバタビアにいたとしたら、その石高は約千二百万石ということになる。そしてこれは異国の都市ならどこでも同じだが、夜になるとガス灯というものが都市をてらし、まるで昼のように明るいんだ」
すると土方は突然、カラカラと笑いだした。
「想像もつかねえなオイ! 本当世界は広いんだな。そう考えると俺たち新選組なんてのは本当何だったんだろうな」
「まあ、もしかなえられることなら、私も今一度異国の地を……」
榎本が全ていい終わらないうちに、物見があわただしく姿をあらわした。
「申し上げます。箱館山の山頂からから銃声がしきりとのこと、敵はどうやら箱館山を占拠したもよう」
薩摩軍の一隊が箱館山の背後の海沿いの崖をよじ登り、山を制圧したというのである。筆者は幾度か箱館山を登ったことがあるが、あの山の背後の崖を軍勢が越えたことが信じられない。さすがは薩摩隼人である……。
五稜郭は未明から上を下への大混乱と化した。このままでは箱館の町が危ない。
「箱館山の麓には新選組がいる。だがあの程度の兵力では到底防ぐことはできない。俺が援軍として行く」
土方はすぐに身支度を整えて馬上の人となった。
「榎本さん、今度こそお別れかもな。あんたは何としても生きろ。俺の墓に墓標はいらない。あんたが生きること、それが俺たちの墓標になる。そしていつか必ず、この地の夜を昼のように明るくしろ」
土方は笑った。はたして、これが両者の今生の別れとなるのだった。
五稜郭を出立した土方であったが、ちょうど箱館山がいよいよその威容を眼前にさらす頃に、敵の伏兵の襲撃に遭遇する。わずかな供は次から次へとうちとられていく。
「ひるむな! 敵は小勢だ、恐れるに足らず!」
馬上叫んだ土方であったが、その時、銃弾が腹部に命中した。土方は激痛とともに落馬して倒れた……。
新政府軍側では、夜明けと共に艦隊も出撃してくる。そのうち朝陽と丁卯は、五稜郭方面へと向かう味方を援護するため、箱館湾の北側に沿って航行していた。しかし立ちふさがるものがいた。蟠龍だった。
蟠龍こそ健気だった。決して装備に優れているわけでもないこの小型艦が、今や蝦夷共和国の最後の砦として敵艦に相対しなければならなかった。一方の朝陽は、どうしても蟠龍が邪魔で陸軍部隊の援護どころではない。業を煮やし、蟠龍の砲弾の射程距離までせまってくる。艦隊同士の一騎打ちである。
両艦が互いの砲弾の射程距離で、なんとか相手より優位にたとうとあがいた。その光景を多くの箱館市民が目撃して、後々まで語り伝えることとなる。筆者も子供の頃学校で幾度か聞かされた。函館山で苦戦を続ける新選組の隊士たちにも見えた。もちろん薩摩兵も見た。そして五稜郭の榎本からも見えた。特に榎本は祈るような思いでこの光景に見いった。蟠龍を失えばもはや残された軍艦は存在しない。
榎本も祈ったが、蟠龍の艦長である松岡盤吉もまた覚悟して、敵艦を眼前にして思わず南無阿弥陀仏と念仏をとなえた。やがて鈍い衝撃音がした。蟠龍からの一撃は見事、敵艦の火薬庫に命中。朝陽は海の藻屑と化した。海上には人の屍、刀や石炭、さらには天保銭までもが散乱した。
榎本は側近とともに思わず歓喜の声をあげた。しかしすぐに心に一陣のすきま風が吹いた。
なにしろ松岡盤吉は、榎本にとり長崎海軍伝習所での同期生なのである。だれの印象にも、はっきり残らないほど目立たない実習生だった。
奇妙な男である。先の甲鉄艦奪取作戦で、蟠龍の艦長をつとめていたのも松岡だった。結局スクリューの故障のため航行不能になり、動けるころには作戦は失敗に終わっていた。やがて敵艦が蟠龍の存在を知り迫ってくる。部下たちが慌てる中にあっても、松岡だけは平然とヒゲをそり、シャツを着替え、まるで慌てるそぶりさえなかったという。
松岡のことはともかくとして、長崎海軍伝習所での日々を思うと、榎本の胸に去来するものがあった。よもやこんな日が来ようとは……。
一方、箱館山のふもとでは、わずかな数の新選組が山の上から猛攻をしかけてくる薩摩隼人に防戦一方となっていた。なにしろ当時の箱館山はまったくの禿げ山だったという。あの恐ろしい薩摩隼人をさえぎるものは存在しなかった。一本木関門、ここが最激戦地になったという。現在ではJR函館駅から徒歩三分ほどの場所である。
「退くな! 敵に背をむけるな!」
乱戦の中、新選組を率いる島田魁は絶叫するも、味方は崩壊寸前の様相を呈しはじめていた。その時である。大砲の音が響くと同時に、硝煙の煙の中、島田はそこに屹立する男の影を見た。
「土方さん来てくれたんですね」
それはまぎれもなく土方だった。
「ずいぶんと待たせたな。俺が来たからには薩摩の連中なんかには決して負けはしない!」
戦場に翻る「誠」の旗が、炎のように薩摩隼人に襲いかかった。戦況は土方の出現により一変した。やがて土方は島田の胸をつかむと、
「島田、後はお前が指揮をとれ。俺は他部所への応援にもゆかなくてはならない」
といって島田に背を向けた。
「土方さん、必ず、必ず戻ってきてください。きっとですよ」
だが島田が土方を見たのはこれが最後となった。
土方は馬でしばらく歩むと、人影のない林の中へとさしかかる。土方自身にも、自分がどこかいるのか、はっきりわからなくなっていた。やがて馬からおりると、腹部に巻いていた晒しをとった。一滴、二滴と血がこぼれ落ちる。大量出血のため意識が朦朧とし始めた土方は、近くの木にもたれかかるようにして、ゆっくりと腰から崩れ落ちた。すでに顔面は蒼白だった。
「どうした歳、もう終わりか?」
天の彼方からか近藤らしき声がした。
「何、まだ終わらねえよ。ちょっと眠るだけだ。俺はまだまだ変わり続ける。これからだ、いつか俺はナポレオンのように……。ただ……ちょっと疲れたかな……」
土方が目を覚ますことはなかった。土方歳三享年三十五歳。幕末最強の剣客集団新選組の最後の時だった。
その夜遅く、馬で戦場となった一本木関門周辺をおとずれる者があった。長州の山田市之允だった。すでに土方戦死の報は敵味方の陣営に伝わっていた。
「本当に奴は死んだのか?」
市之允は何かが腑に落ちず、戦場に現れた。突如として烈風がおこった。騎馬武者が数騎、次第、次第にその影が巨大なものと化して市之允に迫ってくる。その時、市之允は確かにあの「誠」の旗を見た。騎馬武者は市之允の背後で馬首を返した。
「土方よ、今は俺たちとおまえたち新選組、どちらに大義があったかなどを議論するつもりはない。ただ確かにいえることは、俺たちは共に同じ時代を生きて戦ったということだ。土方よ……俺もお前のような男が好きだった。可能なら敵として会いたくなかった」
市之允は唇をふるわせた。そして振り返った時、武者はすでに消えていた。
土方の死によって、榎本もそして蝦夷共和国もいよいよ命運尽きる時が迫っていた。そして榎本はついに決断を迫られるのだった。
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