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過去というごうのふかさ
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整理整頓とは人類が文化的に暮らしていく上で最低限必要な物だ。
「ええと、これはミドリガメ、これは赤ガメ、これは、あっ、大ウミガメだ!なつかしいなあ」
占いに使うとか言われたときには絶対に嫌だと、駄々をこねていた卑弥呼、こうして2年間も大事に保存し続けていた大ウミガメの甲羅。
「だって、その都度甲羅を用意してたら亀が絶滅するじゃないか。亀だって生きているんだ。かわいそうじゃないか。」
卑弥呼は、なんだかんだ言って亀が好きだった。
「やっぱ、分けるとしたら色だよね。」
整理整頓できる人間なら色ではなく大きさで分ける。
だが、そんな常識は卑弥呼にはなかった。
基本の掃除はその辺のものに任せるのが常識だが、この社は本来卑弥呼以外は立ち入りを禁じられている場所だ。まあ、勝手に徳子が入り込んでくるがゆえに誰一人として文句を立てられることはないが…
「でもなあ、あの子が帰ってくる前に何とかしないとねー」
そう独り言を言ったのち、卑弥呼は一つのことに気が付いた。
「ん?そもそもこの社に放置してるから僕が片付けないといけなくなるんじゃないか?そうだ、この社から持ち出して、側近の誰かに管理してもらえばいいんだ!そうすれば―」
「そうすれば、その甲羅は優先的にとっとと占いの道具として消費されていくだろうな。」
卑弥呼が振り返ると、徳子が戻ってきていた。
「なんだ。かえってきてたの。」
「もちろん。どうせかたづけられてないだろうなとおもってな。」
宋ため息をつく徳子に胸を張る卑弥呼。
本来卑弥呼に胸などあるはずもないが、その着物姿はどこからどう見ても美しい女性の姿をしている。
弟である徳子ですら思わずドキッとしてしまうその姿。
そんな卑弥呼に対し、
「あのなあ、なんで色で分けるんだ。どこかにしまうのなら色でなく、大きさで入れないときちんと入らないだろ。」
「…前々から思ってたけど、徳子ってこういうの得意だよね。召し使いの仕事でも手伝ってるの?」
「いや?特に何も、兄さんがいい加減なだけだ。」
わしゃわしゃと、卑弥呼の頭を撫でる。
「やめて、身だしなみは時間がかかるんだから。」
「…そういうところはなんだかんだでしっかり女王やってるよな。兄さんは。」
「ふふっ、頼りになる弟が支えてくれているからさ。だから、ね。おねがいっ。」
「ったく、しょうがねえなあ。」
そういっててきぱきと甲羅を整理する徳子、卑弥呼の好みに合わせてレイアウトまでしっかりとこなす。
そんな様子を温かい目で見た卑弥呼は、安心して社から出ていこうと―
「おい、兄弟、どこへ行こうとしている。」
「?」
「不思議そうな顔をするな。兄さんも手伝え。」
「えー」
「えーじゃないっ」
ある意味でバランスの取れている兄弟、上下でバランスをとる兄弟。表舞台に卑弥呼が経ち、それを弟が支える。確かに間違ってはいないが、歴史と現実の間になかなか大きな開きがあるように思えるのは筆者だけだろうか。
2;卑弥呼就任。
邪馬台国の女王、卑弥呼。だがその性別は男である。神の妻として誰ともまぐわらず、処女を貫いた?確かに男なら生涯夫を持たなくてもおかしくはない。
…現代ならば、むしろそれがいいと喜んでルパンダイブを決め込むものもいるかもしれないが。
さて、居場所が分からない邪馬台国そのなぞは未だに残っているとしても、ここまでこの物語を読んだ読者諸君はこう思わなかっただろうか。
―そもそもなんで卑弥呼は男なのに女王になったんだろう。なれたんだろう。と。
現状誰一人としてわかっていないこの謎。だがそれは、あまりにも奇跡的な理由がある。
卑弥呼の生まれは、確かに邪馬台国である。だが、当時の邪馬台国は、4人の権力者が覇権を争っており、彼らの誰かが間違いなく次の代の王になると考えられていた。
卑弥呼の母も、そのうちの一人であった。
これは、卑弥呼が生まれる前の話。
ヒスイと呼ばれる卑弥呼の母と争った3人は、それぞれ「中野」、「上田」、「藤原」と呼ばれていた。
勢力争いをするうえで、何も相手を自分が倒す必要はない。
内部から反乱を起こさせてもいいし、うまく責任を押し付けるという手もある。
そして、上田と中野がとった手は、同盟であった。
実際どのようなことをしたのか、それは定かではないが、一つだけ言えるのは、彼らは武力的な行為により直接ヒスイを殺そうとしたということだ。
だが、ヒスイも何一つ作戦を立てていなかったわけではない。
あらかじめ公衆の中にいることで表立って手を出しにくくする、男子禁制の水場に滞在するなど、現代からすれば荒いとしか思えない対策でも当時の面々からすれば相当な成果をあげられていたのである。
だが、そのような粗さを平気な顔でふみにじるものがいる。
権力者の一つ、藤原は、そんな男子禁制の場に男子でありながら何の躊躇もなくそこへ向かい、大慌てする真っ裸のヒスイを見つけ、そして…
ヒスイの、唇を奪った。
…言いたいことは分かる、展開がおかしくないかと思う気持ちも分かる。
だが、これが事実なのだから仕方がない。
その後、何をとち狂ったのか知らないが、たびたび藤原はヒスイのいる水場へ向かい、ヒスイと何らかの話をしたとされている。噂によれば、本人曰く、ヒスイは嫌がっていたらしい。
だが待て、一つ考えればわかるはずだ。
本当に嫌がっていたのなら、同じ水場に居座る必要もなく、ほかの場所へ逃げればいい。そしてヒスイはそれをしなかった。
つまり、そういうことであったと考えられる。
要するに、ロミオとジュリエットみたいなやつだ。
そして、これは決して悲劇で終わったわけではない。
権力者二人が堂々と結ばれてしまった以上、権力バランスは崩壊する。
こうして4強の時代は終わりをつげ、王の一強時代が訪れた。
1年後二人は子を出産する。
これが卑弥呼であった。当然男である。
邪馬台国と言えば女王のイメージが強いため男に対してそれほど価値がないように思われるが、別に男が王になっても何一つ問題はないのである。
だが、さらに1年後、二人の間に第2子が誕生する。これが徳子である。
ラブラブである。
さあ、そしていよいよ、最大の謎、どうして卑弥呼は女装する羽目になったのか、という謎を解き明かしてみよう。
まあ結論から言ってしまえば、それはこの両親の性癖のようなものが大きい。
吊り橋効果、ロミオとジュリエット効果。
それは、障害を乗り越えたらもっとラブラブになるとかいうやつである。
だが、この二人の場合、ギャップ萌えというか、いわゆる背徳感というやつに何かしら思うところがあるようになってしまったらしい。
禁断の愛って興奮するよね、と言わんばかりに。現代人にも一定数いる性癖の、その最初の二人である。
だから、
「おかあさま、ぼくはおとこです。なぜ女の格好をするのですか?」
「わかっています、だからよいのです。」
「!?」
日本というのは古来より様々な性癖を持ち合わせ、組み合わせて進化してきた。江戸時代にはすでに触手というジャンルを完成させていたとすら言われる。
では、女装モノはどうだろうか。
一般的には平安時代の「とりかえばや」がそもそもの始まりと考えられる。
だが現実は違う。
「おお、さすがは我が息子」
「…お父様、ひょっとしたら私は女に生まれた方が良かったのですか?」
「なにをいうか、男だからこそ、むしろそれがいいのだ」
「!?」
つまるところ、この卑弥呼の両親は、良くも悪くも、時代を先取りしていたのである。先見の明という意味では、その子である卑弥呼が、占いによる予言を得意としていたという事実もうなづけないことはない。
…それはどうだろうか。ごほん。
まあ、そういう意味で、この二人は非常に訓練されていたのであり―それこそが、すべての始まりであった。
こうして、邪馬台国の女王、卑弥呼は誕生した。
この時代、人間の寿命は短い。
卑弥呼に王位を託したのち、たくさんの人に迷惑を振りまいて、安らかに二人は死んでいった。
「まあ、楽しい人生だったみたいだから、僕もよかったと思うけどさ。」
卑弥呼としても、そこまで嘆き悲しむ気にはなれない。彼らは卑弥呼に大切なものを残していったからだ。
この夫婦が残したもの、それは。
「ああっ、女王卑弥呼様!」
「なんとお美しい!」
「これぞ神の妻!」
卑弥呼を女性と信じて疑わない家臣、そして民衆だ。
権力こそほぼ集中して手に入れられ、不自由のない生活を手に入れられたのも事実。だが、
「これは喜んだほうがいいのかなあ。ぼく、男なんだけどなぁ」
唯一、性別に関しては文句を言いたいことも多い、そんな調子で15の時、卑弥呼は王位をついだのだ。
この時代は意外なことに、女性もなかなか強い立場を持っていた。
占いやまじないはもっぱら女性の仕事、それ故に女性には女性にしかできない仕事があり、それゆえに卑弥呼が女性として権力を持つことも珍しくなかったのだ。
だが、卑弥呼が女王となったのち、さまざまな難題が降りかかる。
洪水、飢饉、疫病。などなど。
いままでは権力が分散していた分、責任も分散していたが、今回からは違う。
卑弥呼一人に権力が集中するのだ。
卑弥呼としてもそんな事態は避けたい。というかそうなってしまったら終わりだと割と本気でおびえていた。
(こうなったら、やってやるっ、神様だって、誘惑できるような女王になってやるっ)
卑弥呼はこうして、女王として立派に頑張り、占いもソコソコ行いつつ、洪水などをしっかり予知してきた。
「それで男なのに、男を誘惑する技術ばっかりうまくなったんだよな。兄さんは。」
「…ノーコメントで。」
だが、現代に生きる我々ならわかる。そんなただの占いで問題をすべて解決できるわけがないと。確かに卑弥呼はある程度の運も持ち合わせていて、人並み以上にラッキーだったことは否定しない。だが、そんなラッキーだけで国を守れるほど、世の中は甘くないのだ。
つまり、からくりがある。
そして、卑弥呼にとってのからくりは、弟の存在に他ならなかった。
日本史上初の兄弟コンビ。裏と表を使い分け。上と下であらゆる問題を解決する。
まさに、以心伝心の代名詞。
それが、卑弥呼と徳子なのである。
「ええと、これはミドリガメ、これは赤ガメ、これは、あっ、大ウミガメだ!なつかしいなあ」
占いに使うとか言われたときには絶対に嫌だと、駄々をこねていた卑弥呼、こうして2年間も大事に保存し続けていた大ウミガメの甲羅。
「だって、その都度甲羅を用意してたら亀が絶滅するじゃないか。亀だって生きているんだ。かわいそうじゃないか。」
卑弥呼は、なんだかんだ言って亀が好きだった。
「やっぱ、分けるとしたら色だよね。」
整理整頓できる人間なら色ではなく大きさで分ける。
だが、そんな常識は卑弥呼にはなかった。
基本の掃除はその辺のものに任せるのが常識だが、この社は本来卑弥呼以外は立ち入りを禁じられている場所だ。まあ、勝手に徳子が入り込んでくるがゆえに誰一人として文句を立てられることはないが…
「でもなあ、あの子が帰ってくる前に何とかしないとねー」
そう独り言を言ったのち、卑弥呼は一つのことに気が付いた。
「ん?そもそもこの社に放置してるから僕が片付けないといけなくなるんじゃないか?そうだ、この社から持ち出して、側近の誰かに管理してもらえばいいんだ!そうすれば―」
「そうすれば、その甲羅は優先的にとっとと占いの道具として消費されていくだろうな。」
卑弥呼が振り返ると、徳子が戻ってきていた。
「なんだ。かえってきてたの。」
「もちろん。どうせかたづけられてないだろうなとおもってな。」
宋ため息をつく徳子に胸を張る卑弥呼。
本来卑弥呼に胸などあるはずもないが、その着物姿はどこからどう見ても美しい女性の姿をしている。
弟である徳子ですら思わずドキッとしてしまうその姿。
そんな卑弥呼に対し、
「あのなあ、なんで色で分けるんだ。どこかにしまうのなら色でなく、大きさで入れないときちんと入らないだろ。」
「…前々から思ってたけど、徳子ってこういうの得意だよね。召し使いの仕事でも手伝ってるの?」
「いや?特に何も、兄さんがいい加減なだけだ。」
わしゃわしゃと、卑弥呼の頭を撫でる。
「やめて、身だしなみは時間がかかるんだから。」
「…そういうところはなんだかんだでしっかり女王やってるよな。兄さんは。」
「ふふっ、頼りになる弟が支えてくれているからさ。だから、ね。おねがいっ。」
「ったく、しょうがねえなあ。」
そういっててきぱきと甲羅を整理する徳子、卑弥呼の好みに合わせてレイアウトまでしっかりとこなす。
そんな様子を温かい目で見た卑弥呼は、安心して社から出ていこうと―
「おい、兄弟、どこへ行こうとしている。」
「?」
「不思議そうな顔をするな。兄さんも手伝え。」
「えー」
「えーじゃないっ」
ある意味でバランスの取れている兄弟、上下でバランスをとる兄弟。表舞台に卑弥呼が経ち、それを弟が支える。確かに間違ってはいないが、歴史と現実の間になかなか大きな開きがあるように思えるのは筆者だけだろうか。
2;卑弥呼就任。
邪馬台国の女王、卑弥呼。だがその性別は男である。神の妻として誰ともまぐわらず、処女を貫いた?確かに男なら生涯夫を持たなくてもおかしくはない。
…現代ならば、むしろそれがいいと喜んでルパンダイブを決め込むものもいるかもしれないが。
さて、居場所が分からない邪馬台国そのなぞは未だに残っているとしても、ここまでこの物語を読んだ読者諸君はこう思わなかっただろうか。
―そもそもなんで卑弥呼は男なのに女王になったんだろう。なれたんだろう。と。
現状誰一人としてわかっていないこの謎。だがそれは、あまりにも奇跡的な理由がある。
卑弥呼の生まれは、確かに邪馬台国である。だが、当時の邪馬台国は、4人の権力者が覇権を争っており、彼らの誰かが間違いなく次の代の王になると考えられていた。
卑弥呼の母も、そのうちの一人であった。
これは、卑弥呼が生まれる前の話。
ヒスイと呼ばれる卑弥呼の母と争った3人は、それぞれ「中野」、「上田」、「藤原」と呼ばれていた。
勢力争いをするうえで、何も相手を自分が倒す必要はない。
内部から反乱を起こさせてもいいし、うまく責任を押し付けるという手もある。
そして、上田と中野がとった手は、同盟であった。
実際どのようなことをしたのか、それは定かではないが、一つだけ言えるのは、彼らは武力的な行為により直接ヒスイを殺そうとしたということだ。
だが、ヒスイも何一つ作戦を立てていなかったわけではない。
あらかじめ公衆の中にいることで表立って手を出しにくくする、男子禁制の水場に滞在するなど、現代からすれば荒いとしか思えない対策でも当時の面々からすれば相当な成果をあげられていたのである。
だが、そのような粗さを平気な顔でふみにじるものがいる。
権力者の一つ、藤原は、そんな男子禁制の場に男子でありながら何の躊躇もなくそこへ向かい、大慌てする真っ裸のヒスイを見つけ、そして…
ヒスイの、唇を奪った。
…言いたいことは分かる、展開がおかしくないかと思う気持ちも分かる。
だが、これが事実なのだから仕方がない。
その後、何をとち狂ったのか知らないが、たびたび藤原はヒスイのいる水場へ向かい、ヒスイと何らかの話をしたとされている。噂によれば、本人曰く、ヒスイは嫌がっていたらしい。
だが待て、一つ考えればわかるはずだ。
本当に嫌がっていたのなら、同じ水場に居座る必要もなく、ほかの場所へ逃げればいい。そしてヒスイはそれをしなかった。
つまり、そういうことであったと考えられる。
要するに、ロミオとジュリエットみたいなやつだ。
そして、これは決して悲劇で終わったわけではない。
権力者二人が堂々と結ばれてしまった以上、権力バランスは崩壊する。
こうして4強の時代は終わりをつげ、王の一強時代が訪れた。
1年後二人は子を出産する。
これが卑弥呼であった。当然男である。
邪馬台国と言えば女王のイメージが強いため男に対してそれほど価値がないように思われるが、別に男が王になっても何一つ問題はないのである。
だが、さらに1年後、二人の間に第2子が誕生する。これが徳子である。
ラブラブである。
さあ、そしていよいよ、最大の謎、どうして卑弥呼は女装する羽目になったのか、という謎を解き明かしてみよう。
まあ結論から言ってしまえば、それはこの両親の性癖のようなものが大きい。
吊り橋効果、ロミオとジュリエット効果。
それは、障害を乗り越えたらもっとラブラブになるとかいうやつである。
だが、この二人の場合、ギャップ萌えというか、いわゆる背徳感というやつに何かしら思うところがあるようになってしまったらしい。
禁断の愛って興奮するよね、と言わんばかりに。現代人にも一定数いる性癖の、その最初の二人である。
だから、
「おかあさま、ぼくはおとこです。なぜ女の格好をするのですか?」
「わかっています、だからよいのです。」
「!?」
日本というのは古来より様々な性癖を持ち合わせ、組み合わせて進化してきた。江戸時代にはすでに触手というジャンルを完成させていたとすら言われる。
では、女装モノはどうだろうか。
一般的には平安時代の「とりかえばや」がそもそもの始まりと考えられる。
だが現実は違う。
「おお、さすがは我が息子」
「…お父様、ひょっとしたら私は女に生まれた方が良かったのですか?」
「なにをいうか、男だからこそ、むしろそれがいいのだ」
「!?」
つまるところ、この卑弥呼の両親は、良くも悪くも、時代を先取りしていたのである。先見の明という意味では、その子である卑弥呼が、占いによる予言を得意としていたという事実もうなづけないことはない。
…それはどうだろうか。ごほん。
まあ、そういう意味で、この二人は非常に訓練されていたのであり―それこそが、すべての始まりであった。
こうして、邪馬台国の女王、卑弥呼は誕生した。
この時代、人間の寿命は短い。
卑弥呼に王位を託したのち、たくさんの人に迷惑を振りまいて、安らかに二人は死んでいった。
「まあ、楽しい人生だったみたいだから、僕もよかったと思うけどさ。」
卑弥呼としても、そこまで嘆き悲しむ気にはなれない。彼らは卑弥呼に大切なものを残していったからだ。
この夫婦が残したもの、それは。
「ああっ、女王卑弥呼様!」
「なんとお美しい!」
「これぞ神の妻!」
卑弥呼を女性と信じて疑わない家臣、そして民衆だ。
権力こそほぼ集中して手に入れられ、不自由のない生活を手に入れられたのも事実。だが、
「これは喜んだほうがいいのかなあ。ぼく、男なんだけどなぁ」
唯一、性別に関しては文句を言いたいことも多い、そんな調子で15の時、卑弥呼は王位をついだのだ。
この時代は意外なことに、女性もなかなか強い立場を持っていた。
占いやまじないはもっぱら女性の仕事、それ故に女性には女性にしかできない仕事があり、それゆえに卑弥呼が女性として権力を持つことも珍しくなかったのだ。
だが、卑弥呼が女王となったのち、さまざまな難題が降りかかる。
洪水、飢饉、疫病。などなど。
いままでは権力が分散していた分、責任も分散していたが、今回からは違う。
卑弥呼一人に権力が集中するのだ。
卑弥呼としてもそんな事態は避けたい。というかそうなってしまったら終わりだと割と本気でおびえていた。
(こうなったら、やってやるっ、神様だって、誘惑できるような女王になってやるっ)
卑弥呼はこうして、女王として立派に頑張り、占いもソコソコ行いつつ、洪水などをしっかり予知してきた。
「それで男なのに、男を誘惑する技術ばっかりうまくなったんだよな。兄さんは。」
「…ノーコメントで。」
だが、現代に生きる我々ならわかる。そんなただの占いで問題をすべて解決できるわけがないと。確かに卑弥呼はある程度の運も持ち合わせていて、人並み以上にラッキーだったことは否定しない。だが、そんなラッキーだけで国を守れるほど、世の中は甘くないのだ。
つまり、からくりがある。
そして、卑弥呼にとってのからくりは、弟の存在に他ならなかった。
日本史上初の兄弟コンビ。裏と表を使い分け。上と下であらゆる問題を解決する。
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