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モブ、結婚について考える
しおりを挟む「いやぁ~。まいった」
「どしたん」
「姉ちゃんが出戻って来てさー」
「早くね?」
「リビングに布団敷いて占拠してんのよ。
マジ迷惑やわ」
「離婚したの?」
「まだ離婚はしてない」
「浮気?」
「・・・まあ、あれも一種の浮気なのかもな」
「何があったのよ」
「ワクワクが顔から滲み出してるぞ」
「アイドル育成ゲームっての?旦那さんが沼って、とんでもない金額注ぎ込んでるらしい」
「あ~。聞くよねラ◯ライブ離婚とか」
「それそれー」
「なになに?」
「昭和の人にはわかんないよ」
「なんだよー。僕だって知ってるよ~。アイドル育てるゲームでしょ?
アイドル・バスターとか、そういうヤツだろ?」
「マスターな。退治してどうすんだよ」
「課金しまくって家計が破綻とかか?」
「姉ちゃんも働いてるし、基本生活費を出し合う以外はお互い自分のお金は自分で管理してるらしいんだけど」
「じゃ、お姉さんの貯金にまで手を出したってわけじゃないんだ?」
「共稼ぎなのに家事は姉ちゃんに丸投げで食事中もゲームやってるし、休みの日はファンミーティング行ったり遠くの県までグッズ探しに行ったりで会話も無いんだって」
「やり過ぎだな」
「結婚する意味無くね?」
「珍しく一緒に出掛けようって誘われて行ったら何の変哲も無い地方の商店街で、『〇〇ちゃんがここで花屋のおばさんに、こんにちは、って言うんだ』って映画の話されたんだって」
「・・・知らんがな」
「そんで、良く言えばレトロ、正直に言えば寂れた喫茶店に連れてかれて、コーヒー頼もうとしたら、『ダメダメここではクリームソーダ』って」
「うぜぇ」
「それだけでもムカついてたのに、子どもができたら推しの名前つけるって言われてブチギレたらしいよ」
「男の子だったら捨てるのかな?」
「どっちが生まれても世話しない、に100万ピリカ」
モブが友達のお姉さんの旦那さんがハマっているゲームについてググる。
「わ~!グッズいっぱいあるんだ!」
「コンビニの一番クジなんて近隣の県まで遠征するんだってよ」
「そしてクリアファイルだけ増えてくんだよな」
「なに?アクリルスタンドが4800円って高くない?」
モブがグッズの通販サイトを指差す。
「そんなのまだ良心的だよ。高級毛布5万円とか、どこぞのブランドとコラボした鍋つかみが2万とか。
毎日段ボールで宅配が届くって姉ちゃんブチギレてたわ」
「え?この映画の特典ステッカー、全12種類ランダム配布って?」
「コンプリートするまで何回でも見に行くんだろ?」
「鬼畜杉www」
「なにこの信楽焼のタヌキがキャラ抱いてるやつ。各限定50シリアルナンバー付きで一体20万って~~!!」
これ欲しいか?誰が買うんだ?
とひとしきり盛り上がるモブ達。
「まあ、なんかお姉さん気の毒だから優しくしてやんなよ」
「家族はみんな同情してるから腫れ物扱いよ。今んとこ。
母ちゃんも姉ちゃんが会社に行ってる間に布団とか撤去したい気はマンマンなんだけど、できないでいる」
「そういう話聞くと、将来自分が結婚できるかすこぶる心配」
「オマエ結婚する気あんの?」
「したいだろぉ~普通~」
「なんか男性の生涯独身率25%超えたらしいな」
「4人に1人?!」
「確実にそっち側じゃん俺」
「生涯独身ってどういうことさ?」
「死ぬまで1回も結婚しなかったってことだろ?」
「じゃ、離婚して独身な男は入ってないの?入ってなくて4人に1人?」
「背筋が寒い」
「じゃ去年死んだ男のうち1回も結婚しなかった人の割合が25%ってこと?」
「そこまでは知らんけど」
モブが検索する。
「ゲゲゲ。2020年度の国勢調査で既に28%超えてた」
「ほぼ3人に1人じゃねぇかよ」
「・・・えっとね。50歳時点で一度も結婚してない人の割合だって」
「50までに結婚できないようなヤツは一生結婚できねぇんだよぉ~!って国が言ってるってことか?」
「51歳でステキな恋ができるかも知れないじゃないかよぉ!!
70歳で結婚するかも知れないじゃないかよぉ!!」
「なんで涙目なの?」
「うっうっ・・・だって神様は僕にだって1人くらい女の子を用意してくれたっていいじゃないか!不公平だよ」
「女は?女の未婚率も28%?」
ちょっと待って、と再びググるモブ。
「女は18%だって」
「・・・おかしいじゃん。男が28%なら女も28%じゃなきゃおかしいじゃん!!」
「・・・つまり、1人で何回も結婚してる男がいるってことだろ?」
「ズルいよ!!俺が一回も結婚できないのに2回も3回も結婚するなんて!
高橋め!!」
「オマエ高橋に何か恨みでもあるの?」
「恨みは無いけど妬みはある」
まあ、アイツはイケメンだからな~と遠い目をするモブ達。
「・・・そうなると離婚したとしても1回でも結婚できたらエリートってことか」
「今はお互い我儘だし色々大変みたいよ。
うちの従兄弟なんかさ」
「どした?」
「結婚したんだけどさ、お互いオタクだからコレクションを減らしたく無いってんで独身時代のそれぞれの部屋を借りたままで結婚したんだ」
「別居婚か」
「で、盆とか正月はそれぞれが自分の実家に帰る」
「へぇ~。今はそんなカンジなのね」
「お互いの実家とか親戚には関与しないとかってドライだよね」
「そのうち従兄弟が転勤になったんだけど嫁さんも仕事してるから当然単身赴任」
「まあ、仕方ないよな」
「で、結局一度も一緒に暮らすことなく数年後には離婚よ」
「・・・結婚とは?」
「・・・そこらへんの怪談より怖いと思うのは俺だけ?」
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