誰でもイイけど、お前は無いわw

猫枕

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10 帰宅時に灯りが点いてると嬉しい

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  ラウラは急いで簡単に身支度を整えるとおそるおそる少年に声をかけた。

「ねえ、起きて」

 起きる気配がないので遠慮がちに揺り起こす。

うーん、と目を擦って起き上がった少年は寝顔も美しかったが、寝ぼけまなこで朝日に眩しそうに目を細める姿は色っぽくてドキッとした。

 「あ、キレイなお姉さん おはよう」


「・・・えっと・・・あなたは・・・その・・・」

 少年はまだ頭がボンヤリしているのか何も言わない。

「えっと。私、酔っ払ってたみたいで何も覚えてないの。・・・あなたダレ?」


「僕はニコ。本当はニコラウスだけどニコって呼ばれてる。
 キレイなお姉さんは?」


「あ、ごめんなさい。私はラウラ」


「ラウラさん。お姉さんにピッタリのステキな名前だね」

 長い睫毛に縁取られた澄んだ目でじっと見つめてくる。

 まだ少年っぽい細身のしなやかそうな体だけど筋肉がしっかり浮き出ていて白い肌はピッチピッチだ。

 「あ、あの・・・服、着てくれるかな」

ニコは自分の格好に気付いて脱ぎ捨てた衣服を拾ってごそごそシャツに腕を通している。

「あ、あのさ・・・なんていうか私達・・・ていうか、ニコ君は何歳?」

「16だよ」

16か。ギリギリ成人。とりあえずセーフ!

「えっと。なんていうか、なにかしちゃったのかしら、私達」

「なにかって?」

ニコはキョトンと首をかしげている。


「だから、その・・・男女の・・・」


「お姉さんがボクを買ったんだよ」

「!!買った?」

「だけどお姉さんベッドに入ったらグーグー鼾かいて寝ちゃってさ、ボクお金もらってないから待ってたんだけどボクも疲れてたし、気がついたら寝ちゃってた」

「・・・・」

「やっぱ、何もサービスしてないのにお金だけ貰うってできないよね?

 それとも今からサービスしようか?」


「ちょっと待って!ごめんなさい。私、本当になんにも覚えてないのよ」


 ニコは家出少年だった。

 俳優を目指して田舎から出てきたが、頼れる知り合いもいないし仕事も見つからない。
 
 所持金が尽きていよいよ物乞いになるしかないかと思案していたところ、

「親切なオバサンがご飯食べさせてくれて、家に来たらお小遣いもくれるっていうからホイホイついていったら、体を売れって言われて。

 必死で走って路地裏に逃げ込んだらラウラさんに会ったんだよ」

「それで?聞くのは物凄く怖いんだけど、私はどうしたのかしら?」

「ラウラさんが千鳥足で近づいて来て、

『ウツボカズラの中の汁を飲んだことはあるか?』って」

「・・・・」


「ないです。って答えたら、常識にとらわれるな!限界を自分で決めるな!
 慣習の外側に出る勇気の有る者にこそ自由はあるのだ!って」

「・・・ウツボカズラの汁を飲むと自由になれるのかしら・・」

「でもね、ボクは限界感じてたし田舎に戻るお金さえなくて、夢なんか見てバカだったのかなってうちひしがれていたから、ラウラさんの言葉にスゴく元気づけられて、それで

『僕を買ってくれませんか』

って言ったんだ」


「・・・で?」


「ラウラさんは
『よしきた!ついて来い』 って」

 ラウラは頭を抱えた。頭痛は酷くなる一方だ。


「・・・・ホンっとにゴメン。
 私、昨夜飲み過ぎて調子に乗ってたんだと思う。
 ところで ニコ君は行くとこあるの?」


「ない」


「じゃ、とりあえず私は仕事にいかなきゃいけないから話は夕方ね」

 ラウラはカリスに渡されていた2本の鍵のうちの一本とご飯代を渡して、

「いい?出入りする時は絶対に他人に見られないでよ」

と念を押した。





 最悪のコンディションの中どうにかその日の業務を終わらせたラウラは家路を急いだ。

 ニコは悪い子には見えなかったけど下手すりゃ部屋から換金できそうなものを根こそぎ持ってトンズラしているかも知れない。

 そう思ってアパートの部屋につくと、中から良い匂いが漂ってくる。
 
 「ただいま~」

するとエプロン姿のニコが

「ラウラさん お帰り~」

と笑顔で出迎えてくれた。

 めちゃくちゃ可愛い。


「その辺にあった食材 勝手に使っちゃた」

テヘっと笑う顔が、めちゃくちゃ可愛い。

 ニコが作ってくれたシチューと卵料理を食べる。

料理上手男子なんてハイスコア進呈。

 疲れて仕事から帰ってきたら美少年がエプロン姿でお出迎えって、天国か。

 ラウラとニコは出逢ったばかりとは思えないくらい自然に打ち解け合った。
 会話も弾んで楽しい夕食だった。

「夕食が済んだら会わせたい人がいるの」 

 しばらくニコの面倒を見るにしてもカリスに話を通しておくべきだろうと、ラウラはニコをpanicに連れて行くことにした。
 


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