そして私は惰眠を貪る

猫枕

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「小さな模型に砂を入れて水を流してみても、川岸が削り取られる様子とか、目に見えてわかりやすい結果は得られないよね」

 リーヴィアとジャン、そして何故かヴェリタスも一緒に手製の木箱を覗き込んで思案しているとラルスが来た。

 ラルスの姿を認めるとリーヴィアの眉間にシワが寄ったのをラルスは目ざとく見つけた。

 ちょっとヘコんだ。

 え?なんでアンタが来るの?みたいな、『仲間内で楽しんでるところに部外者が来て邪魔』みたいな空気に落ち込みそうになりながらもラルスは平静を装って、

「やあ、僕もなにか手伝おうか?」

 とカッコ良く言った。

「「「・・・・・・・」」」


『いや、だからそこで黙るなよ!
 お互い顔を見合わせるな!』


「・・・あの・・・僕達、模型で水害の再現をしようとしたんだけど、やっぱり小さな模型じゃ無理そうなんだ」

 代表してジャンが遠慮がちに答える。

「へ、・・・へぇ、そうなんだ。

 ・・・なんか、一緒の班なのに君たちばかりに押し付ける形になって悪かったね。

 ・・俺にも声かけてもらっても良かったんだけどね」

「・・・あ・・うん。勝手に話進めちゃってゴメンね」

 普段接点の無い男子2人がぎこちなくやり取りしているのを少し離れた場所から見ているリーヴィアはこの状況に介入してとりなす気など一切無いようだった。

 それを隣で盗み見しているヴェリタスは『リーヴィアって以外とサド気質なんじゃない?』と笑い出しそうになるのを我慢しながら部外者に徹した。

 そうこうしているとラルスを探し回っていたコリーナが取り巻きをつれてやって来た。

    「あーいたいた・・・って、こんなところで何してんの?」

 コリーナはリーヴィアを見るなりキッと睨みつけた。

「また地味なオタクが生意気に楽しそうに集ってんじゃないわよ!」


「そんな風に言うなよ。俺達の分も研究してくれてるんだからさ」

 ラルスはコリーナの登場で気まずい雰囲気を打開できたと内心喜んでいるくせに、なにやらコリーナを諭すような口調で言った。

 オマエが偉そうに言えた立場じゃないだろう、とリーヴィアは思っていたが黙っていた。


「グループ活動なのに私達に何の相談もなく勝手に決めちゃうなんて」

 コリーナはラルスに注意されて不服そうに言った。

 リーヴィアは、オマエが非協力的で何も決まらないからだろうが、と言ってやりたい気持ちはあるが、面倒なことになるので黙っていた。

 リーヴィアもジャンも何も言わないのでコリーナはヴェリタスに噛みついた。

「大体なによアンタ!アンタは別の班でしょ?なんでここにいるのよ?」

「あ、あの、ヴェリタスも地理に関心があるから手伝ってもらってたんだよ」

 ジャンが慌ててヴェリタスをかばう。

「僕達地形とか好きだからさ、今度の休みに三人で河岸段丘見に行くんだ」

 緊張したジャンが余計なことまで喋り出す。

「ただの崖でしょ?そんなもん見に行って何が面白いのよ?オタクが!」

 コリーナが毒づく。

「河岸段丘ってドゥルスト川の?」

 するとラルスがさも前から知っていたかのようにカフェで盗み聞きした内容をジャンに振る。

「うん。そうだよ!もしかして君も興味あるの?」

「うん。前から一度見たいと思ってるんだけど、交通手段がなぁ。
 あそこ、駅からも遠いしバスも無いし」

「駅で貸自転車が借りられるんだ。
 ヴェリタスは自転車に乗れるっていうから僕がリーヴィアを後ろに乗せて・・・」

 そこまで言ってからジャンは、いくら相手にしていないとはいえラルスの婚約者を後ろに乗せるのはマズイかもしれない、と声が消えていった。

「面白そうだな!俺も行こうかな?」

 行くならお一人でどうぞ、とリーヴィアは思ったが黙っていた。

「ちょっと待ってよ!
 それなら私だって行くわよ!」

 コリーナが参戦するようだ。

 なんだか面倒くさいことになってきた。


「あ、・・・あの、・・・私達は三人で行くから、ラルスとダ・シルバさんは2人で行ったら良いんじゃない?

 多分、興味があるところも見たい場所も違うだろうし」

 たまらなくなってリーヴィアが口を出した。

「あら、たまには良いこと言うじゃない」

「いや、やっぱり班は一緒に行動した方が良いんじゃないないか?」

 ラルスがコリーナを制して言った。

「でも、これは研究発表とは関係無いから」

 なんで楽しみな休日の一時をコイツ等に邪魔されなきゃいけないのよぉ~と横をチラ見するとジャンがすまなさそうな顔で俯いている。

 いや、わかるよ。つい、間をもたせようと余計な事をペラペラ喋ってしまう気持ちは。

「発表に向けて俺達もっとコミュニケーション取って仲良くなるべきだと思うんだ」

 ラルスは一人晴れやかな顔で良いことを言ってる気になっている。

 誰も反論できない雰囲気だ。

 かくして週末、不思議なメンバーでハイキング?に行くことになってしまった。








 

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