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朝食にて
しおりを挟む燦々と明るい陽の光が射し込む爽やかな朝。
王城の食堂ではこの国の王エドワードが朝食をとっている。
特別に作らせた椅子は二人でも余裕で座れそうな座面があるが、王はお気に入りの愛妾シャルロットを隣に座らせるというよりは殆んど自分の膝の上に抱きかかえる格好で朝っぱらからベタベタしている。
「エディたん、わたし、このチーズ苦手」
「誰だ、こんなチーズ出したヤツは!そんな悪いヤツは僕たんがやっつけてやるゾ!エイエイっ!」
「だーめだよぉ、可哀想じゃん!」
「シャルたんは優しいな~。優しくて可愛くて天使!」
「あっヨーグルトこぼれちゃったぁ~」
どれどれ、とエドワードはシャルロットの胸元のヨーグルトを舐め取る。
もはや朝食を食べているのやらシャルロットを食べているのやら分からん状態。
そんな二人を向かいの席、とはいっても声を張らなければ会話ができないくらい離れた所から呆れてみているのは王妃ヴィクトリア。
食事は別々に取ろうと何度も提案したにも拘らず、却下されて今日に至る。
そして毎朝毎朝わざとらしく大きな声で愛をがなり合う二人を鑑賞させられる。
二人のラブラブ状態を見せつけたくてやっているのだろうが迷惑な事この上ない。
二人がどれだけイチャつこうがどうでもいいが、あのチマチマしたぶりっ子が勝ち誇った顔を向けてくるのには腹が立つ。
ヴィクトリアは良く磨かれたスプーンを手にとって窓から射し込む光を反射させる。
そしてエドワードの手元に点滅させて信号を送る。
『な、何だ王妃のやつ。チカチカと眩しいだろうが。
俺が愛妾ばかり可愛がるのが気に入らないんだろう・・・て、コレは、・・・モールス信号?』
ダ サ い シャツ
クッソー!
クソ王妃め!
エドワードは急いでヨーグルトで汚したスプーンを舐め取るとナプキンでゴシゴシして輝かせた。
シ ワ 増 え た
勝ち誇った顔のエドワード。
黙 れ ハ ゲ
エドワードは30を過ぎて最近抜け毛が気になっているという。しらんけど。
エドワードは顔を赤くして苦悶の表情を浮かべているが、きっと気の利いた悪口が思いつかないんだろう。
しきりに髪の毛を気にする素振りを見せている。
「ねぇ、どうしたの?エディたん?
こっち向いてくれなくちゃシャルたん寂しいよぉ~」
「ああ、ゴメンゴメン」
2人は葡萄を互いに食べさせあってイチャイチャしはじめた。
そして二人ともイチャイチャしながらチラッチラッとヴィクトリアを見てくる。
ウザい。
ヴィクトリアは卓上のベルを鳴らした。
「ヘイ!ガイズ!」
すると食堂の観音扉が開いてどやどやと男達が入場してきた。
どこから調達してきたのかタイプは色々だがいずれも見目麗しき若い男達。
そのうちの特に美しい二人が王妃の両側に陣取り、やれパンを千切って口に運んでやったり肉汁のしたたる美味しそうなソーセージをカットして食べさせたりしはじめた。
突然目の前で繰り広げられた光景に唖然とする王の横で愛妾シャルロットは口を半開きにして男達を見ている。
羨ましそうだ。
ヴィクトリアの口の端に付いたベリーソースを右隣のプラチナブロンドが舐め取った瞬間、
エドワードは我を忘れて立ち上がりそうになった。
「貴様!」
普段捨て置いている妻でも他人にとられるのは我慢ならんとでもいうのだろうか。
すると王の声とほぼ同時に軽快な太鼓のリズムが鳴り渡った。
後ろに控えていた男達が王妃の近くに寄ってきた。
トトン!
太鼓に合わせて男達がシュシュっと上を脱ぐ。
見事な早技だ。
鍛え抜かれた素晴らしい肉体が現れる。
トントーントトン!
男達はズボンを脱いだ。
ギリッギリ、ギリッギリのパンツの男達はその素晴らしい尻と足を惜しげもなく晒し、筋肉のキレを見せつけるようにポーズを取った。
エドワード、顔真っ赤。
太鼓のリズムは軽快さを増し、男達は踊り始める。
下半身の動きが激しい。
すると男達は一人ずつ順番に踊りの列を離れてヴィクトリアの側に来る。
するとヴィクトリアは瓶からオイルのようなものを手に取って男の体に塗りたくる。
テッカテカになった男が列に戻っていくと別のが来る。
艶めかしい仕草でヴィクトリアの手が男達の肌を這うと、男達は恍惚の表情でヴィクトリアにオイルを塗ってもらっている。
そしてテカテカになった男達がリズムに合わせて激しく腰を振る。
シャルロットが恍惚の表情で男達を見つめている。
ヨダレが出ている。
「なっ!何だこのフザケた茶番は?
不愉快だ!!!」
プンプン怒ったエドワードが席を立った。
「行くぞシャルロット!」
「え?え?行くの?シャルたんデザートまだだよ」
名残惜しそうなシャルロットを引き摺ってエドワードは食堂から出ていった。
今回の対決は・・・
勝者!王妃!!
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