悪役令嬢だったらどうしましょう?!

もこもこ

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はじまり

17. 動き出しました

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 何にしても六歳児。
 うまくできることなんてほとんどありませんけれど、ボォ~ッと暇を持て余す日々から、それなりに楽しくいろいろお勉強もしながら家族とも交流ができて、順調な日常じゃない?なんて悦に入っていた、ある日。

 急転しました。


「ひしょち……?」

「そうですよ。今年は避暑地に行って、たくさんの方々とお付き合いをしなくては」


 お母様が何を言っているのか全く理解できていないウィル君とポカン顔の私とは違い、当たり前の様子のお兄様達。

 うん、情報の乖離が激しいですね。教育格差がすごいです。


「今まで行ったことはないですよね?」と子供らしく尋ねてみました。

 避暑地、知らないはず。

「そうね。今までは必要がなかったから」とお母様。
「今年は、アルフレッドが魔術学院に行くから事前に交流しておかないと」

 交流……。
「お友達とお茶会ですね!」
 お友達ができるのかも?!

「まぁ、去年はイマイチだったので今年はそれなりに顔つなぎをしておかなければなりませんね。対応は大体わかりましたし」とすまし顔のアルお兄様。

 あれ? あまり、楽しそうじゃない感じ?

「エドワードも早めに慣れておいた方がいいのかしら?アルフレッドも苦労したのだし……」と憂い顔のお母様に

「苦労というか、想定外で対処しきれなかっただけです。エドには手助けもしますし、一緒に居ればなんとかなります。面倒事は、紹介者がいれば一年でも十分でしょう」

「エドワードは行きたい? 来年からの方がよいかしら?」と心配そうなお母様に

「面白そうなので行きたいです。せっかくの機会なのに留守番なんてつまらない」とエド兄様。


 やっぱり理解が及ばない私とウィル君は顔を見合わせた。
 でも、思い切って聞いてみる。

「お留守番ができたら一緒に連れて行ってくれるんですか?」

 はっとしたようにお母様が私たちを見る。

「もちろんよ。お茶会には連れてはいけないけれど、それ以外は普段と変わらないのよ。避暑地は涼しくていいところだし」

「お茶会もそんなには出なくていいだろうから、それなりに時間もとれる」とアルお兄様。

「行ったことないところだぞ。楽しみだな!」とエド兄様。


 普通に避暑地への夏休みの旅行的な感じでいいのかな?

「お留守番はお家にいるときと一緒ですか?お庭には行けますか?」

「二人だけでは部屋にいた方がいいな。お茶会のない日はみんなで出掛けられるかもしれないが」
と、アルお兄様が難しい顔で言いました。

 でも、嬉しさのあまり反射的に質問してしまいました。
「お外に出掛けられるんですか!お留守番以外の日に?」と。 
 どうやら私たちはお友達と交流できないようですけれど、お出掛けは重要ですよね。

 アルお兄様は、
「いや、出掛けるには準備が必要だが……」と困った顔をしましたけど、

「せっかく避暑地に行ったのにお留守番ばかりで変わり映えのないは残念ね。お父様にお願いしましょう」というお母様の言葉で雰囲気が変わりました。

「お茶会のない日で計画を立てたら、あちこち行けるな!」とエド兄様が明るく言うと、ウィル君も
「どんなところに行くんですか?」と期待に満ちた目で問いかけました。


 あ、これはアルお兄様が頑張る展開ですね。
 みんなの期待の視線が突き刺さります。

 跡継ぎ様、よろしくお願いします。
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