抱かれたい男No.1だけど抱かれたい

おもちDX

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「クヴェル様が高貴な身分で、見た目も素敵で、立派な地位もあることは誰もが知ってるわ。あの人にしては小さな家を、一等地に持っていることも」
「…………」
「でも、覚えてる? あの執着心丸出しの顔。すんごい怒って、わたしたちの方までギラギラ見て牽制して……思わずイキそうだったわ」

 クシュの下ネタは聞かなかったことにして、イーリスは当時のことを思い出している。あの時も、最初は訳がわからなくて。

「……それは、おれの信用がないから」
「あーもーおばかさん。それだけ愛されてるってことよ! 嫉妬よ嫉妬。恋人が男や女にベタベタされてたら嫌でしょうあんたも」
「……なる、ほど」

 クヴェルが誰かに取られそうになったら、自分以外の誰かに愛を囁いたら、イーリスは情けなくとも全力で止めてしまうかもしれない。
 ……これが嫉妬なのか。信用の度合いじゃなくて、愛ゆえに人はおかしくなってしまう。

「クヴェル様が自分だけの城にあなたを入れたってだけでも快挙なのよ? これまで友人さえも入れなかったって有名なんだから!」
「そう、なのか……」

 誰もいないときにハウスキーパーを入れているという家。滞在中は二人分の食事の作り置きがしてあるし、イーリスの服はいったいいつから用意してあったのか。

 確かに、あの家に他の人の気配は全くない。クシュの言うとおり、イーリスはクヴェルにとって特別なのだろう。それだけ愛されている。

「ま、相当嫉妬深いのは間違いないわね。イーリス君のキュートなお尻は『私だけのものだ』って本気で思ってるのよ。あ~可愛い」
「あ~抱かれたい!」
「だっ、駄目だ!」
「「ふふふ~」」

(キュートなお尻ってなんだよ! でも……そうか。イーリスはおれに嫉妬してるのか……)

 暗く落ち込んでいた心に光が差し込んできたのを感じながら、冗談だとしても抱かれたい発言にはすかさず制止しておく。

 イーリスの尻だってクヴェルにとっては性的な場所だということだ。女性の下半身や胸に触れるのと同じくらい不埒に感じるのかもしれない。
 アンティークゴールドの眼から鱗がコロンと落ちる。今まで誰かを抱きたいと思ったこともないし、イーリスを抱きたいという人なんて現れなかったから気づかなかった。

「ありがとうございます……おれ、やっとクヴェルの気持ちが少し分かった気がする」
「素直でかわいいねえ。ね、ぶっちゃけ夜はどんな感じなの? あたしの妄想ではぁ、クヴェル様はかなり情熱的でぇ」

 素直に感謝すると、クシュが話題を転換した。身体をくねくねさせながら妄想を語り出すから、隣のテーブルにいた爺さんの鼻が膨らむ。
 ていうか、クヴェルで想像しないでくれ……

「イーリス君がこれだけかわいいもんね。超絶テクでイかされまくってるんじゃない?」
「……ちなみに、ちょ、超絶テクって……?」

 イーリスは、ティーアの発言に思わず質問してしまう。娼婦の知る超絶テクニックは、騎士たちの猥談とはレベルが違うような気がした。
 興味津々の顔を前に、彼女たちの目がキラリと光る。

「教えてあげようか? イーリス君がクヴェル様をめろっめろにできるテクニックを」

 ごくりと唾を飲み込む。イーリスがここで勉強を頑張れば、うまく……仲直りできるかもしれない。
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