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第13話 コーセーの推理①
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僕がヒマリの部屋に帰ると、二人はしんみりとした表情を浮かべていた。よく見ると、ヒマリの目元が赤くなっていた。
「えっ、どうしたの?」
と僕が聞くと、アカネが
「ヒマリがな、コーセーさんがいないと寂しくて夜も眠れないって泣いてたのよ。一緒の布団で寝てあげたら?」
ヒマリが赤くなり、エアコンのリモコンでアカネの頭を軽く叩いた。何だかよく分からないが仲良くなったみたいだ。
「今日はもうお開きにしないか?」
ヒマリは驚いた表情で、
「 えっ、でも、まだ何も分かってませんよ?」
僕はヒマリに向かって微笑んだ。
「大丈夫。月曜日になったら全部分かるよ」
月曜日の放課後、僕らは第2多目的室に集まった。吉川先生もやって来た。どうやら本当に顧問になってしまったらしい。
アカネは地球儀を膝に置いてクルクルと回しながら言った。
「で、どうしたら『全部分かる』のよ」
僕は腕時計で時刻を見た。16時55分。
「 もうすぐ来るよ」
アカネがますます怪訝そうな顔をして、「誰がよ」と言ったとき、扉が開いた。
「牧先輩!?」
ヒマリが立つ上がり叫んだ。
「僕が呼んだんだ。話があるってね」
牧玄弥は警戒している様子で、「話って何だよ」と言った。
僕は牧玄弥に席を勧めた。扉の前の席に腰を下ろす。
「もちろん、あの小説と落書きのことです。牧先輩にいくつか聞きたいことがあるんですよ」
「この前言った通り、俺は何も知らないよ」
牧玄弥は少し不機嫌そうな顔で言った。僕は軽く頷いた後、話し始めた。
「あの小説と落書きには、それぞれ奇妙な点があるんです。
『屋上の恋を乗り越えて』は、この学校の屋上をモデルにしているように見えて、実はそうじゃない。野球場が見えるのは貯水槽ではなく、マシロ先輩が山口先輩に告白した場所、物置です。脚色と考えることも出来ますが、わざわざ脚色すべき点だとも思えません。
そして、落書きが書かれていた場所は、貯水槽ではなく、2枚目の扉につけられた南京錠の裏です。屋上にメッセージがあるというなら扉の向こうのどこかに書くべきでは?
この2つの点から、こんな予想が立てられませんか? 『屋上の恋を乗り越えて』の作者であり落書きの主である人物は、実は屋上には行っていない」
アカネが眉をひそめた。
「どういうことよ」
僕はアカネに微笑みかけた。
「つまり、『屋上の恋を乗り越えて』の作者は南京錠を開けることが出来なかったんだ。だから仕方なく南京錠にメッセージを残した。南京錠なら、屋上に来た人は必ず目に入れるはずだ」
ヒマリは首をかしげた。
「えっ、でも姉は一度屋上に行ったことがあるので、南京錠のパスワードは知ってるはずですよ?」
僕は大きく頷いた。その通りだ。マシロ先輩は屋上に行ったことがあるし、メッセージを残すために、もう一度屋上に行くことも可能だった。
「マシロ先輩は南京錠のパスワードを知っていた。なぜなら、マシロ先輩は2年生の時、吉川先生が担任のクラスにいて、屋上の鍵が吉川先生のものだと知っていたから。持ち主が吉川先生だと知っていれば、パスワードもすぐに分かる」
ちらと吉川先生の方を見ると、顔を下に向け、ため息をついていた。本人はあのパスワードに自信があったのだろう。まあ、岡田たちに開けられている時点でお察しなのだが……
「つまり、『屋上の恋を乗り越えて』の作者はマシロ先輩ではない」
僕は牧玄弥の方に体を向けた。彼の俯いた顔は、影に覆われ暗くなっていたが、唇が震えていることだけは確認できた。
「あの小説の作者は、あなたですよね?牧先輩」
遠くでカラスの群れがけたたましく鳴いた。
「えっ、どうしたの?」
と僕が聞くと、アカネが
「ヒマリがな、コーセーさんがいないと寂しくて夜も眠れないって泣いてたのよ。一緒の布団で寝てあげたら?」
ヒマリが赤くなり、エアコンのリモコンでアカネの頭を軽く叩いた。何だかよく分からないが仲良くなったみたいだ。
「今日はもうお開きにしないか?」
ヒマリは驚いた表情で、
「 えっ、でも、まだ何も分かってませんよ?」
僕はヒマリに向かって微笑んだ。
「大丈夫。月曜日になったら全部分かるよ」
月曜日の放課後、僕らは第2多目的室に集まった。吉川先生もやって来た。どうやら本当に顧問になってしまったらしい。
アカネは地球儀を膝に置いてクルクルと回しながら言った。
「で、どうしたら『全部分かる』のよ」
僕は腕時計で時刻を見た。16時55分。
「 もうすぐ来るよ」
アカネがますます怪訝そうな顔をして、「誰がよ」と言ったとき、扉が開いた。
「牧先輩!?」
ヒマリが立つ上がり叫んだ。
「僕が呼んだんだ。話があるってね」
牧玄弥は警戒している様子で、「話って何だよ」と言った。
僕は牧玄弥に席を勧めた。扉の前の席に腰を下ろす。
「もちろん、あの小説と落書きのことです。牧先輩にいくつか聞きたいことがあるんですよ」
「この前言った通り、俺は何も知らないよ」
牧玄弥は少し不機嫌そうな顔で言った。僕は軽く頷いた後、話し始めた。
「あの小説と落書きには、それぞれ奇妙な点があるんです。
『屋上の恋を乗り越えて』は、この学校の屋上をモデルにしているように見えて、実はそうじゃない。野球場が見えるのは貯水槽ではなく、マシロ先輩が山口先輩に告白した場所、物置です。脚色と考えることも出来ますが、わざわざ脚色すべき点だとも思えません。
そして、落書きが書かれていた場所は、貯水槽ではなく、2枚目の扉につけられた南京錠の裏です。屋上にメッセージがあるというなら扉の向こうのどこかに書くべきでは?
この2つの点から、こんな予想が立てられませんか? 『屋上の恋を乗り越えて』の作者であり落書きの主である人物は、実は屋上には行っていない」
アカネが眉をひそめた。
「どういうことよ」
僕はアカネに微笑みかけた。
「つまり、『屋上の恋を乗り越えて』の作者は南京錠を開けることが出来なかったんだ。だから仕方なく南京錠にメッセージを残した。南京錠なら、屋上に来た人は必ず目に入れるはずだ」
ヒマリは首をかしげた。
「えっ、でも姉は一度屋上に行ったことがあるので、南京錠のパスワードは知ってるはずですよ?」
僕は大きく頷いた。その通りだ。マシロ先輩は屋上に行ったことがあるし、メッセージを残すために、もう一度屋上に行くことも可能だった。
「マシロ先輩は南京錠のパスワードを知っていた。なぜなら、マシロ先輩は2年生の時、吉川先生が担任のクラスにいて、屋上の鍵が吉川先生のものだと知っていたから。持ち主が吉川先生だと知っていれば、パスワードもすぐに分かる」
ちらと吉川先生の方を見ると、顔を下に向け、ため息をついていた。本人はあのパスワードに自信があったのだろう。まあ、岡田たちに開けられている時点でお察しなのだが……
「つまり、『屋上の恋を乗り越えて』の作者はマシロ先輩ではない」
僕は牧玄弥の方に体を向けた。彼の俯いた顔は、影に覆われ暗くなっていたが、唇が震えていることだけは確認できた。
「あの小説の作者は、あなたですよね?牧先輩」
遠くでカラスの群れがけたたましく鳴いた。
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