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3.揺れ動く想い
しおりを挟む週末がやってきた。
晴れ渡った青空の下、昴と陽彩は念願のキャンプに向けて出発した。車を走らせながら彼らはワクワクとした雰囲気に包まれていた。
昴が運転する車内で、陽彩は興奮気味に話しかけてくる。
「昴くん!!キャンプ楽しみだね!何か特別な計画はある?」
ワンコみたいだな・・・・あ。これ誉め言葉。
「特別な計画はないけど、のんびりと過ごせたらいいな。と言うかキャンプ自体が初めてだからさ。右も左もよくわかんないんだよな」
「そっかぁ。そうだねー。あのさ、ミニキャンプファイアーをやろうかなって思って用意してきた^^」
「キャンプファイアーのミニ!?なんだそれ」
「足元に小さな焚火を作るの。炎を見ながら話すと本音で語り合えるんだよなぁ」
としみじみ頷きながら語る陽彩。
「そうなんだ?今日は俺にとっては何に対しても初体験だ。全部お前に任せるよ」
「昴君の初体験・・・全部奪えちゃう僕。最高じゃん?w」
・・・・・・。ほら。また。
こう言う恥ずかし事をいとも簡単に言葉に出来ちゃうコイツ・・・・
絶対モテるよな。恥ずかしい事言われたいんだもんな。女は。←偏見
あれ。コイツ今彼女・・・・いないって前に言ってたような。女がほっとかないような奴が今フリーだと。何故誰も告白してこないんだ。
機会があったら後で聞いてみるか。
本音を聞き出せるミニキャンプファイヤーの時にでも。
キャンプ場に到着すると新鮮な空気と自然の中に溢れる静寂が彼らを迎えた。
テントを張り、火をおこし、食材を整えて、未知なるアウトドアの始まりだ!!!
夕暮れ時、陽彩がミニキャンプファイヤーを作ってくれた。
小さな火が足元でゆらゆらと揺れながら周囲に幻想的な雰囲気が広がる。昴と陽彩は腰をおろし、手に持ったマシュマロを火にかざして焼く。
「男2人でマシュマロ焼いてるとか前代未聞だぞ?」
「僕は乙女男子なんでーwマシュマロ似合ってるよ?す・ば・る君w」
笑い声と焚き火の音が一体となり、彼らの心を温かく包み込んでいく。
「昴くん、こんな自然の中でのんびりできるって最高だね。」
陽彩が夜空を仰ぎながら言う。
昴も同じく星空を見つめながら語りかける。
「だなー・・・。普段の喧騒から離れて、こうしてゆっくり過ごす時間は貴重だよ。癒される。・・・あ。」
「ん?どうしたの?」
ふと思い出した話。陽彩に彼女いない問題。今聞いてみようか。いや深入りしすぎか・・・・
迷っていたら先に質問してきたのは陽彩の方だった。
「昴君て、今彼女いる?」
「いや。いないな。と言うか結構な時期いないな。」
「へえ。どれくらいの期間いないの?」
「高3年の時別れてからいないから・・・げ。9年間いない・・・・」
「あははwそれってめっちゃさっみしーw」
「まぁ。あんまり女に興味ないんだよな。」
「それはー・・・・男に興味あるってこと?w」
「何言ってんだ。それ。馬鹿か。」
一瞬自分の心の中に踏み込まれた気がして焦った。俺は別に男を恋愛対象としてみたことないし今までだってこれからも・・・・・
これからも・・・・・?
言い切れるのか。今。この状況で・・・・
俺は陽彩の事・・・・・
「僕はさ。今彼女いないんだ。いろんな女の子と沢山付き合ってきたんだけど」
「なんだそれ。自慢か?」
2個目のマシュマロを焼きながら聞いた。
「この焼きマシュマロと苦めのコーヒーめちゃ合うなwこれハマりそうだわw」
なんて、のーてんきにマシュマロの話を挟んでしまって後悔した。
よく見たら陽彩の両手が震えていた。
「どうした!?寒いのか?!」
今は10月下旬。確かに夜は少し肌寒い。だけど・・・こんなに震えるほど寒いのか・・・
気が付いたら昴は無心で手を差し伸べていた。
陽彩は戸惑いながらも昴に握られている。その瞬間この震えは寒さを感じてのものではないことを確信した。
「温かいね、昴くんの手。」
少し涙目で話す陽彩を見て抱きしめたいと言う感情が溢れてきた。
「・・・・まぁ。話したくなったら話せばいい。」
「ん・・・・・・・・・・僕さ・・・・・・・・・あのさ・・・」
「・・・・・ん?」
触れてる手が温かく感じ、微かに震えが消えたように思えた。
「僕。不能なんだ」
「・・・・ふ・・・・・・・不能・・・・・・・?不能とは・・・・・・・」
はっ!!!
馬鹿。俺!分かるだろ。同じ男なんだ。不能の意味くらい。
「ふはは。なんか笑っちゃうな。こんなんだからまともに女の子とできたためしがないんだよ。んでまぁ振られるっていうか」
「でもまぁ、男ってそう言う時あるんじゃん?体調悪いとか気が進まないとかで反応しない時ってか」
ん?これってフォローになってんのか・・・
まさか不能で悩んでたとは。分からないものだね。いつも明るく陽キャで毎日ウハウハ楽しんでるんだろうなー。なんて漠然と思って見てたから。
人は見かけによらないって事か。これがギャップ萌え?・・・違うか。
そしてこんな状況の中大変申し訳ないのですが・・・・陽彩の手を握っている事で気が付いたことがある。
この胸の奥でふくれ上がる感情は、友情ではなく明確に「好き」という気持ちだと言う事に。
自分の中で初めて「好きだ」と自覚した瞬間だった。
あのモヤモヤした気持ち悪さがスーっと消えていった。
いやしかし。
こんな状況の中で俺ばかりがスッキリした気持ちになってごめんな。
俺は陽彩の手をギュっと力強く握った。
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