優等生が溺愛ドSバリタチだった件について

静羽(しずは)

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3. 心地よい感覚

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 「な。なにが目的?」


 恐る恐る聞いた。
 正直僕は怯えていた。
 こんな猫かぶりに自分の隠し秘めていた秘密を知られたことに。


 「目的なんてないんだけどね。ん-。まぁ丁度いいかなって」


 「は?何が?何が丁度いいんだよ」


 武藤が僕の顔を覗き込んだ。


 「実は俺バリバリのタチなの。渡辺は多分・・・可愛い可愛いネコちゃんだよな?」


 可愛いネコってなんだよ。くそ。
 反抗したら何されるか分からないしここは素直に従うことにした。


 「はい。そうです。ネコです。間違いありません」


 よろしい。と言いたげな表情で僕の頭を優しく撫でた。
 優しく・・・・撫で・・・?
 武藤はごろりと固いコンクリートの上に転がった。
 腕を真っすぐに伸ばして僕の方に向けている。


 「おいで?」


 一瞬何をしたらよいのか分からなかったが多分腕枕に寝転んで。と言う意味だと理解した。
 言われるがまま僕は武藤の腕の中にすっぽりと潜り込んだ。
 武藤は僕を包み込むように抱きしめてきた。


 『えっ。えぇっ???さっきまで精子を舐めろ。とか言ってた奴と同一人物か?!』


 「んふっふー。渡辺のサイズ感やっぱり最高!抱きしめ心地がいいな」


 僕をギューッと抱きしめた。
 武藤は身長178センチ。 渡辺は 168センチ。
 体格差のせいで小さな身体を包み込むように、収まる場所にきちんとはまるように包み込まれている。


 「あ、、、あの、、、これ。どういう状況なの?何がしたいの?」


 「お前はね、今日から俺のペットなんだよ。ご主人様の命令は絶対なんだ」


 ああ。丁度いいってそう言う意味か。
 いつでもやりたい時にやれる相手が欲しかったってことね。
 僕は誰でもいいんだ。セックスができるなら。
 でも・・できることなら同級生とは・・・避けたかったな・・・
 抱きしめられている腕を振りほどいてズボンを脱いだ。


 「おい。なに勝手に脱いでるんだよ?」


 脱いだズボンを逆に戻されてしまった。


  「え。なんでってやるんだろ?今。ここで。」


  「なんでだよ。ここではやらないよ。色々準備もしてないしな」


 こいつが何を考えているのか分からない。
 さっきまであんなにドSっぷり全開だったくせに急に紳士になってみたり。
 武藤はもう一度僕を引き寄せ抱きしめた。
 何だろう。武藤の心臓の鼓動を感じながら不思議な気持ちになっていた。
 今まで何人もの男に抱かれて抱きしめられたけどこの感じたことのない心地よい安心感。
 こいつの容姿が好みだから?
 武藤の体温が肌に染み込み心地よい感覚が全身に広がった。
 


 「お前はもう今日から俺のモノなんだよ?」


 この言葉の意味を深くは考えていなかった。
 この日から武藤の執着と束縛の日々が始まった。僕は自分の自由を奪われるような気持ちになり不安な日々を過ごすこととなる。

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