アリーシア嬢の勘違い

むむ

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おまけ*ナンシーの怒り

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あれから数日、アリーシア様とサーシス殿下の顔合わせという事で、王城でお二人と、その従者のみで顔合わせが始まった。


公爵様は最後までついて来ようとしていたが、奥様の鶴の一声で泣く泣く諦めていた。
奥様は可愛いアリーシア様が、好きな人と結ばれる事を寂しくもあり、喜んでいられるようだった。


この美しい薔薇が咲き誇る庭園も、アリーシア様があってこその美しさで、おめかししたアリーシアの美しさを引き立たせるには、いい仕事をしていると思う。
アリーシア様が美しすぎて尊い…
白銀の髪が引き立つような薄いスミレ色のドレスは、シンプルでいて品がいい。
そして殿下の瞳の色と同じトパーズが付いたチョーカー。全てがアリーシア様を引き立てている。


それなのに、こいつと来たら…

若干鋭い視線になりながら、目の前の男を睨む。


私はサーシス殿下が憎い。
憎くて、憎くて仕方がない。


顔を合わせて早数十分。


アリーシア様を褒めるどころか、アリーシア様が殿下を思って作ってきたお菓子クッキーに手をつけることもなく。
あろう事か、先日、別の件で会ったと言うご令嬢を褒める発言ばかりするのだ。それも事欠いて容姿についてばかりである。

「ミランダ嬢は勤勉で、聡明で、笑った時にできる笑窪が美しい。また体の線も女性らしく魅力的で………」

うんたらかんたら、と御託を並べている。


アリーシア様は複雑な思いをされている事だろう。
第一この国にアリーシア様より美しい物が存在するいるはずがない。
後ろに付いている状態では、お顔の変化は見る事が出来ないが、小さく震えている。

このまま、消してしまおうかと言う思いが限界に達しようとした頃、サーシス殿下の執事のネイトが他の従者より受け取った手紙を確認し、サーシス殿下の耳元に手を当て、何かを伝えると

「すまない、席を外させてもらう。」

と一言、言ってのけて、お茶会は中断された。

2時間以上待たされ、痺れを切らし、アリーシア様のお側で膝をつき

「大丈夫ですか?」

と伺えば、先程までは殿下が居たから我慢していたであろうサファイヤ色の大きな瞳には雫が浮かび始めていた。

自分の婚約者が他のご令嬢を褒めるのだ。
悲しくないわけがない。

「アリーシア様…もう、帰りましょう?」

先に席を立ったのは殿下だ。
体調が悪くなったと伝言を伝えて帰ることも許されるであろう。

それでもアリーシア様は小さく首を振って

「お忙しい、サーシス殿下がお時間を作って下さったのだもの、そんなこと出来ないわ。」

と力なく微笑んだ。


あんの、クソ殿下。アリーシア様を泣かせやがって。地獄に落ちろ。

と心の中で盛大に毒を吐きながら、健気なアリーシア様に涙する。

「お辛くなったら、直ぐに仰ってください。私はアリーシア様の侍女です。必ずお守り致します。」

アリーシア様の美しさに寄ってくる不埒者を撃退する為に、幼い頃から叩き込まれた武術と術で、剣となり、盾となる事を約束する。

「ありがとう、ナンシー。」

と言われて嬉しくないはずがない。
思わず満面の笑みを浮かべたが、その直後盛大に困惑する事となった。

「ナンシー、私、容姿は変えられないと知っているけど、体型ならば背丈の似ているミランダ様に近づけると思うの。だからミランダ様の様な魅力的な体型からだになれるよう手伝って欲しいの!」

敬愛してやまないアリーシア様の頼みとあって、叶えたいと言う思いと、アリーシア様の美しいお身体が、と頭を悩ませた。


全ては、あの豚令嬢を褒めた王太子殿下が悪い。既に呪い殺したいほどだ。

とりあえず、王太子殿下にメンチ切ったら確実に不敬罪になるから、あの執事を問い詰めることにしよう。

そして、殿下をしっかりと教育させよう。
そう誓い。
殺気立った気持ちを落ち着かせた頃に殿下が戻られた。



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