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4章 選挙と特訓
3、激白と復活
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ピンポーン、ピンポーン…
数日後の午後5時ごろ、母が仕事に行っているこの時間に、家のインターホンが何度も何度も押されたていた。
鳴りやまないインターホン、これは宅配便などではない。ぼくは仕方なく、応答した。
「誰ですか?」
「俺だ!トシだ!開けろ!」
「え…いや、ちょっと今忙しいから…」ぼくはそう言って断った。
「そう言うと思っていたぜ」
トシがそう言ったあと、女の子の声が聞こえてくる。
「勇くん、私、雪よ。少し出てきてよ?あなたが学校に来ないし、ラインも返してくれないから私たちは心配してるのよ?」
雪とトシの訪問は意外だった。どちらかが来るならまだしも、2人同時に来るのは想定外だ。ぼくと雪は、幼稚園・小学校・中学校が同じだが、トシは幼稚園だけが同じだった。
あとから聞いた話だが、雪に好意を持っていたトシは、修学旅行の一件のときにどさくさに紛れて雪と連絡先を交換していたらしい。
渋々と家を出たぼくは、彼らとすぐ近くの一條神社に向かった。
まず話を切り出したのは雪だ。
「まず私から話すね。勇くん、学校に来てよ?」
「行きたくないんだ…ずっと家にいたいというか、外に出たくないというか」
「あんなことがあったし、侍さんもいなくなったみたいだし、つらいのはわかるけど、ずっと家にいてもいいことがあるわけじゃないよ?」
「…それより、雪はぼくに怒ってないの?」
「怒ってるわけないよ。
たしかに私は、勇くんとはぐれた時に誘拐されたし、あの時は本当に怖かった。さらに2000万円を奪われてしまったわ。そして、その首謀者はあなたのお父さん…
けど、それは勇くんのせいじゃない」
「だけど、ぼくのせいで…」
雪はぼくを睨みつける。
「怒るわよ…」
「え?」
「怒ってなかったけど、勇くんがうじうじしていることに怒るの。
ここ最近、逞しくなってきたなあ、と思ってたのにがっかりだよ。私は勇くんに胸を張ってほしいの。
あなたのご先祖様も、あなたのお父さんも、関係ない!あなたが何か悪いことをしたわけじゃないんだから」
「ゆ、ゆき…」雪が話していることの本質は、母さんと同じことだ。
「私ね。勇くんと、トシくんにも悪いことしちゃったなって思ってるんだ。
私を守るために戦ってくれたのに、2人とも傷ついてしまった…」
「ぼくらのことは気にしなくていいよ。
けど、雪もつらかったんじゃないの?ジイのこと、母さんから聞いたよ…」
「私だってもちろん辛いわよ。泣いたわ、たくさん泣いた。でもね。1日だけだよ。
学校にもちゃんと通って、習い事も休んでないわ。だって私が辛い姿を見せたら、みんな心配するじゃない?
自分の行いは反省しても、それを必要以上に外に出すのは、甘えだと思うな。
引きこもって、反省しても何も変わらないよ。前を向いて動き出さないと…」
続いて、トシが語り始める。
「雪の言う通りだぜ、勇。雪は逞しいのに、お前は腑抜けてやがるぜ!
だいたい、俺が気に食わねえのは、悔しいのが自分だけだと思っているような態度だ。
俺だって悔しいんだ。1人で抱え込むんじゃねえよ!」
トシはそう言って、ぼくの胸に拳をぶつけてきた。決して強くはないけれど、その拳は鉛のように重かった。
「とにかく学校に来い。引きこもりなんて許さねえ。そして、道場にも来い。俺たちはもっと強くなる必要があるんだ!」
気のせいだろうか、トシの目もとは潤んでいた。
「そもそも、これで終わりじゃねえぞ?お前の親父はまだ何かを企んでる…」
今度は雪だけじゃない。この町を襲う大きな事件が起こるかもしれないんだ。
俺たちで、この町と雪を守るしかねえだろ!」
トシの言葉は、ぼくの胸を打った。
心の中で消えかかっていた炎が灯る…
まだ、ぼくらの出番は終わっていない。
侍さんがいなくとも、立ち上がらないといけないんだ。ぼくの心に、一条の光が差し込んだ。
「なんだか目が覚めたよ...ありがとう」
2人のおかげで、目を覚ましたぼくは学校や道場にも通うようになった。
しかし雪の周囲では、別の問題が起こっていた。
数日後の午後5時ごろ、母が仕事に行っているこの時間に、家のインターホンが何度も何度も押されたていた。
鳴りやまないインターホン、これは宅配便などではない。ぼくは仕方なく、応答した。
「誰ですか?」
「俺だ!トシだ!開けろ!」
「え…いや、ちょっと今忙しいから…」ぼくはそう言って断った。
「そう言うと思っていたぜ」
トシがそう言ったあと、女の子の声が聞こえてくる。
「勇くん、私、雪よ。少し出てきてよ?あなたが学校に来ないし、ラインも返してくれないから私たちは心配してるのよ?」
雪とトシの訪問は意外だった。どちらかが来るならまだしも、2人同時に来るのは想定外だ。ぼくと雪は、幼稚園・小学校・中学校が同じだが、トシは幼稚園だけが同じだった。
あとから聞いた話だが、雪に好意を持っていたトシは、修学旅行の一件のときにどさくさに紛れて雪と連絡先を交換していたらしい。
渋々と家を出たぼくは、彼らとすぐ近くの一條神社に向かった。
まず話を切り出したのは雪だ。
「まず私から話すね。勇くん、学校に来てよ?」
「行きたくないんだ…ずっと家にいたいというか、外に出たくないというか」
「あんなことがあったし、侍さんもいなくなったみたいだし、つらいのはわかるけど、ずっと家にいてもいいことがあるわけじゃないよ?」
「…それより、雪はぼくに怒ってないの?」
「怒ってるわけないよ。
たしかに私は、勇くんとはぐれた時に誘拐されたし、あの時は本当に怖かった。さらに2000万円を奪われてしまったわ。そして、その首謀者はあなたのお父さん…
けど、それは勇くんのせいじゃない」
「だけど、ぼくのせいで…」
雪はぼくを睨みつける。
「怒るわよ…」
「え?」
「怒ってなかったけど、勇くんがうじうじしていることに怒るの。
ここ最近、逞しくなってきたなあ、と思ってたのにがっかりだよ。私は勇くんに胸を張ってほしいの。
あなたのご先祖様も、あなたのお父さんも、関係ない!あなたが何か悪いことをしたわけじゃないんだから」
「ゆ、ゆき…」雪が話していることの本質は、母さんと同じことだ。
「私ね。勇くんと、トシくんにも悪いことしちゃったなって思ってるんだ。
私を守るために戦ってくれたのに、2人とも傷ついてしまった…」
「ぼくらのことは気にしなくていいよ。
けど、雪もつらかったんじゃないの?ジイのこと、母さんから聞いたよ…」
「私だってもちろん辛いわよ。泣いたわ、たくさん泣いた。でもね。1日だけだよ。
学校にもちゃんと通って、習い事も休んでないわ。だって私が辛い姿を見せたら、みんな心配するじゃない?
自分の行いは反省しても、それを必要以上に外に出すのは、甘えだと思うな。
引きこもって、反省しても何も変わらないよ。前を向いて動き出さないと…」
続いて、トシが語り始める。
「雪の言う通りだぜ、勇。雪は逞しいのに、お前は腑抜けてやがるぜ!
だいたい、俺が気に食わねえのは、悔しいのが自分だけだと思っているような態度だ。
俺だって悔しいんだ。1人で抱え込むんじゃねえよ!」
トシはそう言って、ぼくの胸に拳をぶつけてきた。決して強くはないけれど、その拳は鉛のように重かった。
「とにかく学校に来い。引きこもりなんて許さねえ。そして、道場にも来い。俺たちはもっと強くなる必要があるんだ!」
気のせいだろうか、トシの目もとは潤んでいた。
「そもそも、これで終わりじゃねえぞ?お前の親父はまだ何かを企んでる…」
今度は雪だけじゃない。この町を襲う大きな事件が起こるかもしれないんだ。
俺たちで、この町と雪を守るしかねえだろ!」
トシの言葉は、ぼくの胸を打った。
心の中で消えかかっていた炎が灯る…
まだ、ぼくらの出番は終わっていない。
侍さんがいなくとも、立ち上がらないといけないんだ。ぼくの心に、一条の光が差し込んだ。
「なんだか目が覚めたよ...ありがとう」
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しかし雪の周囲では、別の問題が起こっていた。
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