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4章 選挙と特訓
2、立ち上がるきっかけ
しおりを挟む侍は、勇のところではなく、宗輝のもとに憑依していた。
宗輝は、過去の一件について侍を許したわけではなかったが、いまさら恨む気にもなれなかった。
宗輝は今日も、京都で人力車を引いている。
「なああんた、あの少年のところに戻らねえのか」
「ああ。今の儂が勇のところに戻っても、彼を混乱させるだけじゃ。今はそっとしておいてやろう」
「こういうときこそ、お前がそばにいてあげるべきなんじゃねえの?」
「いや、儂もずっと勇のそばにいることはできん。いずれ成仏するかもしれんし…
それに勇ももう15歳じゃ。つらいことがあっても、自分の意思で立ちあがらないといけんのじゃ。
そして、彼にはきっとそれができる…」
―――――――――――――――――
ある日、母がぼくの部屋に入ってきた。一週間以上も引きこもっている息子を心配しているのだろう。
ぼくは先に話を切り出す。
「母さん。なぜぼくは、一条兼定と、長宗我部元親の血を引いているの?」
「なぜと言っても、仕方ないじゃない。これが現実よ。
それにね。あまりいいイメージのない一条兼定様だけど、土佐から追放された後、キリシタンになって、再び土佐の旧領を取り返すために頑張っていたのよ?
長宗我部元親だって、侵略軍というイメージがあるけど、優秀な武将だったと評価されているわ。
自分の先祖に誇りを持てとは言わないけどね?先祖が誰かということで、勇が気を病むことはないわ。だって、誰が先祖であれ、あなたはあなたなのよ?」
「わかってるけどさ。それを心の中で咀嚼できないんだ。そんな自分の心の弱さが嫌なんだ…」
「心が弱いかどうかはまだわからないわ。
誰だってつらくて、しんどいときもある。生きていれば何度も、打ちのめされるほどつらいことはある。ただ、だからといって、自分の殻にこもっていちゃ何も始まらないわ。
あなたのペースでいい。ゆっくりと、もう一度立ち上がりなさい?」
「…」ぼくは何も言わずに俯いていた。
―――――――――――――――――
「さて、この2000万円をどうする?」
長元組の事務所では、父たちが会議を行っていた。
「この金でシンガポールに高飛びしようぜ!」ある部下はそう発言する。
「バカ野郎!俺たちは6人もいるんだ。これっぽっちの金じゃすぐになくなっちまう。根本的なところを変えての法律を変えねえと…」
「じゃあ何かお頭には、考えがあるんですか?」
「ああ、もう手は打ってある」
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