ヒョーイザムライ

喜多ばぐじ・逆境を笑いに変える道楽作家

文字の大きさ
80 / 94
5章 決戦と別れ

4、銀行強盗と時間稼ぎ

しおりを挟む

ぼくを庇って銃弾を受けたトシは、そのまま地面に倒れ込んだ。
 
そのとき、ぼくの体は無意識に反応していた。
 
袋に入れたままの木刀を背中に背負ったまま、拳銃を持つ男に向けて走り出した。
男は、「俺に近づくな!」と叫んで、さらにもう一発の弾丸を放ってきた。体をゆらりと傾けてそれを避ける。勝手に体が動く…侍脳かもしれない。
 
男に近づいたぼくは、背負った刀を手に取った。そのまま大きく踏み込み、男に一刀を浴びせた。
 
倒れこんだ男から拳銃を奪い取り、ぼくは男に問いかけた。
「長元組の人だね?」
 
「ああ、そうだ。だが、これはキツツキ戦法だぜ」
 
「どういうこと?」
 
「銀行強盗が成功するだなんて思っちゃいない。俺の行動は、時間稼ぎに過ぎないってことだ…」
 
 
そのとき、宗輝さんは119番に電話をかけ、救急車を呼んでいた。致命傷は避けていたようだが、トシは苦悶の表情を浮かべている。彼の腹部からは赤い血が流れていた。トシの横では、ケンモツさんが「トシ、しっかりせえ!」と、叫んでいた。
 
空は徐々に曇る。嵐の前の静けさのように。
 
 
―――――――――――――――――
 
白バイ警官に扮して現金輸送車を奪ったのは、長元組の頭である勇の父だった。
 
父が現金輸送車を操ってある場所にたどり着いたとき、そこには1台のバンがあった。
その中では、千枚通しのパンク作戦や、道路を混乱させる役目を終えた組員たちが待機している。
 
「お頭!やりましたね!」
 
「非常停止装置が作動するかどうかひやひやしていたが、なんとかここまでこれたぜ。早く現金を移し替えるぞ!」
 
彼らは現金輸送車のセキュリティを解除するキーも事前に入手していたため、現金の移し替えはすんなりと進んだ。輸送車を乗り捨ててバンに乗り換えたあと、父たちはある場所に向かって、逃走を始めた。
 
 
現金強奪事件の報告を受けた警察は要所で検問を実施しようとしたが、パトカーはパンクさせられており使い物にならなかった。ディーラーやオートバックスを呼ぶよりも、自分たちでタイヤを交換したほうが早いと思い、F1のピットイン顔負けの速度でタイヤを交換した。

その後、急いで検問を始めたが、自動車の乗換えを想定していなかった事もあり、父の車を補足することはできなかった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...