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5章 決戦と別れ
4、銀行強盗と時間稼ぎ
しおりを挟むぼくを庇って銃弾を受けたトシは、そのまま地面に倒れ込んだ。
そのとき、ぼくの体は無意識に反応していた。
袋に入れたままの木刀を背中に背負ったまま、拳銃を持つ男に向けて走り出した。
男は、「俺に近づくな!」と叫んで、さらにもう一発の弾丸を放ってきた。体をゆらりと傾けてそれを避ける。勝手に体が動く…侍脳かもしれない。
男に近づいたぼくは、背負った刀を手に取った。そのまま大きく踏み込み、男に一刀を浴びせた。
倒れこんだ男から拳銃を奪い取り、ぼくは男に問いかけた。
「長元組の人だね?」
「ああ、そうだ。だが、これはキツツキ戦法だぜ」
「どういうこと?」
「銀行強盗が成功するだなんて思っちゃいない。俺の行動は、時間稼ぎに過ぎないってことだ…」
そのとき、宗輝さんは119番に電話をかけ、救急車を呼んでいた。致命傷は避けていたようだが、トシは苦悶の表情を浮かべている。彼の腹部からは赤い血が流れていた。トシの横では、ケンモツさんが「トシ、しっかりせえ!」と、叫んでいた。
空は徐々に曇る。嵐の前の静けさのように。
―――――――――――――――――
白バイ警官に扮して現金輸送車を奪ったのは、長元組の頭である勇の父だった。
父が現金輸送車を操ってある場所にたどり着いたとき、そこには1台のバンがあった。
その中では、千枚通しのパンク作戦や、道路を混乱させる役目を終えた組員たちが待機している。
「お頭!やりましたね!」
「非常停止装置が作動するかどうかひやひやしていたが、なんとかここまでこれたぜ。早く現金を移し替えるぞ!」
彼らは現金輸送車のセキュリティを解除するキーも事前に入手していたため、現金の移し替えはすんなりと進んだ。輸送車を乗り捨ててバンに乗り換えたあと、父たちはある場所に向かって、逃走を始めた。
現金強奪事件の報告を受けた警察は要所で検問を実施しようとしたが、パトカーはパンクさせられており使い物にならなかった。ディーラーやオートバックスを呼ぶよりも、自分たちでタイヤを交換したほうが早いと思い、F1のピットイン顔負けの速度でタイヤを交換した。
その後、急いで検問を始めたが、自動車の乗換えを想定していなかった事もあり、父の車を補足することはできなかった。
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