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第16話 戻ってきた通帳
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それから約一週間後、山川先生から
「書類が戻ってきたので伺います」と連絡があった。
二人で玄関に出て迎える。
「こんにちは。お待たせしましたね。では、ゆっくりご説明します」
颯太がコーヒーを淹れてくれた。
この一週間で、颯太は完全ではないがずいぶん体調が戻っていた。
二人でソファに座ると、山川先生は早速、大きな茶封筒を開いた。
「ではこちらをご覧ください」
封筒から広げられたのは、
契約書、契約解除書、銀行の通帳と印鑑、
そして新しい印鑑が2つ、さらに小さな包みが1つ。
「まず契約書のコピーです。返してもらいました。
それから契約は完全に解除できました。
通帳ですが、一時は全額引き出されていました。
恐らくカードで引き落としができないようにしたのでしょう。
ですが、今は銀行に通帳をストップしてもらっています。
そしてこちらの封筒には、引き出されていた現金がそのまま返ってきています。
うちでも確認しましたが、金額は一致していますので、再度ご確認ください」
包みを開けると、本当に現金がぎっしり入っていた。
「それと、通帳と印鑑は新しくした方がいいです。
勝手ながら、フルネームの印鑑を1つと、認印用の印鑑を1つ購入しました。
今から銀行に一緒に行っていただきたいのです。
新しい通帳をフルネームの印鑑で作り直してください。
その際、この現金を入金すると良いでしょう。
銀行は本人がいないと、解約も新規作成もできませんので。
それが終わったら、市役所で住所変更と印鑑証明を作ってください。
これからの契約書には、そのフルネームの印鑑を使うことになります。
颯太さん、作曲も作詞もされていますね?」
「え?」
颯太を見ると、静かに頷いていた。
そうだったのか。知らなかった。
「新しい通帳と印鑑は、印税の権利関係の手続きに必要です。
私も同行しますので、院長もご一緒にお願いします」
「颯太、一緒に外出できる?」
颯太は戸惑い、
<俺、外出してもつかまらないかな?>
と不安を漏らした。
「大丈夫ですよ。契約はすべて解除されています。
誰もあなたを捕まえることはできません」
「颯太、大丈夫だよ。行こう?」
颯太は少し笑って頷いた。
「では、すぐ支度します。お世話になりますが、よろしくお願いします」
銀行では、山川先生が事前に話を通してくれていたようで、
驚くほどスムーズに手続きが進んだ。
古い通帳はパンチで穴を開けられ、使用済みになった。
そして、あの包みはどう見ても三千万以上ある。
颯太は新しい通帳を見て、目を丸くして喜んでいた。
「颯太は金持ちだな」
そう言うと、颯太はふふっと笑って両手で顔を隠した。
その後、市役所で住所を俺のマンションに変更し、
印鑑登録も無事に終わった。
通帳のコピーと印鑑を山川先生に預け、
印税や権利関係の変更をお願いした。
しかし、ひとつだけ気になることがあった。
「山川先生。やはり父親が社長に電話したのでしょうか?」
「はい、そうらしいですよ。
私は執事の方でしょうか、小林健さんという方から連絡を受けました」
「なんとおっしゃっていたんですか?」
「言いにくそうでしたが……、
“こんな目に合わせるために事務所に預けたんじゃない。
すべて戻さないなら事務所をひねりつぶす”
と、大変なお怒りようだったそうです」
思わず腹の底が揺れ、ふっと笑いが漏れた。
颯太を見ると、同じようにクスクス笑っていた。
「颯太さん、良かったですね。
それにしても、一言で済んでしまいましたね。
正直、胸がすっとしましたよ」
山川先生もにこにこと笑っていた。
「書類が戻ってきたので伺います」と連絡があった。
二人で玄関に出て迎える。
「こんにちは。お待たせしましたね。では、ゆっくりご説明します」
颯太がコーヒーを淹れてくれた。
この一週間で、颯太は完全ではないがずいぶん体調が戻っていた。
二人でソファに座ると、山川先生は早速、大きな茶封筒を開いた。
「ではこちらをご覧ください」
封筒から広げられたのは、
契約書、契約解除書、銀行の通帳と印鑑、
そして新しい印鑑が2つ、さらに小さな包みが1つ。
「まず契約書のコピーです。返してもらいました。
それから契約は完全に解除できました。
通帳ですが、一時は全額引き出されていました。
恐らくカードで引き落としができないようにしたのでしょう。
ですが、今は銀行に通帳をストップしてもらっています。
そしてこちらの封筒には、引き出されていた現金がそのまま返ってきています。
うちでも確認しましたが、金額は一致していますので、再度ご確認ください」
包みを開けると、本当に現金がぎっしり入っていた。
「それと、通帳と印鑑は新しくした方がいいです。
勝手ながら、フルネームの印鑑を1つと、認印用の印鑑を1つ購入しました。
今から銀行に一緒に行っていただきたいのです。
新しい通帳をフルネームの印鑑で作り直してください。
その際、この現金を入金すると良いでしょう。
銀行は本人がいないと、解約も新規作成もできませんので。
それが終わったら、市役所で住所変更と印鑑証明を作ってください。
これからの契約書には、そのフルネームの印鑑を使うことになります。
颯太さん、作曲も作詞もされていますね?」
「え?」
颯太を見ると、静かに頷いていた。
そうだったのか。知らなかった。
「新しい通帳と印鑑は、印税の権利関係の手続きに必要です。
私も同行しますので、院長もご一緒にお願いします」
「颯太、一緒に外出できる?」
颯太は戸惑い、
<俺、外出してもつかまらないかな?>
と不安を漏らした。
「大丈夫ですよ。契約はすべて解除されています。
誰もあなたを捕まえることはできません」
「颯太、大丈夫だよ。行こう?」
颯太は少し笑って頷いた。
「では、すぐ支度します。お世話になりますが、よろしくお願いします」
銀行では、山川先生が事前に話を通してくれていたようで、
驚くほどスムーズに手続きが進んだ。
古い通帳はパンチで穴を開けられ、使用済みになった。
そして、あの包みはどう見ても三千万以上ある。
颯太は新しい通帳を見て、目を丸くして喜んでいた。
「颯太は金持ちだな」
そう言うと、颯太はふふっと笑って両手で顔を隠した。
その後、市役所で住所を俺のマンションに変更し、
印鑑登録も無事に終わった。
通帳のコピーと印鑑を山川先生に預け、
印税や権利関係の変更をお願いした。
しかし、ひとつだけ気になることがあった。
「山川先生。やはり父親が社長に電話したのでしょうか?」
「はい、そうらしいですよ。
私は執事の方でしょうか、小林健さんという方から連絡を受けました」
「なんとおっしゃっていたんですか?」
「言いにくそうでしたが……、
“こんな目に合わせるために事務所に預けたんじゃない。
すべて戻さないなら事務所をひねりつぶす”
と、大変なお怒りようだったそうです」
思わず腹の底が揺れ、ふっと笑いが漏れた。
颯太を見ると、同じようにクスクス笑っていた。
「颯太さん、良かったですね。
それにしても、一言で済んでしまいましたね。
正直、胸がすっとしましたよ」
山川先生もにこにこと笑っていた。
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