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第6章 菜の花寮の大騒動
105話 川瀬サイド・寮父見習い・4・南フランス料理
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カフェの帰りに、どうしてもランチを再現したいというから、もう一度スーパーに寄って買い物をした。
ネットで作り方を検索し、ランチのメニュー名を探す。
「あっ、これみたいだよ」
「ああ~、さっきのに似てるね。よし、作ろう! あなたは鶏肉を切って」
「はいはい、了解」
こうして――南フランス風の鶏の煮込みが、合作で出来上がった。
俺が贈った赤いバラの花束は、佳代ちゃんが一輪だけコップに挿して窓辺に飾っていた。
それはなんとなく、俺の胸の中にも一輪咲いているような気がした。
*
夕方になると、次々に寮生たちが帰ってきた。
亜衣「あらっ? なにあれ? わぁ……分かりやすい……」
青山「確かに分かりやすいわ」
あとからやってきた寮生たちも、窓辺の花に釘付けだった。
佐藤「おー、今日はなんか空気が違うぞ?」
ぷっと笑われて、穴があったら入りたかった。
でも佳代ちゃんは平気そうにしていた。
「はいはい、夕飯にするわよ~。今日は川瀬先生との合作だからね」
お鍋ごとテーブルの端にどんと置いて、俺にレードルを渡す。
「川瀬先生、皆に分けてあげて」
ちょっと照れ臭かったが、カレー皿によそって配った。
村上「ええ? 何が出来たんですか?」
吉岡「すごくいい匂い!」
青山「うまっ! なにこれ? 何の香り?」
亜衣「本当だ、美味しい。それに……この香り?」
「教えてあげたら?」と佳代ちゃん。
「えっと、ローリエとタイムとローズマリーにパセリ。あとニンニクとセロリの風味もいいよね」
亜衣「へぇ~川瀬先生、すごい!」
森下「わー、どんどん作ってほしいです」
「いやいや、ほとんど佳代さんが作ってくれたんだよ」
青山「はぁ~、佳代さんがねぇ……」
佐藤「うんうん、佳代さんがねぇ~」
くすくす笑いが広がり、顔が真っ赤になった。
……どこかに逃げたい。
片手で顔を隠したり、すりすりしたりしてもどうにもならなかった。
*
翌日。大学病院の食堂で岩城が待ち構えていた。
――うわっ、面倒。
ガシッと腕を掴まれる。……これは拉致か?
「おい、最初から話せ。どうなってる? 昨日から気になってしょうがなかったんだぞ」
「もう~よせよ、恥ずかしいだろ」
「……もう恥ずかしいことしたのか?」
「やめろって! 何にもしてないよ」
「本当か?」
ようやく手を離してくれた。まったく、そこかよ。
「一体いつからなんだよ?」
「だから、何でもないって」
「お前さぁ、それで済むと思うのか? 花屋の子から洋子が聞いたんだぞ。赤い花束を作って渡したって」
「なんでそんな地獄耳なんだよ」
「岩城様に隠し事はできないんだからな」
……はぁ、面倒くさい。
俺は黙々とご飯を食べることに集中した。
それでも質問攻めにあう。
岩城に言えば、宮本君に伝わる。宮本君から奥さんの看護師長に伝わり、最終的には菜の花中に広がる。
まったく……。
俺は最後まで何も言わなかった。
ネットで作り方を検索し、ランチのメニュー名を探す。
「あっ、これみたいだよ」
「ああ~、さっきのに似てるね。よし、作ろう! あなたは鶏肉を切って」
「はいはい、了解」
こうして――南フランス風の鶏の煮込みが、合作で出来上がった。
俺が贈った赤いバラの花束は、佳代ちゃんが一輪だけコップに挿して窓辺に飾っていた。
それはなんとなく、俺の胸の中にも一輪咲いているような気がした。
*
夕方になると、次々に寮生たちが帰ってきた。
亜衣「あらっ? なにあれ? わぁ……分かりやすい……」
青山「確かに分かりやすいわ」
あとからやってきた寮生たちも、窓辺の花に釘付けだった。
佐藤「おー、今日はなんか空気が違うぞ?」
ぷっと笑われて、穴があったら入りたかった。
でも佳代ちゃんは平気そうにしていた。
「はいはい、夕飯にするわよ~。今日は川瀬先生との合作だからね」
お鍋ごとテーブルの端にどんと置いて、俺にレードルを渡す。
「川瀬先生、皆に分けてあげて」
ちょっと照れ臭かったが、カレー皿によそって配った。
村上「ええ? 何が出来たんですか?」
吉岡「すごくいい匂い!」
青山「うまっ! なにこれ? 何の香り?」
亜衣「本当だ、美味しい。それに……この香り?」
「教えてあげたら?」と佳代ちゃん。
「えっと、ローリエとタイムとローズマリーにパセリ。あとニンニクとセロリの風味もいいよね」
亜衣「へぇ~川瀬先生、すごい!」
森下「わー、どんどん作ってほしいです」
「いやいや、ほとんど佳代さんが作ってくれたんだよ」
青山「はぁ~、佳代さんがねぇ……」
佐藤「うんうん、佳代さんがねぇ~」
くすくす笑いが広がり、顔が真っ赤になった。
……どこかに逃げたい。
片手で顔を隠したり、すりすりしたりしてもどうにもならなかった。
*
翌日。大学病院の食堂で岩城が待ち構えていた。
――うわっ、面倒。
ガシッと腕を掴まれる。……これは拉致か?
「おい、最初から話せ。どうなってる? 昨日から気になってしょうがなかったんだぞ」
「もう~よせよ、恥ずかしいだろ」
「……もう恥ずかしいことしたのか?」
「やめろって! 何にもしてないよ」
「本当か?」
ようやく手を離してくれた。まったく、そこかよ。
「一体いつからなんだよ?」
「だから、何でもないって」
「お前さぁ、それで済むと思うのか? 花屋の子から洋子が聞いたんだぞ。赤い花束を作って渡したって」
「なんでそんな地獄耳なんだよ」
「岩城様に隠し事はできないんだからな」
……はぁ、面倒くさい。
俺は黙々とご飯を食べることに集中した。
それでも質問攻めにあう。
岩城に言えば、宮本君に伝わる。宮本君から奥さんの看護師長に伝わり、最終的には菜の花中に広がる。
まったく……。
俺は最後まで何も言わなかった。
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