診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第9章 内定した方の為に

179話 桜丘センタースタッフ募集開始

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 締め切ったはずの人材を、また募集しなくてはならなくなった。

――まさかの、桜丘救命センターの人材だ。

現在残留しているのは、

 麻酔医1名
 外科医2名
 ナース5名
 放射線技師2名
 臨床検査技師2名
 看護助手4名
 受付事務2名。

この辺までは十分だと思う。
あとは抜けた分の補充だね。

 救命医を3名、
 外科医を念のため1名、
 ナースを5名(救急・ICU手当付き)――。

このあたりを募集しようと思う。

ああ、大学病院の院長にも伝えないといけないな。岩城から伝えてもらおう。

よそが戦々恐々だろうと、こっちは必死なんだからな。

三枝君にも「菜の花タイムズ」に**大見出しで募集開始!**と出してもらった。
さらにHPにも大々的に「ラスト4名!最終募集」と掲載。

今回は今までと違う。
外科医の募集欄には、堂々と書いた。

「岩城外科医のもとで直接学べます」

AIによる手術教習や実習、見学の機会あり。
2号館への自由な出入りも可能――もちろん、スケジュールは岩城外科医と調整の上で。

この話を今いる桜丘センターの外科医たちに伝えたら、
まるで少年のように飛び上がって喜んでいた。

まあ、一年間も岩城と一緒に外科をやれるんだ。
それだけでも幸せなことだよね。

だから、応募してくる人たちにも堂々と言える。

「今がチャンス!」

 ――これもタイムズとHPの両方に大きく載せてもらった。

そして、ちょっと言いにくかったけれど……、

「なんとか桜丘センター用に寮を用意していただけないでしょうか?」と社長にお願いした。

社長はクスクス笑っていた。
まあ、想像していたんだろうな。

笑われてもいい。だって救急専門の病院なんだから。
神経がすり減るんだ、休める場所くらい欲しい。

幸い、ナースの方は順調に5名が集まった。
やっぱり菜の花ブランドは強い。

けれど、外科医と救命医はまだだ。

 *

そして年が明けて2026年。

菜の花は変わらず盛況。

患者さんもどんどん増えて――いや、ちょっと待って。

なんでだよ、もうパンクしちゃうよ。

俺のマジックでもさすがに限界だ。

本館4階奥の静養室には、なぜか麻酔医が2名も来ちゃった。

昼間はシフトを組んでペインクリニック。

――なんせ年収2200万だからね。

「1名は桜丘センターに行きますか?」と聞いたら、
「本館がいいです」って言うんだよ。くそー!

確かに桜丘で募集したわけじゃないし、強くは言えない。

で、どこで寝泊まりしているかというと……内緒だが、
サテライト3階の静養室・和室3畳と、音楽室奥の倉庫。

そこにベッドを押し込んで、無理やり1名が寝ている。
荷物は4階静養室の防音室の中。カーテンで隠してるんだよ。

ワンルームを探すって言ってたけど、
「どこでもいいから本館がいい」と言うんだ。

――俺の想像では、39歳と34歳の独身男だし、
たぶん館内のかわいいナース狙いだな。

餌食にされてたまるか!

「監視カメラ強化!」って夏に言ったら、
「諦めたら?」と笑われた。

それとね、やっぱりサテ寮母・西村さんの料理が目的だ。
HPで見て“感動しました”とか言ってたもん。

今やサテのリビングには、音楽室の長テーブルが持ち込まれ、
椅子を並べて、麻酔医二人が仲良く食事している。

ああ~、館内が少しずつカオスになっていく……。


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