204 / 363
第11章 新しいステージへ
202話 憂鬱な連休
しおりを挟む
もうすぐゴールデンウィーク。
世間は浮き立ち、家族も楽しみにしている。
なのに、心はまるで曇り空みたいに晴れない。
莉子や桃香を喜ばせたい気持ちはある。
でも、どうしても気持ちがついてこない。
混雑するのは分かってる。
それでも、なぜ人はわざわざ出かけるんだろう?
俺は、ただ静かに家で眠っていたい。
ずっと家にいたら、ダメなのかな……。
これって、歳のせいなのか?
ふと、もし莉子や夏が俺と同じくらいの年齢だったらどうだったんだろう?
そんなことを考えてしまう。
……まあ、考えたところでどうにもならない。
こんなことを口にすれば、きっと家族と揉めるだけだ。
「夏、ゴールデンウィークの予定って、もう決まった?」
「うん、決まったよ」
「どこに行くの?」
「まずは桃香が一番喜ぶディズニーランド。近くの景色が最高のホテルに2泊。
次に莉子が楽しみにしてる横浜でフランス料理と、桃香がやりたがってたカップヌードル作り。
ホテルはみなとみらいの高級ホテルに2泊。時間があれば、横浜の動物園とすき焼きのランチも。以上!」
「ふ~ん……俺はホテルにいてもいい?」
「ダ~メ」
「まさかディズニーランドって、二日連続で行くの?」
「ピンポーン! 29日から行くよ。だから30日~2日は平日だけど有休を取る。
桃香は学校を休ませる。その代わり、3日~6日の一番混む連休は家でゆっくりするよ」
……地獄、決定。
「なんだか、みんなに悪いね。間の平日に休んじゃってさ」
「大丈夫。お兄さんと俺は有休、莉子は普通に休めばいいだけだから」
「桃香は三日も学校を休ませて平気なのか? 遅れたりしない?」
「桃香なら、もう上の学年の勉強してるから、1年間休んでも余裕だよ」
「ふ~ん……そうなんだ。莉子はそれ、知ってる?」
「うん、知ってるよ。横浜を楽しみにしてた」
……もう、アリ地獄。
どうして肝心の俺だけ、こんなに盛り上がれないんだろう。
最低だ。
連休まで、あと1週間。
気持ちは沈んだまま__。
……待てよ?
__なんかおかしい‥‥‥。
俺、変だ。
すぐに部屋へ戻り、書斎の引き出しを開けた。
あっ……ない。
いつ切れたんだろう?
気づかなかったってことは、飲み忘れてたってことだ。
抗うつ剤が切れてる。しまった。
忙しさに紛れて、うっかりしてた……。
どうしよう。夜なのに……。
夏や莉子には知られたくない。
でも、背に腹は代えられない。
青山先生に電話した。
「こんばんは。北原ですが」
「こんばんは。珍しいですね、お電話くださるなんて」
「夜分、申し訳ないのですが……最近、体調がすぐれなくて。
多分、抑うつ状態なんです。でも、薬が切れていて……どうしたものかと思って。突然すみません」
「ああ、そうでしたか。それはつらいですね。ええっと、今手元に何錠かならありますので、差し上げますよ。
でも、診察した方が良さそうですが……僕は今からでも構いませんよ?」
「ありがとうございます。でも、それはちょっと難しくて……すみません、薬をポストに入れていただけませんか?」
「はい、承知しました。明日、処方しましょうか?」
「それが……病院の関係者には知られたくないんです。すみません、ネット診療を探して薬を送ってもらいます」
「あっ、じゃあ待ってください。僕の友達に頼んで手に入れますから大丈夫です。
ポストに入れておきますね。名前は日比野佑月というやつです。送ってきたら受け取ってください」
「本当に助かります。ありがとうございます。代金はどうしたらいいですか?」
「僕から払っておきますから、あとで代金をお知らせしますね。そしたら僕のポストに代金を入れておいてください」
「何から何までお世話になってすみません。ありがとうございました」
それから30分後、ポストに行くと、封筒に薬が6錠ほど入っていた。
助かった。
すぐ飲んだ。
ああ……でも、連休までに間に合うかな……。
世間は浮き立ち、家族も楽しみにしている。
なのに、心はまるで曇り空みたいに晴れない。
莉子や桃香を喜ばせたい気持ちはある。
でも、どうしても気持ちがついてこない。
混雑するのは分かってる。
それでも、なぜ人はわざわざ出かけるんだろう?
俺は、ただ静かに家で眠っていたい。
ずっと家にいたら、ダメなのかな……。
これって、歳のせいなのか?
ふと、もし莉子や夏が俺と同じくらいの年齢だったらどうだったんだろう?
そんなことを考えてしまう。
……まあ、考えたところでどうにもならない。
こんなことを口にすれば、きっと家族と揉めるだけだ。
「夏、ゴールデンウィークの予定って、もう決まった?」
「うん、決まったよ」
「どこに行くの?」
「まずは桃香が一番喜ぶディズニーランド。近くの景色が最高のホテルに2泊。
次に莉子が楽しみにしてる横浜でフランス料理と、桃香がやりたがってたカップヌードル作り。
ホテルはみなとみらいの高級ホテルに2泊。時間があれば、横浜の動物園とすき焼きのランチも。以上!」
「ふ~ん……俺はホテルにいてもいい?」
「ダ~メ」
「まさかディズニーランドって、二日連続で行くの?」
「ピンポーン! 29日から行くよ。だから30日~2日は平日だけど有休を取る。
桃香は学校を休ませる。その代わり、3日~6日の一番混む連休は家でゆっくりするよ」
……地獄、決定。
「なんだか、みんなに悪いね。間の平日に休んじゃってさ」
「大丈夫。お兄さんと俺は有休、莉子は普通に休めばいいだけだから」
「桃香は三日も学校を休ませて平気なのか? 遅れたりしない?」
「桃香なら、もう上の学年の勉強してるから、1年間休んでも余裕だよ」
「ふ~ん……そうなんだ。莉子はそれ、知ってる?」
「うん、知ってるよ。横浜を楽しみにしてた」
……もう、アリ地獄。
どうして肝心の俺だけ、こんなに盛り上がれないんだろう。
最低だ。
連休まで、あと1週間。
気持ちは沈んだまま__。
……待てよ?
__なんかおかしい‥‥‥。
俺、変だ。
すぐに部屋へ戻り、書斎の引き出しを開けた。
あっ……ない。
いつ切れたんだろう?
気づかなかったってことは、飲み忘れてたってことだ。
抗うつ剤が切れてる。しまった。
忙しさに紛れて、うっかりしてた……。
どうしよう。夜なのに……。
夏や莉子には知られたくない。
でも、背に腹は代えられない。
青山先生に電話した。
「こんばんは。北原ですが」
「こんばんは。珍しいですね、お電話くださるなんて」
「夜分、申し訳ないのですが……最近、体調がすぐれなくて。
多分、抑うつ状態なんです。でも、薬が切れていて……どうしたものかと思って。突然すみません」
「ああ、そうでしたか。それはつらいですね。ええっと、今手元に何錠かならありますので、差し上げますよ。
でも、診察した方が良さそうですが……僕は今からでも構いませんよ?」
「ありがとうございます。でも、それはちょっと難しくて……すみません、薬をポストに入れていただけませんか?」
「はい、承知しました。明日、処方しましょうか?」
「それが……病院の関係者には知られたくないんです。すみません、ネット診療を探して薬を送ってもらいます」
「あっ、じゃあ待ってください。僕の友達に頼んで手に入れますから大丈夫です。
ポストに入れておきますね。名前は日比野佑月というやつです。送ってきたら受け取ってください」
「本当に助かります。ありがとうございます。代金はどうしたらいいですか?」
「僕から払っておきますから、あとで代金をお知らせしますね。そしたら僕のポストに代金を入れておいてください」
「何から何までお世話になってすみません。ありがとうございました」
それから30分後、ポストに行くと、封筒に薬が6錠ほど入っていた。
助かった。
すぐ飲んだ。
ああ……でも、連休までに間に合うかな……。
4
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
女性が少ない世界でVTuberやります!
dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉
なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。
※初日一気に4話投稿してから恋愛大賞エントリーしたため文字数5万これから(´;ω;`)みんなも参加するときは注意してね!
※忘れてなければ毎週火曜・金曜日の夜に投稿予定。作者ブル
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり
もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。
そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う
これが桂木廉也との出会いである。
廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。
みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。
以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。
二人の恋の行方は……
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる