診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第11章 新しいステージへ

203話 抗うつ剤の副作用

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 翌朝、目が覚めると胸がムカムカして、気持ちが悪かった。

おまけに頭も痛いし、お腹も痛い。最悪だ。

あぁ……抗うつ剤の副作用だ。

しばらく間が空いてしまったから、身体がまるで飲み始めのような状態になっている。

どうしよう。これでは仕事にならない。

今できることは、吐き気止めと胃腸薬を飲むこと。

そして、抗うつ剤を減らすこと。

でも、それでは連休に間に合わない。

どうしよう……。

そこへ、夏がやって来た。

「お兄さん、早く起きないと遅れるよ」

起きなくてはと、身体を起こした途端に吐いてしまった。

「え? お兄さん、どうしたの? 気持ち悪いの? 今、洗面器持ってくるね!」

「莉子ーーっ! 来てー!」

夏が大声で莉子を呼んだ。

莉子が走ってきたようだ。

「えー? どうしたの春ちゃん?」

夏が洗面器とタオルを持ってきてくれた。

でも、間に合わずまた床に吐いてしまった。

「お兄さんが起きようとしたら、いきなり吐いたんだよ。お水も持ってきてくれない?」

「うん、わかった」

そばのバスルームから水を持ってきてくれた。

水を口に含んだが、その刺激でまた吐いてしまった。

夏が背中を何度もさすってくれる。

……ああ、まずい。バレてしまう。

でも、どうしても起き上がれなかった。

頭もガンガンする。どうしよう……。

「夏、俺は丈夫だから……今のうちに朝礼を中止って、みんなに連絡してくれないか?」

「うん、わかった。今、連絡するよ」

夏は花井部長と看護部長に連絡をしていた。

……ああ、大げさになってしまった。

でも、こうなった以上は今日は休むしかない。

諦めて、何も考えずに眠ることにした。

しかし――後で聞けば、それも無駄だったらしい。



花井部長と看護部長の嗅覚が鋭すぎて、夏とこんな会話が交わされたそうだ。

花井「院長、最近すごく疲れた顔してましたよね?」

山科看護部長「はい、私も気になってたんですよ。院長は初期の頃に抑うつ状態になって1度倒れたことがあるんですよ。その他にも確かもう一回、同じ抑うつ状態で倒れてるんですよ 今回は2号館でさらに輪をかけて忙しいから、もしかしたら……」

花井「俺も今、それを思い出してたところなんですよ。彼は集中してやりすぎるんですよ。まだ先なのにねえ。
真面目だから、期待に応えようと頑張りすぎるんですね。
精神科の青山先生に相談しましょうか? 診察に行ってもらいましょうよ」

看護部長「そうですね、その方がいいと思います。理事も青山先生に診察してもらってください」

夏「はい、わかりました」



そうして、秘密のはずなのに――なぜか青山先生が目の前にいる。

おかしいような……お互いに微妙な表情で、吹き出しそうだった。

彼も吹き出したいようで、唇を一文字にして我慢しているのが分かった。

青山「診察しますね」

でも、なんだかちょっと笑ってるぞ。

一通り診察を終えて、結局、疲労の蓄積ということで、2~3日点滴をしましょうということになった。

吐き気止めと痛み止めも、点滴に入れてくれるそうだ。

看護部長まで付いてきてしまった。

まあ、点滴台はクローゼットに入っているから、夏が持ってきてくれた。

……ああ、まいった……。


「青山先生、忙しいところをすみません。申し訳ないです」

青山「ふふ、いいですよ。気にしないで休んでください。医者がいっぱいいますからね。大丈夫ですよ」

看護部長「そしたら青山先生、薬の処方は?」

青山「はい、処方しておきますから、あとで理事に取りに来ていただければいいですよ」

夏「わざわざすみませんでした。ありがとうございました」

……ああ、夏が最大のライバルだと思ってる青山先生のお世話になるなんて。

さぞ悔しいだろうなあ……。

もう、俺は知らない。

みんな、鋭すぎるんだよ。


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