診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第11章 新しいステージへ

208話 天空の露天風呂「宙」

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 夕食は本当に豪華だった。

俺と夏だけ会席で、莉子と桃香がブッフェ。

ちょっと半信半疑だったけれど……

窓から見える夜景が素晴らしかった。

莉子は颯爽と桃香を連れて料理を取りに行った。

俺たちはコースが始まった。

やっぱり本当だった。季節感あふれる前菜の盛り合わせ。

これが一番好きなんだ。

横目で見ると、桃香がエビフライばかりを食べていた。

そんなに好きだったかな?

「桃香、エビフライばかり食べてると胃がもたれるよ」

桃香が「えー?」とばかりに莉子にヘルプの目を向けた。

莉子「いいのよ。胃がもたれないと分かんないんだから」

ぷっ、そうなんだ。

また桃香がニコニコしてぱくついていた。

「そんなに好きなら、うちでもっと塩焼きのエビを食べさせないとダメだね」

夏「もう~お兄さんは本当に桃香に過保護だよ。エビが高級品だから、こういうところでいっぱい食べるんじゃないの?」

「あっ、そうか。でもそれを夏が言うか?」

セレブな夏が高級品を認識しているなんて、そっちの方が驚きだ。

莉子がくすくす笑っていた。

とにかく、食事を美味しくいただけて大満足で終わった。


さあ~、楽しみにしていたお風呂だ。

最上階の天然温泉大浴場『天空の湯』。

そして屋上の露天風呂は、名前が<天空の露天風呂「そら」>。

もう期待感でいっぱいだ。

「夏、風呂の入り口で待ち合わせな」

夏は着替えやタオルを持って、ニヤニヤしながらやってきた。

そして浴場に入ると、ガラス張りの浴槽から東京湾の夜景が一望できた。

……凄すぎる。

「夏、身体を洗ったら、露天風呂に行こうよ」

夏がなぜか小さい声で囁いた。

「お兄さん、露天風呂でいたずらしないって約束できる?」

そんなのはおかしい。知らん顔していた。

露天風呂は何のためにあるんだよ。

さあ~、開放的な露天風呂に入った。

なんて星空が近いんだ。

やはり海に囲まれた先端に立っているせいか、なんとなく海の匂いを感じる。

気のせいかもしれないけれど、解き放たれた感じが最高だ。

夏もやって来た。

「わー、気持ちいいねえ」

なんとなく、そばにカニ歩きで近づいた。

しかし獲物もカニ歩きで逃げていく。

……なんだよ。全く。楽しみがない。諦めた。

適当なところであがった。

着替えて出口を向かうと、「じゃあな」と別れた。



俺が部屋に帰ると、真っ暗だった。

え? よく見ると、莉子と桃香は疲れたらしく爆睡中だった。

しょうがない。着替え一式を持って、夏の部屋に行った。

「え? お兄さん、どうしたの?」

「もう莉子と桃香が爆睡中だった」

「へえ~、よほど疲れたんだろうねえ」

「いっぱい呑もうよ」と誘うと、うれしそうな笑顔になった。

「うん、いいよ。おつまみもあるよ」

そうか、かわいいヤツ。

このために用意していたのかな?

「へえ~、用意が良いじゃん」

「うん、俺も今夜は飲みながら寝ようと思ってた」

「寂しかったのか?」

夏が少しはにかんで、うつむいた。

「いいよ、おいで」手を取って抱きしめた。

漆黒の空の下、遠くの灯りが波のように揺れていた

ロマンティックな二人の夜が始まった。

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