診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第12章 夏デビューへ

223話 主治医として同行

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 それからの夏は、ひたすら練習に励んでいた。

心配していた体力も、週3日のペースだったのが幸いして、なんとか保っていた。

いよいよ明日から7月。合宿に出発する。

俺は最初だけ、場所の確認と他のメンバーの検診を兼ねて、合宿に同行することにした。

最初の顔合わせで、皆に紹介された。初めての会うスタッフばかりだ。

監督のショーさんだけでなく、夏から聞いていた凄腕振付師・RINさんもいた。

俺に初めて会った時、「わー、あり得ない」とRINさんに言われた。

笑った。どんな意味だよ?

マネージャーさんが、

「あれは驚きすぎて、最高の褒め言葉だと思いますよ」とフォローしてくれたけど、この世界にはついて行けそうにない。

大体の見通しやスケジュールの確認が終わったあと、検診のために少し時間をもらった。

小部屋に一人ずつ入ってもらい、尿検査の準備もしてきたので、採尿もお願いした。

検尿は夏が担当した。

皆健康だったが、あちこちに打ち身が見られたので、とりあえずインドメタシンの軟膏を塗っておいた。

少し背中を痛めているRYU君がいて、ちょっと心配だった。

とりあえず湿布を貼っておいた。寝る前にも貼るように、余分に渡しておいた。

どうしようかな……これは整形でも難しいかもしれない。後で相談してみよう。

それと、KAI君の番になった。「お世話になります」と頬笑んでいた。

「KAI君の心配事は下の方なんだけど、最近は調子どう? 一応薬を処方してきたよ」

「ええ? 先生、超うれしい!」と思わず手を握られた。ははっ。

「合宿は一か月の長丁場だから、出にくいようなら声をかけて。出してあげるから」

笑いながら、恥ずかしそうに両手で顔を隠した。

「皆、出るもんは同じなんだから気にするなよ」

「はい、先生、ありがとうございます。薬、頂いていきます。もしかしたらお世話になるかもです」

「うん、いいよ。分かった」

尿検査は問題なかった。もちろん夏もね。

その後、マネージャーさんに相談した。

背中を痛めている子がいるから、今のうちに調整した方がいいと伝えた。

「知り合いに整体師がいるので、今度連れてきます。場合によっては、公演が終わるまで常駐してもらった方がいいかもしれませんね」

社長に伝えておくそうだ。

その日は、皆の練習ぶりも見せてもらった。

やっぱり、痛めている子の動きを見ると、無理しているのが分かる。

RIN先生は気づいているのかな? でも口出しはできない。

とりあえず、その日は適当なところで失礼した。

帰宅後、知り合いの整体師に都合を聞いてみた。
他にも整体師が数名いるので、派遣にも対応できるとのことだった。
ホッとした。

すると夜、マネージャーさんから電話がかかってきた。
整体師をお願いしたいとのこと。
それで皆の調子が良くなるなら、公演が終わるまでお願いするかもしれないという話だった。

翌日、早い方がいいから、午後から整体師を連れて合宿所へ。

ダンスの練習がもうすぐ終わるとのことで、少し待機。

練習が終わった段階で、整体師を紹介した。

まずはRYU君を床に敷いたマットの上で整体。

随分丁寧に全身を調整してくれていた。皆、羨ましそうに見ていた。

やっぱり、みんな無理しているんだよね。

マネージャーさんに、「RYU君だけでなく、全員やってもらった方がいいですよ」と伝えた。

その日は長くかかりそうだったので、後はお願いして、湿布は整体師に渡し、最後に貼ってもらうように伝えた。

そしてマネージャーさんには、今後は直接整体師と交渉してくださいと伝えて失礼した。

帰ろうとすると、夏が急いでやって来た。

「お兄さん、今日はありがとう。みんな感謝してるよ」

「いいよ。身体を無理しないで。夏も整体師に調整してもらうんだよ」

「うん、わかった」

後ろ髪を引かれるように、合宿所を後にした。

ああ、病院を2日も空けてしまったな。

明日は仕事に励もう。


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