診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

文字の大きさ
292 / 431
第15章 進むべき道へ

290話 夏と音楽キャストの初合わせ

しおりを挟む
 夏やレオさん、音楽キャストが上の音楽スタジオに移動するそうだ。

もちろん俺も一緒に行くことにした。楽しみだ。

椅子と譜面台はすでにセットされていた。

奥には、20㎝ほどの高さのある舞台を模した台。
左手にはグランドピアノ。
壁側にはスピーカーやアンプがセットされ、マイクも出してあった。

レオ「何か、先に1曲歌って聞かせてほしいのですが、楽譜はありますか?」

村瀬さんが手持ちのファイルから楽譜を出して、
「これでいいでしょうか?」とレオさんに見せた。

レオ「はい、OKです。皆さんの分もありますか?」

村瀬「メロディーとコード進行しか出てないのですが、いいですか?」

レオさんがニヤッと笑った。

「良いですよ。ええっと、ピアノのまあちゃん、これに適当に前奏をつけて。
歌が始まったら、各自好きなようにセッションをやってみてください。
参加できる人だけでも構いません。では、お願いします」

レオさんがタクト代わりに手を振る。

静かに、ピアノの前奏が始まった。

夏が歌い出す。静かで、美しい曲だ。

そっと合わせるように、周りが音を出し始めた。
ドラムは静かにリズムを刻み、
弦楽器が添うように和音を奏で始める。

ん?
自然にヴァイオリンが2パートに分かれ、和音の上二つを奏で、
ビオラは一番下の音を拾っている?
ハーモニーができている。

時々、誰かが夏の声と掛け合うようにメロディを追いかけ、そして重なる。

うわ~、鳥肌が立つ。美しすぎる。

ピアノも、すごくバランスを取っているんだね。
お互いに何をやっているのか、打ち合わせもなしに。
いきなりなのに、夏の声もきれいで、本当に聞き惚れてしまった。

そして、静かに終わった。

パチパチと、みんなの拍手が夏に送られた。
俺も拍手だ。

夏「ありがとうございます。すごく気持ちが良かったです」

レオさんも拍手をしながら、

「素晴らしい。皆さんとご一緒にできて光栄です。本当にうれしいです」

それから、レオさんがピアノのまあちゃんに指示を出していた。
楽器の構成と、みんなの楽譜を作ってくれるように頼んでいた。

あれ?
まあちゃんができるって、何も言わなくても分かるんだね。
いや、プロってみんなできるものなのかな?
素人の俺には分からないけどさ。

そのあと、さらに2曲を同じように合わせていた。

レオさんが夏に「他にどんな曲をやってますか?」と聞いたら、
「デビューしたばかりで、まだ他にはないんです」と答えて——

「ええ?」と、びっくりして笑っていた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【短編集】こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

守り守られ

ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師 患者 瀬咲朔 腸疾患・排泄障害・下肢不自由 看護師 ベテラン山添さん 準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん 木島 尚久 真幌の恋人同棲中

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

月弥総合病院

僕君・御月様
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

処理中です...