診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第16章 光 ― スポットライトの向こうへ

301話 NATSU、夢の幕開け・2

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 莉子の作詞した曲が3曲続けて披露されると、

またまた、冷や汗のトークタイムがやってきた。
持ち時間は5分間。

今度は夏と莉子がステージ中央に登場。
MCも中央に出て、インタビュー形式で話が始まる。

MC:
「さて、ここからは少しだけ舞台の空気を変えて──
写真集『NATSU』の撮影秘話や、夏さんの素顔について、
ご本人と作詞家・莉子さんにお話を伺っていきます。
夏さん、まずは写真集の撮影地について教えていただけますか?」

夏:
「撮影は、都内のカフェや家のキッチン、近くの公園など、
普段の生活の延長線にある場所で行いました。
特別なセットではなく、自然な空気の中で撮ってもらえたのが嬉しかったです」

MC:
「確かに写真からも“日常の温度”が伝わってきますよね。
莉子さん、撮影中の印象的な場面はありましたか?」

莉子:
「夏が料理を作ってくれて、私や桃香、院長がそれを待っている場面があるんです。
みんな自然に笑っていて──いつもの家族の風景そのままで、それが嬉しかったです」

MC:
「衣装もとても印象的でしたが、あれはどなたのスタイリングだったんですか?」

莉子:
「実は、私たち家族のファッションはずっと、スタイリストのエリナさんにお願いしています。
夏が私や桃香のエージェント会社をやってくれていて、
“アーティストとしてイメージを保つことが大事”とアドバイスがあったんです。

それで、一緒に行動する家族の分も含めてコーディネートしてもらっています。
もう何年にもなりますが、写真集の衣装もすべて彼女のスタイリングなんです」

MC:
「それはすごいですね!
……ということで、エリナさん、もしよかったらちょっとだけ顔を見せていただけますか?」

……出てこない──観客がくすっと笑う。

夏:
「あれ?恥ずかしいのかな?
エリナさん~、顔だけでいいから、ちらっと見せてくださーい!」

本当にエリナさんが袖からちらっと顔だけ出して、すぐに引っ込んだ!
会場から笑いと拍手が起きる。俺もクスクス笑った。

MCも微笑んでいた。

MC:
「ありがとうございます!
まさに“裏方の美学”ですね。
それではこの後は、ダンスチームの衣装チェンジの間、
映像とともに舞台裏の様子をご紹介します。
引き続き、お楽しみください」


はあー……無事に終わった。
そのたびに椅子に座り込んでしまう。ドキドキが止まらない。

夏は衣装が変わらないので、俺を見ながら余裕で水を飲んでいた。

裏ではドタバタの衣装替えが進行中。
ダンサー10人に、フォローのスタッフも10人。まさに戦場だ。

その間、舞台ではバックスクリーンに映像演出が流れ、
MCがファンのメッセージや、病院のスタッフからの応援メッセージを読み上げていた。

ええー? いつの間に撮影したの?
映像の中でスタッフがみんなで手を振っている。サプライズか?

今度は5分間、ステラビート10人によるダンスシーン。

その間に夏が着替える。
着替えた後はうがいをして、酸素を吸っていた。

次は、莉子の作詞による2曲を、歌いながらみんなと踊る。
コミカルな歌もあるから、バックの伴奏もフルメンバーでにぎやかに盛り上がる。
こういう時に管楽器があると、舞台が一気に華やかになる。

終わると、いよいよ後半。残り30分。

また夏の着替えとダンサーの衣装替えがあり、5分間のインターバル。
その間、バックスクリーンでは映像演出が続き、
写真集の未公開カットやファンの声がMCから紹介された。

夏は上下が白の衣装。
上のシャツはトロンとした薄い生地で、袖もたっぷりと膨らんでいる。

華やかなアーティストの雰囲気が漂っていた。
胸元にはシルバーの太めのチェーンネックレスが輝いていた。

次は名曲カバー5曲を続けて歌う。
夏のソロだ。曲が美しいので、安心して聴ける。ふっ。

観客もうっとりと聴き入っているようだった。

それが終わると──もうフィナーレに入ってくる。

最後の5分間のトークタイムだ。

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