診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第17章 夏輝・人気と自由と……

320話 軽井沢でブルーベリー狩り

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 ブルーベリー農園に到着した。

入り口には、何人かの年配のおじいさんやおばあさんがベンチに座っていた。
農園の人たちなのかな? 受付の爺様と楽しそうに話している。

莉子が桃香と手をつないで、受付の爺様に声をかけた。

「こんにちは、予約した北原です」
「こりゃまた、えれぇべっぴんさんだに~」
「えっ?」と莉子が首をかしげる。

今度はそばのばあさまが、桃香を見て言った。
「こんげぇかわいい子、めったにおらんずら。こりゃ、孫にしたいくらいだに」

──桃香、固まる。(笑)

そこへ中年の女性が走ってきた。

「ごめんなさいね、お待たせしました。今のはね、“すごく可愛いから孫にしたいよ”って言ったんですよ。ねえ、可愛いもんねえ」

──桃香もようやく意味が分かって、照れて莉子の後ろに隠れた。かわいい。

「制限時間は60分です。食べ放題になってます。今から場所をご案内しますね。ばあちゃん、頼んだよ」

慌ててお金を払い、プラスチックの容器を借りた。

ばあさまが「ほいさっ」と言って、畑の方へ案内してくれた。

俺は夏と顔を見合わせて、クスクスと笑っていた。

中に入ると、印のひもが張ってあって、その範囲のブルーベリーは食べていいらしい。
色が濃くなっていないとダメなんだね。

500円玉くらいの大粒ブルーベリーを口に入れる。
──採りたてが一番甘くておいしいんだって。

莉子「うわ~甘~い。ジューシーだねえ。こんなにおいしいんだ」
「桃香も食べてごらん。すごく美味しいってよ」

──桃香の口に入れてやると、噛んだ瞬間にジューシーさが広がったようで、「美味しい!」と喜んでいた。

夏は「ウマウマ」と言いながら、どんどん食べていた。

俺も食べたけど、店で食べるのとは大きさも甘さも全然違う。
正直、ブルーベリーってすっぱいイメージだったけど、ここのは甘さが濃くて本当においしい。

莉子も桃香も夢中で食べていた。──大丈夫か?
もうすぐ夕飯だぞ。

会席料理を予約してるんだよね。

「ねえ、莉子。夕食が会席のコースで7時からだから、今あまり食べすぎると夕飯が入らなくなるよ。
少し持ち帰りを買っていけばいいんじゃない?」

莉子「そうだね、忘れてた。そうするよ。桃香、もうやめて。あとは夕飯食べてから夜に食べようね」

農園を出て、今度はホテルへ向かった。

チェックインして、届いていた荷物をほどき、エリナさんのコーディネートに着替える。

──ロビーで写真を撮らないといけない。
大急ぎで着替えて、あとの片づけは帰ってから。

夏はまた、おしゃれで遊び心のあるジャケットを着ていた。
ネクタイもあって、フォーマルすぎずリゾート感がある。

俺もリンクコーデっぽく、似たような感じ。

莉子も桃香もかわいく仕上がった。
「さあ、ロビーに行くぞ」

ロビーに行くと──
「きゃー!」「わーっ!」
女性たちのグループに囲まれてしまった。

──もうこうなったら、ホテルのボーイさんに写真をたくさん撮ってもらうしかない。

夏「すみませんが、今から写真を撮らないといけないので、少し下がってもらえますか?お願いします」

──皆、素直に下がって場所を空けてくれた。

俺たちはいろんなポーズを取って、順番に撮ったり、全員で撮ったり。
無事に撮影を終えた。

その間、ロビーの人たちは輪になって見守っていた。

夏「皆さん、ご協力ありがとうございます。この写真はインスタにUPしますので、どうぞお楽しみに」

「えー? すみませんが、私たちと記念撮影をお願いできないでしょうか?」

「夏、諦めろ。1枚だけ撮ってあげれば?」
──そこにいた人を全員集めて、夏が真ん中に入り、
それぞれのスマホで撮影してあげた。

すると、他の人たちも次々にスマホを差し出してきた。

「ええっと、すみませんが時間がないので、インスタにUPしますので、それをダウンロードしてもらえますか?」
──俺が助け舟を出した。

それで、サーッと皆で駐車場に向かった。
車に乗ると──
莉子までが「もう世界が変わっちゃったね」と漏らした。

夏「ごめんね、急に不自由な生活になっちゃって。
こんなになるなんて、想像もしなかったよ。
KAIたちの不自由さが、よく分かった」

「夏、気にするな。俺たちはいつも一緒だよ。
しょうがないよ、人気者なんだからさ」

「さあ、うまいものを食べに行こう!」

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