診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第19章 アニメと新しい世界へ

389話 壁画の打ち合わせ

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 佐伯さんから連絡があった。
すぐ作業に取り掛かれるところが見つかったそうだ。

翌日、緊張している莉子と、事務所のスタッフを待っていた。

時間通りに来たのは3人の個性的な男性たちだった。

「初めまして、社長の桐生です。こちらは依頼者の画家の莉子さんです」

お互いに挨拶を交わして本題に入った。
代表は長い髪を後ろでひとつに結んだ、精悍な風貌の持ち主だった。

「株式会社高杉の社長で高杉陽と申します。ご依頼のタイミングが良くてびっくりしました。実は2年間の海外の仕事が終わって帰って来た翌日だったんですよ」

桐生「ほう~どちらに行かれてたんですか?」
高杉「イタリアの美術館の壁画です。丸2年かかりました。それで、莉子さんのことはちょっとだけ存じています」

莉子「え?どうしてご存じなんですか?」
高杉「向こうでも莉子さんデザインのお菓子の缶やTシャツを見ましたよ。かわいいじゃないですか?ほら見てください」
ジャケットの前を開けると――「あー私のTシャツだあ!」と莉子が喜んだ。

うまいなあ~さすがイタリア帰りだ。

高杉「だからお仕事のご依頼を受けて、なんか縁があるのかなあと思ったんですよ」
莉子「うわ~うれしい。向こうでも私の作品を見てくださっていたんですね?」

高杉「まあ、たまたまなんですけどね。そんなに気にもしなかったんですよ。でもこのTシャツが明るくてね。その時はこれが良かったんです。あまりに長く同じことをやってると、欝々として来る時があるんですよね」
へえ~、そうなんだ。

桐生「こちらが壁画の原画です。見ていただけますか?」

高杉「へえ~かわいいですねえ。なんか日本に帰って来たという感じがしますよ。湿度があるというか、緑の匂いがするというか、良い感じですねえ」

じーっと彼は絵を見ていた。

高杉「これは小道の行き先が病院の入り口になってるんですね?何か、入り口に物語に合うような造作は考えていらっしゃるんですか?」

桐生「多分。した方が良いならして良いと思います。ただ消防法でどうかですね。どの程度出来るのかを調べてお返事しますね。もし作るとしても壁画が終わってからだと思いますので」

高杉「そうですね、でも造作があれば、そこも一緒に塗っちゃいますよ」
莉子「そうなんですか?わあ、書いて欲しいです」

桐生「では至急、建築士の方に連絡しますね」
村瀬さんが確認の電話をしてくれた。

村瀬「出入り口を妨げないようにと、壁に張り付く程度ならいいそうです。でも素材は防炎加工されたパネルや不燃認定の塗料を使ってくださいとのことです」

高杉「では車寄せの屋根もありますから、一度パソコンで作ってみますね。入口もこちらでデザインしてもいいですか?」
莉子「はい、お願いします。車寄せの屋根が邪魔だと思うんですが、なんとかなりますか?」

高杉「そうですね。雰囲気は残せると思います。その分は建物の高い位置から絵を始めれば、下の方はそれで隠れる感じですね」
莉子「どれくらいの高さからになるんですか?」

高杉「ご希望はありますか?」
莉子「ちょっとすぐにはよく分からないんですけど」

高杉「分かりました、今度シミュレーションを作ってきますので、それで考えていただけますか?よろしかったら動画をファイルで送りますよ」

桐生「それはありがたいですね、それと見積もりをお願いします」
高杉「ええーと、足場を組んでくれるところのお知り合いの方はいらっしゃいますか?それによって結構価格が変わって来るんですよ」

桐生「それはうちの取引先がありますから問題ないです」
高杉「では足場代を入れないで見積もりを出しますね。いくつかパターンを出しておきますから選んでいただけますか?」

莉子「はい、分かりました。どうぞよろしくお願いします」
高杉「では原画を撮影させていただいてもよろしいですか?」

桐生「はい、よろしければコピーもしましょうか?」
高杉「はい、それもお願いします」

そして3人は引き上げて行った。
話が早いなあ。

莉子「なんだかワクワクだねえ。私も少しは書いた方がいいのかなあ?」
院長「今はミュージカルでしょう?そっちをやらないと皆が待ってるよ」
莉子「そうだった」

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